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3討伐対象:スライム

「あの…スライムに無視された理由に何か心当たりとかありますか?」


「さっぱり分からない、本当に…何で見逃してもらえたんだろう」


うう、もしもスライムが標的を無視する条件とかが分かれば良かったのに…

でも分からないものは仕方がない。

一人は分からないが、今は奇跡的に初クエストの4人のうち3人は生きている。どうかこの3人だけでも生き延びたい。


でも…後何分でクエストが終わるのか分からないし、喉もカラカラで腹も減ってる…。精神的にもかなり辛い。


「い、いや!」


ずっと横になっていた新島が急に悲鳴を上げ立ち上がり、ある方向を指さしながら震える。


「ん、どうしたんですか?」


「…あ、あれ…今確かそこに…」


ただならぬ新島の雰囲気に、内野とスーツの男もその方向を見て警戒する。

だが指を差した方向には何もいない。そこにあるのは、周りにあるものと変わらない普通の木のみ。


「何を見たんですか?別に何もいないんですけど…


スーツの男が新島の方を向いた瞬間

木の陰に隠れていたゲジゲジが3人に向かって毒を放った。


「ダメ!離れて!」


新島が離れるように叫び、内野は毒に当たることなく後ろに下がることが出来た。だがよそ見していたスーツの男は離れるのが一歩遅く、左足の指先に毒が掛かってしまった。


「うがぁぁぁ!い、痛い!」


スーツ男は左足を抑えてその場に転がり込む。

内野と新島はスーツの男の腕を引っ張るが、その間にも虫は苦しんでいるスーツ男の向かい距離を詰めてくる。


ど、どうしよう!今武器がこの刃無しの剣ぐらいしかない!

いや…そうだ、まだスキルがあるんだ!


「ッ!新島さん!スキル使えますか!?」


「つ、使える!ポイズン!」


スキル名を言った新島の手の平から、さっきのゲジゲジが出した緑色の毒とは違い紫色の液体が噴出し、見事相手の頭に命中した。

すると毒に当たった事で苦しそうに悶え、四方八方に毒をばら撒き始める。


毒女のスキルが効いて良かったけど…殺すまでには至らないか…

それに暴れているから近づけないが、出来れば今の内に殺しておきたい。


そこで内野は片手に持っている刃無しの残骸を見て思いつく。


…投げたら殺せるか?

正直刃が無いから使い道がこれぐらいしか無い、取り敢えずやってみよう。


内野は虫にトドメを刺す為、本気で剣の残骸を投げてみる。


ガッ!

投擲した剣の柄部分が虫の頭に当たり、毒を噴出している虫の頭が砕ける。


「やったの…かな?」


「多分…」


それ以降虫が動く事はなかった。恐らく死んだのだろうが、辺りに虫の吐いた液体が撒かれており近づいて確認するのは危険だと判断した。


「ハァ…ハァ…終わり…ましたか…?」


「はい、それよりも足大丈夫ですか!?」


「う…痛いくて動けないけど…血はそこまで出てないし多分大丈夫…です」


液体が掛かった部分の靴は溶け、それはスーツの男の足へまで及んでいた。だが内野が思っていたほど怪我は酷くはなく、血はそこまで出ていなかった。


良かった…あれは鉄さえも簡単に溶かすような液体だったから、てっきり指が完全になくなるぐらい酷いものかと思った…




「僕の名前は進上(しんじょう) 誠也(せいや)。二人のお陰で助かったよ。

二人は僕を見捨てて逃げる事も出来たはずなのに、それをしないで助けてくれて本当にありがとう!」


10分ぐらいで大分痛みが引いてきたらしく、動かなければ痛まない程度にはなった。

そしてスーツの男は自分の名前を言い、俺達に感謝の言葉を述べる。


あまり誰かに感謝されるのに慣れていないので少しこそばゆい。

だが悪い気は全くしないし、この人を助けて良かったと心底思う。


「いえいえ、こんな状況ですし助け合いましょう。僕らと来たもう一人の子はどうなったか分かりませんが、せめて僕らだけでも生きて…


バサッ!

内野がそう話していると、後方の草むらから音がした。

そして現れたのは…


「あ!やっぱり3人いた!」


鉄製の兜を被った女だった。兜は中世の騎士が付けていた物に似ており、顔は隠れていたので見えない。だがその声は何処かで聞いた事がある声だし、その兜も何処かで見た気がするものだった。


「凄いわよね!私達4人とも初めてなのに生き残ってるなんて!」


「あ!もしかして金髪の僕らと一緒にいた人!?」


「そうよ!そのくらい顔見ればわかるでしょ!」


「いや顔見えないんですって」


この人は俺達と共に召喚されたギャルだ。そういえば兜を福袋でゲットしてたな。

内野とギャルがそんなコントみたいなやり取りをしていると


「ギャルさん!生きていたんですね!それにしても、何でそんな重そうな兜被ってるんですか」


進上が兜を見ながらそう言う。


「この兜脱げないのよ!あんたら手伝いなさい!

あ、でも貴方は怪我してるみたいだしこっちの二人に任せるわ」


え~脱げないって呪いの装備かよ。体力をあまり使いたくないし勘弁してくれ。

それに喉元も乾いてきたし腹も減ってきた…


「もしも脱げたら私のペットボトルをあんたらに分けてやってもいいわよ。」


よし、引っ張るの頑張ろう。


内野と新島は2人で兜を引っ張り始めた。



ギャルが木に掴まって踏ん張り、2人で引っ張ってみたが兜は抜けない。これ以上体力は使えないということで3人は諦めた。


なお、以外とギャルは優しくペットボトルの水を分けてくれた。人は見かけによらないって事か。

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