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防衛拠点ボロック  作者: 木島別弥
第八章 聖なる城ボロック
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8-1

「おう、おまえら、また戦いに勝ったんだってな。おまえたちの強さに見合った城に改築するのは、おれたちも大変だぜ。今度は、聖なる城にしておいたぞ。」

 築城技師がいった。

 王都が陥落したため、いずれ、王都を攻めていた魔族の主力部隊がボロックに攻めてくる可能性が高くなってきた。これからの戦いはさらに厳しくなりそうだ。

 最弱の城ボロックに人類の凄腕が集まっていると、魔族の間で話題になっているらしい。魔族に『約束の置時計』のことが知られたのかどうかはわからない。

 ちょっと驚くことが起こった。謎の来訪者メイビーとシドニーが秘密の婚約をしたというのだ。それを聞いた時はクラップも驚いた。まだ、ボロックのほとんどの人は、シドニーが男装の女だとは知らない。いまだ、魔法剣士シドニーは憧れの対象として、ボロックでの人気は上々だ。それが、男装の女だったことがわかり、さらに、謎の来訪者メイビーと一緒になることが知れ渡ったら、ちょっとした事件だ。

「謎の来訪者メイビー、きみはいったい何者だったんだ」

 クラップが質問すると、メイビーが笑った。

「おれは、おまえの双子の兄だ。生まれた時、おれが神界へ送られ、おまえがボロックで育った。」

 クラップは衝撃の事実に驚いた。

 ということは、クラップとメイビーが双子の兄弟で、ジンジャンとシドニーが双子の姉妹で、クラップとジンジャンが婚約して、メイビーとシドニーが婚約したということなのか。複雑だ。

「ロスは知っているのか、そのことは」

「ロスは知らないみたい。なかなか切り出せなくて」

「いつまでも黙っておくわけにはいかないだろう」

「クラップからうまくいってよ」

 ジンジャンがそういうので、クラップがこの複雑な間柄をロスに告げると、ロスは驚いたようだが、冷静に受け止めたようだった。

「おれも、自分がゾンビになったくらいだからね。きみたちにも、それくらいの謎があってしかるべきだと思うんだよ」

 ロスがいう。砲兵隊長ロスは、最近は、兵士たちの間での人気はうなぎのぼりで、シドニーに劣らぬ支持者がいた。

「クラップ、王国の指導者という人から手紙が来て、人間の軍を一度立て直すため、ボロックの兵をすべて集めて、第二王都へ来てくれといってるんだけど、どうする?」

 司令室の兵がそういう。

「うちに、よそへ来いというのは、知らないやつらだろう。断りの手紙を出しておいてくれ」

 クラップが答える。

「判断をまちがえると、終わりだからな」

「肝が冷えるぜ」

 クラップとロスが言い合う。


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