表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【電子書籍化】偽物聖女だと追い出されましたが、聖獣様がモフモフにした騎士様に溺愛されてます  作者: 氷雨そら
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/56

呪いのモフモフと下働き令嬢 2



「失礼いたします」


 ドアを開けて、すぐに飛び込んできたのは、まばゆいばかりの白いモフモフだった。


 わぁ……。なんだか、呪いというにはずいぶん可愛らしい? 二足歩行の狼?


 思わず真剣な目で見てしまった直後、あまりに失礼な自分の行動を恥じる。


「……まもなく神殿長が参ります。それまで、よろしければこちらをどうぞ」


 白いモフモフ様が、目を見開く。

 あっ、本当にキレイ。

 その瞳は、樹氷みたいなアイスブルーをしていた。


「……お構いなく」


 思いの外、その声は沈んでいる。

 当たり前よね……。今、王都は騎士団の凱旋に沸いていると聞いているもの。

 本当だったら、騎士様も王都に帰還して、祝福を受けているはずなのに。


「あの……。差し出がましいかもしれませんが、月光花のお茶です。少しでも、お身体のためになればと」


「月光花? ……そんなに高価なもの」


 騎士様は、月光花の価値を知っているみたい。

 おそらく、普通に飲んだら渋くて飲めないほどのお茶。市場にはあまり出回っていない。


 もしかしたら、呪いを解くために色々試した中で、月光花のお茶も飲んだのかもしれない。


「せっかくご用意いたしましたので、ぜひ」


「……失礼する」


 騎士様は、大きな口を開けると、口の中に注ぐように、お茶を一気に飲み干した。

 熱くないのかと心配になってしまう。

 狼の口では、飲みにくそう……。せめて、氷で冷やしておくべきだったのかもしれない。


「……ずいぶん飲みやすいな」


 大きなモフモフの手のせいで、妙に小さく見えるカップを見つめて、騎士様がつぶやいた。


「えっと、秘伝のレシピなのです」


「……そうか。ありがとう」


 騎士様は、笑ったように見えた。

 ごめんなさい。笑った顔の狼、本当にかわいいです。


「っ……。は、はい!」


 私は、淑女の礼を返す。

 すると、騎士様は少し驚いたように目を見張った。

 なにか、おかしなことをしてしまったかしら?


「ご令嬢、俺のことは、アースと呼んでくれ。しばらくここで世話になる予定だ。よろしく頼む」


「こちらこそ、よろしくお願いいたします」


 お辞儀をして部屋から出ようとした私の手を、アース様がつかんだ。


「え……?」


「えっ?」


 驚いて思わず出た声に、なぜかアース様まで驚いたように声を上げて手を引っ込めた。


 どうしよう。予想以上にモフフワで、思わず口元が弛んでしまいそう。


「あの……?」


「失礼した。あ〜。もしよかったら、名前を教えてくれないか?」


「こちらで下働きをしております、ルーシアです」


「下働き?」


 そう。下働きのルーシア。

 それが今の私の立ち位置。


「……失礼します」


「ああ……」


 ほんの少し納得がいかないという空気を感じた私は、そそくさと部屋を去る。


 そのあと、なぜかアース様は、ほんのひとときだけ人間の姿に戻ったらしい。


 もしかしたら、月光花のお茶も少しは役に立ったのかな? だとしたら、お役に立ててうれしいな。


 翌日そのことを知って、私は呑気にそんなことを考えた。

 まさか、二度目の人生の大激動期を迎えるなんて知りもせずに。


 


モフモフ騎士様(*'▽'*)


ぜひ、ブクマや下にある☆を押しての応援お願いします。

頑張ります! よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かわいいものが、書きたくなって、新作投稿しました。鬼騎士団長と乙女系カフェのちょっと訳あり平凡店員のファンタジーラブコメです。
☆新作☆ 鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ