第10話 己を越えて行け
嵐野市に三人は到着した。
前回同様、強風が吹き荒れ、雨が降り、度々雷が鳴っている。
三人の前に雷が落ち、小さな竜巻が発生した。
そして雷と竜巻からライジンとフウジンが現れた。
「来たな。」
「あらあら…また倒されるのをご希望で…?」
フウジンは不敵な笑みを浮かべた。
「違う!お前らを倒しにきた!!」
零音は二人を指差して堂々と宣言した。
「今度こそお前を斬る…」
玄司はカグツチの鞘を左手で強く握りしめた。
そして二人はマガジンを取り出し、起動した。
《ジャスティスクリエイト》
《ブレイブファイヤー》
『《ローディング》!』
「変身!!」
《ユーティライズ》
《リバイトレオン クリエイト アクティブ》
『イグニッションライズ!』
『リバイトウルス ファイヤー アクティブ!』
零音と玄司は変身し、ライジンとフウジンは怪人態になった。
「はああああああっ!!!」
前回同様、レオンはライジンと、ウルスはフウジンとぶつかった。
(二人とも…頑張って…!!)
後ろから見ている咲来は心の中で応援した。
「はっ!!」
レオンは輝石で手を覆い、ライジンに殴り掛かる。
ライジンは瞬間移動し、パンチを避ける。
そしてレオンの背後に回り込み、背中に向かって殴り掛かってくる。
(…!!後ろだ!!)
レオンは足に輝石を纏い、背後にいるライジンに向かって回し蹴りをした。
「ぐっ…!!」
回し蹴りは顔面に直撃し、ライジンは倒れ込んだ。
「はあああああああっ!!!」
倒れたライジンに向かってレオンはパンチを繰り出す。
しかし、パンチが当たる直前、ライジンは姿を消した。
(どこに消えた…?)
レオンは意識を集中し、ライジンの位置を探る。
すると、ライジンはレオンの頭上に移動しており、手から電撃を放つ。
(上…!!)
レオンは咄嗟に輝石で壁を作り、上からの電撃を防いだ。
「はあっ!!」
そして輝石の壁を殴り、ライジンに向かって飛ばした。
ライジンは接近してくる輝石の壁を避けきれず、直撃した。
「ぐぁっ!!」
ライジンは地面に落ちたが、すぐに立ち上がり、レオンに掌底を食らわすために急接近した。
(来るっ…!!)
レオンは掌底をかがんで避け、ライジンの腹にカウンターパンチを当てた。
「ぐぉっ…!!!」
ライジンは後ろに吹き飛ばされ、腹を押さえた。
(こいつ…俺の速度についてきてやがる…!!)
ライジンはレオンを睨んだ。
――――――――――――――――――――――――
フウジンは腕の翼で強風を起こす。
しかし、ウルスは風を斬り、無風になった隙にフウジンに接近する。
「風を…!?」
「はぁっ!!」
そしてフウジンに向かってカグツチを振り下ろすが、フウジンは翼でガードする。
「ふっ!!」
フウジンは体制を変え、後ろ回し蹴りをする。
ウルスは右腕で回し蹴りをガードし、左手で突きを放つ。
「っ!?」
フウジンは慌てて翼を羽ばたかせ、後ろに交代して回避する。
「はぁ!!」
ウルスはすかさず、火の斬撃をフウジンに放つ。
「ふっ…!!!」
フウジンは羽を羽ばたかせて風を起こし、火の斬撃をかき消そうとした。
しかし、火力を強めている火は、簡単には消えない。
「!?風で火力が増して…!!」
火の斬撃は風で火力を増し、フウジンに命中した。
「ぎやあああああああああっ!!!」
フウジンの体は激しく燃え上がり、断末魔を上げた。
ウルスは燃えているフウジンに接近し、斬りかかる。
しかし、フウジンは周囲の風を吸収し、怪獣態になり、翼を羽ばたかせて火を消した。
「くっ…!!」
ウルスは風に押され、ハヤブサに接近できなかった。
『怪獣態か…玄司、いけるか!?』
「当たり前だ…!!」
ハヤブサは翼で突進してくる。
「ふんっ…!!」
ウルスはカグツチを振り下ろし、翼を受け止めた。
そして受け流し、ハヤブサはそのまま上空に飛び上がった。
ハヤブサは上空で羽ばたき、竜巻を五つ生み出した。
「はぁっ!!」
ウルスは迫りくる竜巻を四つ斬り、カグツチを鞘に納刀した。
そして柄にセットされているマガジンを押し込んだ。
『リローディング!』
ウルスはカグツチの柄を握り、一つの竜巻の中に自ら突っ込んだ。
竜巻を利用し、ウルスはハヤブサのいる上空まで飛び上がった。
「ッ…!!」
ハヤブサの目の前まで接近したウルスは、カグツチを抜刀し、居合斬りをした。
『狼刀 風輪火斬!!』
「アアアアアアアアアアッ!!!!」
斬られたハヤブサは、体から血を噴き出し、そのまま地上に落下した。
ウルスはカグツチを納刀し、地面に着地した。
「…手ごたえがなかった。」
ウルスはフウジンが落下した地点に向かった。
そこには人間態に戻ったフウジンが倒れていた。
「トドメを刺すぞ…」
ウルスはカグツチを鞘から抜き、倒れているフウジンに迫った。
その瞬間、辺り一面が激しい光に包まれた。
「うっ…!」
ウルスは思わず目を瞑り、腕で顔を隠した。
光が消え、目を開けると、フウジンの姿はなくなっていた。
「…!消えた…!?」
ウルスはしばらく周りを見回してフウジンを探すが、諦めてカグツチを納刀し、変身解除した。
「ちっ…」
玄司はレオンとライジンが戦っている方向を向いた。
――――――――――――――――――――――――
ライジンのもとに雷が落ち、ライジンは怪獣態になった。
「ウオオオオオオオオオオッ!!!!」
龍は叫び、雷が降り注ぐ。
レオンは、輝石を頭上に生成し、雷を防いだ。
しばらくして雷が降り終わり、レオンは持っていた輝石を捨てた。
「そっちがそう来るなら…こっちだってパワーアップだ!」
レオンは、ユーティライザーのレバーを上げ、ジャスティスクリエイトマガジンを引き抜いた。
そして、ウィザーティーチから受け取った新しいマガジンを取り出した。
「あのマガジンは!?」
咲来は初めて見るマガジンに驚いた。
レオンはマガジンのボタンを押した。
《オーバークリエイト》
そしてユーティライザーのスロットにセットした。
《ローディング》
「ふっ!!」
レバーを倒し、構えた。
《ユーティライズ》
《リバイト レオン オーバークリエイト アクティブ》
レオンの姿はさらに白い鎧で体を覆われ、まさに進化体といえるような姿に変化した。
リバイトレオン オーバークリエイトフォームだ。
「…ッ!?」
龍は姿を変えたレオンに一瞬驚いた。
「レオンが…進化した…!」
咲来は状況を理解できていなかったが、唯一それだけはわかった。
「ウオオオオオオオッ!!!!」
龍は再び雷を降らせた。
レオンは大量の輝石を空中に作り出し、雷をすべて防いだ。
雷が降り終わった後、レオンは拳を握り、腰を落とした。
「はあああああああああ!!」
レオンは上空に輝石で巨大な拳を作り出した。
「はあっ!!!」
レオンが空中にパンチを繰り出すと、巨大な拳はレオンの拳と連動して、龍の顔面を殴った。
「グオオオオアアアッ!!」
龍は空中でよろけた。
レオンは空中に輝石で足場を何個も作り、足場に飛び乗って龍に接近し、尻尾を掴んだ。
「うおおおおおおおおっ!!!!」
レオンは龍を背負い投げ、地面に叩きつけた。
「グッ…!!」
「はああああああっ!!」
レオンが右足を上げると、空中に巨大な輝石の足が生成された。
「たあっ!!」
レオンが足を振り下ろすと、巨大な足は落下し、倒れている龍に直撃した。
巨大な足は粉々に砕けた。
「生み出せる輝石の量の限界を…超えた!!?」
咲来は次々と輝石を生み出すレオンを見てそれに気づいた。
「…ウオオオオオオオオオッ!!!」
龍は輝石のガレキから抜け出し、上空に飛び上がった。
レオンも輝石で足場を作り、足場に飛び乗り、龍の顔の正面まで飛び上がった。
龍は口を開け、口にエネルギーを溜めた。
「あれが来る!!」
咲来は前回、レオンが食らって敗北した電撃砲が来るのを察した。
「ウアアアアアアッ!!」
龍は口から電撃砲を放ち、電撃砲はレオンを飲み込んだ。
「零音!!!!」
咲来は叫んだ。
「うおおおおおおおおおっ!!!」
しかし、レオンは電撃砲の中から抜け出し、ユーティライザーのレバーを起こした。
《リローディング》
そしてレバーを倒した。
《オーバークリエイトフィニッシュ》
(越えろ……己を越えろ!!!)
「はあああああああああああああっ!!!!!」
レオンは龍に向かってキックを繰り出した。
レオンの足には円錐状の輝石がドリルのようについている。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「またお会いましょう!!」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「ッ…!!!」
ライジンはふと、小屋で出会った女性のことを思い出した。
レオンは龍の口の中に入り込み、龍の中にいるライジンの本体に向かって突き進んだ。
レオンのキックはライジンの本体に直撃した。
「ぐあああああああぁぁぁぁぁっ!!!」
「はあああああああっ!たあああああああっ!!!」
レオンは龍の体を突き抜け、龍はレオンの背後で爆発した。
「やったーーー!!」
咲来は思いっきりガッツポーズをした。
「ふっ…」
玄司は下を向きニヤっと笑みを浮かべた。
レオンは地面に着地し、変身を解除した。
「ぐああっ…!!」
生きていたライジンは、零音の近くにドサっと落下してきた。
「ハァ…ハァ…わざとコアを外したな…なぜだ…?」
倒れ込んでいるライジンは零音に聞いた。
「なんでだろう…わかんない。」
「…は?」
「君から敵意を感じなくなったから…かな?」
「…」
ライジンはなにも言えなかった。
しばらく二人は無言で雨に打たれ続けていた。
「今日はいい天気ですね。」
すると突然、零音の後ろに、白いスーツを身にまとい、腰までの長さの白髪が生えた男が背を向けて現れ、そう呟いた。
「え!?」
零音は突然後ろに現れた男に驚いたが、すぐに男の発言に疑問を抱いた。
「いや…雨降ってますけど…」
零音がそう言うと、男は腕を広げた。
すると、真っ暗だったビルの照明や街灯が突然点灯し、水溜りが光を反射し、辺りは一気に明るくなった。
「え!?」
「雨こそが最高の天気です。水溜りは光を反射し、この世界をより輝かせる。」
男はそう言いながら、振り向いた。
男の目元には、白い仮面がつけられていていた。
「仮面の男!?」
零音は、今までマテリアスを生み出していたという仮面の男のことを思い出した。
「アダム様!!」
倒れていたライジンは立ち上がり、仮面の男に向かってそう言った。
「アダム!?こいつが!?」
零音はライジンの方を見て驚き、再び仮面の男の方を向いた。
「初めまして、伊武 零音さん。私はアダム。選ばれしものたちを正しい方向へ導く、希望の光だ。」
男は左腕を広げ、右腕を胸の前に置き、一礼した。
この男こそがムーブメントのボス、アダムだ。
「迎えに来たよ。ライジン。」
アダムはライジンの方を見て言った。
《ジャスティスクリエイト》
「変身!!」
《リバイトレオン クリエイト アクティブ》
零音は咄嗟にクリエイトフォームに変身した。
「お前を倒せばすべてが終わる!!」
レオンはアダムに殴り掛かった。
しかし、レオンのパンチは空振り、アダムは一瞬でレオンの後ろに回り込んでいた。
「え…?」
アダムは右手から光の球を発射した。
「ぐああああああああっ!!!」
光の球はレオンの背中で爆発し、レオンは一撃で強制変身解除してしまった。
「さあライジン、帰ろう…」
アダムはライジンに近寄るが、次の瞬間、ライジンはアダムに向かって電撃を発射した。
しかし、電撃は軌道が曲がり、アダムには当たらなかった。
「…どういうつもりだ?」
「なんでだろうな…わかんねぇ…」
「くっ…ライジン…?」
倒れている零音は、突然のことに驚いた。
ライジンは何度もアダムに向かって電撃を放つが、電撃はすべてアダムの体の直前で逸れる。
「これは…裏切りと捉えていいのかな?」
「ああ…構わねえ!俺には…約束があるんだ…あんたの所には戻らない!!」
アダムはライジンに向かって右腕から光弾を発射し、光弾はライジンの胸に直撃し、爆発した。
「ぐああああああっ!!」
ライジンは吹き飛ばされた。
「約束…?まあいい。今回は見逃してあげよう。」
「待て!アダム!!」
零音はアダムに殴り掛かるが、アダムは一瞬にして姿を消した。
アダムの姿が消えるのと同時に、ビルの照明や街灯は消灯した。
|零音は殴り掛かった勢いで膝をついて倒れた。
「ハァ…ハァ…くそおおおおおおおおお!!!」
零音は地面を殴った。
ライジンは倒れながら、呆然としていた。
雨が止み、雲の間から日の光が差し始める。
――――――――――――――――――――――――
数時間後、零音の家。
「嵐野市での異常気象は止み、避難指示は解除された。二人とも、よくやったわ!」
咲来は零音と玄司に向かって安心した表情で言った。
しかし、零音は暗い表情をしていた。
(アダム…一つ壁を越えたけどまた新たな壁が現れた…)
「よーし!」
零音は勢いよく立ち上がった。
「もっと強くなるぞ!!師匠!修行に行きましょう!!」
「ああ…」
「ちょっと!少しは休みなさいよー!!」
零音は玄司とともに修行をするため外に出た。
また一つの壁を乗り越えるために、己を越えるために。
――――――――――――――――――――――――
「へー。ライジンくん裏切っちゃったんだぁ。ま、会ったことないからどうでもいいけどぉ。」
「それで?どうでした?」
「順調だ。覚醒の日も近いだろう…」
アダムは、何かを抱きかかえている細身の女と、体の大きい男にそう言い、笑みを浮かべた。
第1章を読んでいただき、ありがとうございました!
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