こんな恋がしたい?
まだ、暑くてクーラーをつけたくなる陽気だ。俺は汗を大量にかきながら坂道を登る。シャツが汗でグチョグチョで気持ちが悪い。もっと行きやすい場所にあればいいのに、地元は坂が多くて嫌になる。家に戻りたくなる。けれど、彼女に会えると思うと頑張れるのだから不思議なものである。彼女の好きな花を持って彼女のもとに向かった。彼女はいつもの場所で毎年待っている。
彼女は麦わら帽子を被り、白いワンピースを着ていた。
「久しぶり」
「久しぶりだね。変わらないね」
「お前も変わらないな。昔のまんまだよ。この場所も」
「元気にしてた?」
「俺は元気だよ。」
俺はいつものように花を生けた。そして、最近あった面白い出来事を話していく。例えば、漫画の世界だけだと思っていたが友人がバナナの皮で転ぶ瞬間を目撃した話しや部長のズラがよりにもよって大事な商談の時にずれてしまった話しなどをした。
「いつもありがとう。」
「また来るよ。向日葵。」
「うん、またね。」
彼女の昔の姿を思い出しながら、話しかけていたら既に夕方だ。あんなに濡れていたシャツも既に乾いている。天国は楽しめているのだろうか。元気に歩きまわれているのだろうか。
「はあー、家に帰って酒を飲むか。」
墓に生けた向日葵が風で揺れる。
△
いつも彼はお盆になると田舎に帰省する。勿論、家族に会いに来る。そして、死んでしまった私に。もう、3年も前なのに馬鹿な人だ。私じゃなくて他のいい人を探せばいいのに、墓石に私が座っているから墓石に彼は話し掛けると全然目線が合わない。少し悲しい気持ちになる。もう少し目線を上げてと言っても通じない。私が見えてもいないのだから仕方がないか。やっぱり早く成仏しようかな。
向日葵が風で揺れる。
『私だけを見つめてる』か。もう少しだけ居ようかな。
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思いつきで書いた処女作です。最後まで読んで頂きありがとうございます。