61 無事お日様の下へ。でもなんか引っかかる。
「やったっ出たぞ!」
うひゃ、眩しいーー。
「よし、もう大丈夫だっ」
皆まぶしさに目をつぶりながらも、落馬しないように馬をあやつります。
すぐに馬を飛び降りて、ルビーさんが縛りを解いてくれました。
「さあ、エレーナ」
「あ、ありがとうございます」
もう大丈夫、と思いましたが、なんと、勢いあまって外に出てしまった死竜が、太陽の光に焼かれながらもやってきます。。
「ひええっ」
そしてわたしの方に追いかけてきます。
ずしん、ずしん、と。
みんなほっと一息ついたのに、わたしだけ、まだ終わってません。
目をつぶりながら、必死に逃げます。
「うきゃっ」
途中で石につまづいて、こけました。
「あわ……」
また目の前に死竜が。
けれどもーー。
わたしの一歩手前で死竜の前進が止まりました。
ああ、これでもう大丈夫です。
光の元では死霊は生きていけません、というか存在できません。
きゅうううという声にならない声をあげてもがいています。
光が闇の力で復活した魔物を浄化していきます。
やがて骨にヒビが入り、無数に広がり、ばりん、ばりんと、砕け散っていきます。
自然に戻っていくようにーー。
最後には灰燼となってさらさらと風に舞い散って無に帰って行きます。
なんか、わたしに執着していたようですが、成仏してください……なむ……手を合わせます。
「はあ、やっと終わった……」
目もようやくなれてきました。
また入り口のトンネルに引き返します。
しばらく皆さん放心状態、強敵とぶつかって、久々に陥った危機と、それを乗り切った安堵で、地面に腰を下ろしています。
「み、みんな無事か……」
勇者さまが一斉点呼。
「は、はい」
ルビーさん、シルヴァさん、マリーさん。
馬車は失ってしまいましたけど、幸いにも、全員無事。
「とんでもないのが、潜んでいたな……ここの坑道」
「え、ええ……」
「でも魔界に行けばあんなの無数にいるんでしょうね」
私をあえて攻撃してこなかった理由があるような……あれはなんでしょう。
おっと、めがね、めがね。
「はあ……はあ……」
胸のポケットに入っていました。かけ直しました。
「なんで、あんなのがあんな場所にいるんだよ……」
「さ、さあ……わかりません」
わたしに聞かれてもわかりませんが、なぜかあの死竜はわたしに執着してきたので、わたしが担当になってしまったようです。
なんとなく、ゲームがバグっているのと同じような感じがするのは気のせいでしょうか。
元々ゲームみたいな世界観ですけど。
「何か、あの死竜、エレちゃんを知ってたようにも見えたんだけど」
ルビーさんも腰をついたまま、息もまだ戻っていませんが、こちらをちらりとみています。
「わたし、知りませんよ」
あんな竜に見覚えなんてありませんけどね。
竜と言えば、前世でわたしがよくやってたゲーム、シャイニングワールドの三作目の時に、よく仲間にした竜をパーティーメンバーでよく使ってましたけどね。モンスターを仲間にするシステムがどうとかで。
まあそんな話をしてもしょうがないでしょう。
「まあそうだよな……」
「なんか世界がおかしくなってるってやつでしょうか」
考察好きのシルヴァさんが、腕を組んでいます。
「それは考えられますね」
マリーさんも同調。
そういえばコボルトがわたしを狙ってきたのも、どこかに連れて行こうとしていたのも、ひょっとしてなんか目的があったとか。
いやいや、単なる偶然でしょう。




