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いつもの世界

次に目を開けた時、そこはいつも通る通学路の道だった。そこはクエストが始まる前にいた場所で、辺りはすっかり真っ暗になっていた。


か、帰って来た…んだよな?まさか俺の夢だったとかじゃないよな?


さっきまで森の中にいて汚れたはずの制服は綺麗になっており、転移時には持っていなかった学校の課題も今は持っている。


噓…まさか本当に夢だったのか…?

俺の妄想力が強くなり過ぎて、遂に現実と区別がつかなくなったか!?


内野がそんな事を考えていると

--------------------------------------------  

『クエスト失敗』

1位梅垣 海斗 QP21

2位内野 勇太 QP15 

3位新島 藍  QP1

4位工藤 鈴音 QP0

4位進上 誠也 QP0

--------------------------------------------

目の前にステータスの画面で出ていたものと同じ様なボードが現れた。


何だこれ、新島・工藤・進上はあの3人の名前だが…これって3人が生還したって事か!?

よかった…皆無事に生き残れたんだ…

一番上の梅垣って人は知らない人だが、多分他の所で戦っていた人なのだろう。

名前の横にQP12とあるが、この二つを俺はゲット出来たって事か?

取り敢えずステータスを開いて見れば分かるか。


内野がステータスを出して確認しようとすると



「あれれぇ、君こんな夜中に何で歩いてんの~」


背後から声が聞こえ振り返る。

そこにはガラの悪い連中が4人いた。


「俺さぁ、今金ねぇんだけどさ。俺に少し貸してくんね」

「おい、お前だけずるいぞ。なら俺にも金貸してよ」

「大丈夫だって、しっかり返すからよぉ~」


一番背の高い者が内野の肩に腕を掛けそんな事を言ってくる。

完全に4人に囲まれる形で包囲され、金を貸すように要求してくる。


やばい奴らに絡まれた…

周りには誰もいないし、自力でどうにかするしかないか…


「あの…今お金持ってないので失礼しm…」


「噓つくんじゃねぇ!」

「ぶっ殺すぞぉ!」


男二人がそう怒鳴りながら内野の胸を小突いてくる。

いつもの内野ならビビっていただろうが、今はクエストの事で頭がいっぱいでそれどころではなかった。


本当なんです、と言っても信じてくれなさそうだ。

今は早くあそこでの出来事を整理したいんだけど…どう切り抜けよう…


あっ、もし現実でもステータスが適用されるなら…抜け方は幾らでもあるな。


試しに肩に掛けてきている男の腕を強く掴み、強引に振りほどいてみる。


「ッ!痛ってえな!」


すると男はキレだし、もう片方の腕で内野の腹を本気で殴る。

が、全く痛みは感じない。


やっぱりそうか!なら…


殴られたことでステータスがこっちでも適応されると分かり、内野は目の前にいる男の足の後ろに足を引っ掛け、両手で両肩を倒す。

単純な方法だが、男は油断しており勢い良く後ろに倒れる。

そして逃げ道が出来た瞬間、さっき森で走っていた時のように全力で走りだす。


逃げる時、念の為相手を怪我させていないか振り向いて確認するが、4人が元気よく自分を追いかけてきているのが見える。


元気そうでよかった、もしも後頭部でも打って怪我させてたら大問題だしな。

だけど今は構っていられる余裕はない、早く家に帰って頭を整理させてくれ。


「テメェ!待ちやがれ!」

「絶対にぶっ殺す!」


4人は追いかけながらそんな事を言っているが、内野との差はどんどん開くばかりであった。


「あいつは早いぞ!」

「てめぇの顔覚えたからな!」

「次会った時覚えとけよ!」

「このクソチビがぁ!調子乗んなよ!」


やがて4人は追いかけるのを諦め、逃げる内野に向かって好き勝手言う。


やっぱりステータスの恩恵って凄い。相手だって足は早い方だと思うが、今の俺に全く追いつけていない…ってあれ…

俺ってこんなに足速かったっけ?

森で走った時は足場が悪かったからか、さっきよりも今の方が数段早く走れている気がするな。


そう考えながら逃げる内野だったが、この時はまだ気がついていなかった。

4人組に絡まれたときに課題を落としてしまっていた事を。



家の近くの駅まで着いた。

普段は内野が学校から走って30分ぐらいで着くが、今回は20分も掛からずに駅まで着いた。


途中で待ち時間の長い信号に当たったけど、それでもこの時間だ。今度50m走のタイムでも計って、どの位早くなったのか確かめてみよう。



そんなこんなで正樹の家の前まで着いた。


正樹に預かってもらってた荷物だが…どうするか…


駅で時計を見たが、こっちでも4時間経過していた。向こうの世界とは時間の流れが違うだとかの都合の良い設定などは無く、時流れは同じようだ。

なので今は0時を過ぎており、流石にインターホンを鳴らすわけにはいかなかった。


でも筆記用具も鞄に全て入ってるから、明日の課題をやるためには鞄が無いと…



ってあれ、課題が見当たらん。こっちに戻って来た時は持っていたのだが…もしかして落とした?


まずい…先生に何て言い訳しよう…



そうだ、休もう。鞄は明日取りに行けばいいし。

それに色々あったせいで頭が疲れた。今日もう家帰って直ぐに寝よう。考えるのは明日でいい。


その後内野は家に帰り、水も飲まず、飯も食わず、風呂にも入らず、直ぐにベッドの中に入り眠りについた。


こうして内野の奇妙な一日は幕を閉じた。


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