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防衛拠点ボロック  作者: 木島別弥
第四章 特級城建築ボロック
8/19

4-1

「おう、おまえら、また戦いに勝ったんだってな。今度も、おまえたちの強さに見合うだけの強さの城に改築しておいてやったぞ。特級城建築にしておいた。」

 築城技師がいった。

 王国から派遣されてきた重装歩兵たちが仲間になり、味方の兵力は2000人ほどになった。

 クラップは、戦闘や政治ばかりに時間をかけていられなくなり、宿泊施設の運営に時間をとられることが多くなった。兵站が軍隊でどれだけ大事かをクラップも思い知らされた。

 武器で反抗してくる者は少ないが、いないわけではなく、ひとつしかない命を守るのはたいへんだった。

 武器で反抗してくる者の他に、平和的な交渉で仲間から叩かれることもあった。何かと疲れる。「これでも全力でやってるんだ。わかってくれ」といって、わかってもらうしかなかった。

 ジンジャンは婚約を受けてくれた。それはクラップの喜びだった。

 ジンジャンとシドニーが一緒にいるところに出くわして、(婚約したのに何ごとだ。双子の兄弟だといってもけしからん。)などとクラップが思っていると、シドニーが男装の女剣士だとわかってしまった。

 ジンジャンとシドニーは女の一卵性双生児だったのだ。シドニーにこんな秘密があったとは。シドニーはクラップの知らない間、ずっとボロックに住んでいたという。男装の女剣士で、魔法剣士で、婚約者の双子の姉妹だ。シドニーの謎は解明された。

 このことをロスに話してもいいのだろうかとクラップは考えた。重装歩兵たちの宿泊の運営に頭を悩ましているのに、男装の美剣士のことが気になって仕方ない。ロスとシドニーは仲が良いのかどうかを、クラップは思いを巡らした。面倒くさいので、とっととジンジャンに相談したら、

「実は、わたしも自分に双子の姉妹がいたなんて知らなかったから、どうしたらいいのかわからない」

 という。

「ロスに教えようか」

 ともちかけると、

「でも、男装の美剣士なんてものに遭遇するのは人生でも何度もあるものじゃないから、それを教えるには、かなりどう演出するか悩むわね」

 という。

 男装の美剣士で、しかも双子だものなあ。さらに、ジンジャンとシドニーはかなりの器量よしだ。

「シドニーはどう思ってるんだろうな」

「あ、そうか。シドニー自身の考えねえ」

 クラップとジンジャンは、ずっと自分たちに隠れて暮らしてきたシドニーの思考に興味が尽きなかった。領主であるクラップに隠れて生きていた同じ年齢の女の子シドニー。魔法剣はどこで修業したんだろうか。

 すると、シドニーの方からやってきていった。

「ロスには、ぼくのことは黙っていてくれ。ロスは、ぼくより、天才軍師イージニーや、盗賊に囚われていた女修道士の方がいいだろう」

 ああ、そういえば、盗賊に囚われていた女修道士はすごい美人だったな、とクラップは思った。

「シドニーは、イージニーのことを天才軍師だと思ってるのか」

 クラップが興味をもってたずねると、

「いや、もちろん、イージニーではとても天才とはいえないだろう。天才とはぼくのようなものをいうのだ。だけど、イージニーのことは天才軍師だといっておくと、そのうち本当に天才軍師になるかもしれないから、そうしよう」

 といった。


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