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65 美しい湖の王国

 さて、どうせ縁もないエルフ騒動はともかく、聖なる森をかすめて、山をゆっくりと下ると、やがて遠い向こうの山の麓の辺りから太陽にきらきら光る青い水面がみえてきました。


「綺麗な湖……」


 ちょうど盆地となっている場所に青々とした湖が広がっています。

 三日月のような形になっていて、青い月という別名でも呼ばれています。

 流石風光明媚とうたわれるリディナだけあって、どこへ行っても綺麗な景色がただで拝めます。


「あれはリディナ湖ですよ」


 地理歴史に詳しいシルヴァさんが解説をしてくれます。古の人間と魔族との戦争よりもさらに大昔のこと。世界が天界、地上、魔界に分かたれた天地創造の時代、この湖は神様が地上と天界を行き来する時に使われ、この湖に降り立っては、また天に戻るときにここを使ったんだとか。

 天への玄関口として、教会の聖地にも指定されています。

 流石古代知識に詳しいシルヴァさんです。


「偉大なる神様の軌跡を今辿る……ああ、わたしはなんと幸せなのでしょう」


 ついでに、マリーさんも湖に向かって祈りを捧げています。


 うきうきの解説をきいているうちに、湖のわたしたちからみて反対側の湖岸にお城が見えてきます。

 湖に映るお城は絵はがきにでてきそうなぐらいに美しい。

 古の勇者が立ち寄ったとされる歴史ある国、そして美しいお城と湖は、立ち寄った旅人、詩人によって、幾度も称えられているそうです。


 そして湖畔に広がる綺麗な麦畑に、綿花畑を抜け、やがて城下町にたどり着きました。

 さんざん旅程が遅れ、さらに途中死霊に襲われるなど、思った以上にトラブルに見舞われて、ようやくリディナ王国へ到着。

 城下町といっても、ちょっと賑やかな温泉街みたいなものです。

 ほっと一息、といいたいところですが、大問題が発生しました。

 城下に無事到着したものの、わたしたちパーティーは、金欠にあえぐことになったのです。


「これはまずい……」


 改めて、今回の旅程でのお金の記録やアイテム在庫の確認をしてみて、真っ青。失ったものをまとめてみるとかなりの損失がでていることが判明しました 

 放棄した馬車の調達、必要な物資、使い込んだ換え馬の用意……。

 それらを改めて買い直すために、出費出費また出費。

 かなり厳しい状態に追い込まれていました。

 今まで健全だった帳簿の数字が一気に悪化。


 ただちに旅ができなくなるほどの影響はありませんが、黄色信号が点りました。

 赤信号に変わる前になんとかしなくてはいけない。

 大きな収入があればまた助かりますが、その見込みはありません。

 それまでは、なんとか節約して、かなり色々切り詰めなくてはいけなくなりました。


「お、あの店の肉料理、美味しそうだ。あとで行ってみたいなあ」

「あの酒場も美味しそうなお酒飲めそうだよ」


 みんなここ数日のストレスと鬱憤を晴らそうと張り切っています。


 悪い材料はまだ沢山。街にゆく途中でこっそり市場調査。

リディナ王国は小さな国で、意外に物価が高いです。

 先の比較的大きな町だったシエレンの町とは異なります。

 宿にしろ、居酒屋にしろ、武器防具、馬具。

 お店はあっても、だいたいが独占、寡占。

 どれもお高いです通常の五割り増しは当たり前で、二倍、三倍なんてものもあります。


「どうした? エレーナ」

「い、いや、なんでも……とりあえず宿を探しましょう」

「おう頼むよ」

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