表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【電子書籍化】偽物聖女だと追い出されましたが、聖獣様がモフモフにした騎士様に溺愛されてます  作者: 氷雨そら
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/56

聖獣様と聖女 3



 ――――力になりたい。支えていきたい。


 けれど、それは国母となることだ。

 簡単に頷くには、あまりに責任が大きすぎる。


 けれど……。それは、きっと私が聖女としてしたかったことだわ。


 本当は、高位貴族の怪我だけを治すのではなく、だれにでも聖獣様の力を分け与えたかった。

 祈りの内容だけは、私の自由だったから、いつだってみんなのために祈っていた。


(きっと、アース様なら、だれのことでも助けてくれる。素晴らしい国王陛下になる。そうであるなら、今の私の願いは……)


「――――使命などで頷くのはやめてくれ」


「え?」


「聖女だとか、国王だとか、引き合いに出した俺は、卑怯だな」


「あの……」


 銀の星が、アース様の周囲を取り囲んでいく。

 美しい光の粒の中、一番に輝く星みたいなアース様。


「もう一度やり直してもいいだろうか? 君が、聖女でなくても、どんな存在であっても、好きなんだ。だから、ただのアースとして、結婚を申し込むよ」


「――――っ」


 ガラガラと、足元が崩れていくみたいだ。

 誰かの役に立ちたいと、アース様の立場を支えたいと、そう思っていたのに。


「あ。本当に……?」


「俺の隣にいてくれるのは、ルーシアがいい」


「――――ただのルーシアは、役に立たないですよ? お洗濯くらいしか、できないです」


「――――ふふ。では、俺のマントを洗濯してくれ」


 ガラガラガラガラ。崩れていった不安定な足元。

 気がつけば、いつも不安定な狭くて高い場所にいたはずの私は、空から銀の星が降り注ぐ、美しい平らな場所に立っていた。


 アース様の背後には、子犬の姿からもう一度白銀の狼になった聖獣様が、背中を伸ばしている。


「毎日……洗濯します」


「妻として?」


「はい! 妻として!」


 今度こそ私は、迷うことなくアース様の腕の中に飛び込んだ。

 その腕は、もふもふしていない、無骨な騎士様の頼りになる腕だ。


 この後の出来事は、まだまだ波乱の連続で、乗り越えなければいけないのだけれど、今は降り注ぐ銀の星であふれた世界で、私たち二人は、ただ抱き合っていた。

最後までご覧いただきありがとうございます。

『☆☆☆☆☆』からの評価やブクマいただけるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かわいいものが、書きたくなって、新作投稿しました。鬼騎士団長と乙女系カフェのちょっと訳あり平凡店員のファンタジーラブコメです。
☆新作☆ 鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ