表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/41

第7話 王子

王子のちょっとした真相がわかる話です。

拙い文章ですが、よろしくお願いします。


結局、私はサイファー王子と仮契約を結ぶことになった。

王子との仮契約が優先らしく、私は悩むだけ無駄だったことだけが分かった。


「ラルさん、よろしくね」


光のように眩しい笑顔で、彼はにこやかに手を差し伸べる。


「あ、はい。足を引っ張らないように頑張ります…」


他の女子生徒がどう思うか怖くて、差し出された彼の手に自分の水晶を握らせておいた。ふっ、と鼻で笑われたような気がするが、気にしない。


互いに仮契約を結ぶ。


「わぁ、さすが王子様。なんかこう、みなぎってくる力が違いますね!すごい」


「そうですか?ラルさんも、面白い力を持っているようですね」


「あ、ありがとうござい、ます」


王子様に褒められるなんて恐れ多い。思わず距離を取ってお礼を言う。


「なんでそんなに避けるんですか?」


「いや、これはサイファー王子が嫌なわけではなくて、周りの目が…」


「あぁ、僕の周りの女性ですか」


と、彼が言った途端、


「…!」


どす黒い感情が、契約している私の中に入ってきた。思わずサイファー王子を見ると、一瞬、感情のこもっていない冷めた目が見えた。


「どうかしました?」


そういう心配する彼はいつもの目に戻っている。


「あの、サイファー王子って…」


「僕がどうかしました?」


…これ以上はよそう。さっきの感情で分かった。彼はきっと女性が嫌いだ。


サイファー王子との仮契約も何事もなく終わった。若干、危ない面もあったけれど、[使徒]としての本能だろうか、彼の安全を一番に考えて行動していた。


「それにしても、さっきは危なかったですね。サイファー王子が丸焼きになるかと思いました」


「あの炎ですか、僕は氷魔法に長けているから大丈夫だったのに」


「どうしてでしょうね。気付いたら、飛び出してました」


えへへ、と腕を後ろにしながら笑っておく。


「…僕が気付かないとでも?」


突然、腕を取られた。


「っ!」


「ほら、火傷してる」


「…バレてました?」


テキパキと私の右腕を氷で冷やして包帯を巻く。さすが王子、応急処置もお手の物だ。魔法に治療に何でもできるじゃないか。


「僕を守ろうとしなくても大丈夫ですよ」


じっと、私の目を見ながら彼は少しだけ笑って言う。

でも、表情とは裏腹に目が冷たい。


そして、私にとって地獄がやってきた。サイファー王子の取り巻きではない。Aクラスにそんな心の狭い女子は、多分いない、と信じたい。


今日でラストのペアです、なんて抜かす担任の顔を引っぱたきたくなった。


「ちっ。お前、俺に近づくなよ、下民」


「はいはい。グレン様」


殴ってやりたい。投げるように渡された水晶にありったけの怨念を込めてやる。力んだせいで、ちょっと火傷が痛んだ。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

次回はグレンについてのメイン回が続きます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ