49 コボルト退治②
この集団は茂みの中に居を構えていました。
宝石をばらまくとわらわら集まってきます。
そこをルビーさん、勇者様がねらい打ちします。
勇者様は剣を振るい、
ルビーさんが斧を薙払う度に、コボルトたちはその数を減らしてゆき、ついにはゼロに。
気持ちいいぐらいに圧倒的です。
まあ既に経験してきた戦いとつけてきた実力を考えれば、こんなもんです。
「よし、ここはこんなもんかな」
また宝石をそこいらに置いて巣の探索を再開しました。
またやってきました。
今回は一発で巣にたどり着きました。
しばらくすると、洞穴が現れます。人が入れる程度の小さな穴。
勇者様がこっちこっちと手招きしています。
やはりここが住処のようです。
もちろんおいそれと入って行くようなことはしません。
「また頼んだぞ、エレーナ」
「はい……」
ここからが本番。
慎重に洞窟に足を踏み入れます。わたしが一人。
一歩一歩。抜き足、差し足。
「エレーナちゃん、何かあったら、ちゃんとマリーが治してあげるからね」
「ぜ、絶対ですよっ」
簡単な罠を仕掛けます。
おびき寄せるのはわたしの役目です。
結構、危険。
皮の胸当てや腰あてで守られていますが、完全に守っているわけでもないし。戦士さんたちのようにちょっとダメージを食らっても平気な強い身体を持っているわけでもなし。
ギリギリまで入っていって宝石をばらまいていきます。
そして入り口のあたりまでちょこちょこ置いて。
「よっと」
一応護衛のルビーさんがついてきてくれていますが、ルビーさんがいくとますますコボルトは警戒して奥に引っ込んでしまいますので、彼女は全面には出しません。
「この辺りでしょうか……」
「もうちょっと奥まで行こう」
貨幣的な価値ではなくて、単純に輝く綺麗なものが好き、というもののようです。
こちらの世界の宝石は基本、前世にいた世界よりも質が高い。
宝石は魔力の象徴でもあるみたいですし。
あっちの世界に持っていくことができたら、大金持ちになれるんでしょうが……。流石にそれは無理そうです。
使用する宝石は、一番安くて綺麗とされるギンザナイトを主に使います。暗闇の中でもよく光り、見つけやすい。
宝石の中ではお安い値段です。用途も宝石ではなく矢の先や、ナイフの先端につけて、小道具として使います。それでもそこそこの値がしますが……。
このギンザナイトをたっぷり用意しますので、結構重いのです。
それを洞窟の中にばらまいてゆきました。
洞窟内の戦闘は、基本こちらが不利になります。
なのですばしっこいコボルトの機動力を生かさせない戦術を取ります。
出てくる場所は出入り口。明るくなって、いまいち眼が慣れていなくて、動きが鈍る。そこを狙うわけです。
さらに、がめついコボルトは、宝石を死ぬまで離さない習性があります。ろくに反撃できず、つかんだまま絶命しています。
宝石はまた回収して再利用。
結構奥まで来ました。
外の明かりが見えるぐらいにぎりぎり。
「うん、いいんじゃない?」
宝石をおいたら、そそくさと撤収。その途中で、また宝石を置きます。
洞窟前でまた待機。
あ、出てきました。
可哀そうなコボルトちゃん。尖がった耳に、子供よりも小さな背丈。
なのに顔は老人。
きゅしゅ、けけけ。
奇妙な言葉と笑いですね。
宝石につられて出てきたところを勇者様とルビーさんがしとめます。
ぐしゃ、どす、という効果音がしました。
みないみない。
多少の小道具を使いますが、大丈夫です。
そして宝石、回収。
それをまた再利用。
同じことを何度か繰り返します。彼らは学習しませんので、同じ罠が通用します。
こういうところも、人間の脅威にならない部分です。
おおむね退治したところを、最後に巣の中に、煙幕を放り込みバル○んのようにいぶり出します。
残りのコボルトたち。巣の中からたまらず出てきたところを、一体一体やっていきます。
あとからあとから出てきて、その度にルビーさんの斧や、勇者様の剣が炸裂します。
ぐしゃっばき。
具体的な状況は、いいません。
思ったより数は多かったですね。
煙は別の場所から出てきたりもしていませんので、抜け穴もなく、これ以上はでてこないでしょう。




