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20 勇者様と初めてのご対面

 そして初顔合わせの日。

 出発を一ヶ月後に控え、諸々の準備で忙しい中、グラスタニアの王宮で王様に謁見する前に、一度顔を合わせた方が良いということで、勇者一行全員がお城の一室で集まりました。

 会議室かどこかでしょうか。

 

「やあ、あたしはルビー。グラスタニア冒険協会から行ってこいって言われたんだよ」


 一番遅れてきたルビーさん、実はお城に一番乗りだそうです。

 実は朝からここに到着。

 面倒だから、と。朝まで居酒屋で飲んで、そのままお城の堀の横で寝ていたとか。

 その後の切り込み隊長と名付けられるせっかちさは、この時もいかんなく発揮していました。

 ついでに部屋中がお酒臭かったです。


「へえー、エレちゃんは、その年で加わるのかい、偉いねえ。まあ、一杯やりなって」


 よく見れば酒瓶と杯。まだ酔っぱらいってます。


「あの……わたし十四才なんですけど……」

「もう立派な大人じゃないかあ、ほらいきなって」


 苦手なお酒を飲まされそうになった時に、次に自己紹介はシルヴァさん。ちなみに彼女とは二人で最初に自己紹介しあっています。


「魔法ギルドから参加、シルバちゃん、って呼んでいいですよ」


 王立図書館と魔法学校を行き来しているのでこのお城は自分の庭みたいなもん、というとおり、研究している魔法に関する本が片手。

 そして、皆が集まるまでまだ、時間ありそうだ、ということで床にどかっと腰を下ろして、本を開いて読み始めました。

 わー勉強熱心。


「あ、わたしはエレーナです、よろしくお願いします。行商人組合から参加することになりました」


 わたしも無難に挨拶します。

 そして、暖かい陽気の中、物々しい甲冑を着込んでいる暑苦しい人がやってきました。


「わたしはグラスタニア騎士団のリカルド。以後、お見知り置きを」


 そして胸に手をあて、敬礼のポーズ。

 すごく丁寧でインパクトのある方でした。

 暑苦しいと同時に、堅物で頼りになりそうとの印象を持ちました。

 きっと末永く勇者様を補佐していくものと。

 まさかこの人が最初に脱落するとはこの時には露にも思わず。


「……」

「で、さっきから部屋の隅にいるあの子も、そうなんだよな」


 こっちの輪に加わらず、ずっと椅子に座り机の上で手を組んで祈りをささげげている若い女性。

 聖職者のマリーさんでした。


「おーい、こっちに来なよ」

「聞こえてますかー」


 手を振りました。

 あ、今、ちらっとこっちをみました。

 聞こえているようです。

 何度か呼びかけると、ようやくこっちにきました。


「旅の成就をお祈りしてたんです」


 何も今そんな信心深いアピールをしなくとも……。

 貴重な回復役を担う聖職者さん。ちょっと見栄っぱりなところがありますね。





「いやあ、みんな、もう勢ぞろいか、よろしくな」


 フォルウィン君、勇者様が一番最後にやってきました。

 まだ田舎の青年で、作業着のままでした。


 改めて全員がそろったところで、一通り挨拶が行われました。

 グラスタニア王国の小さな部屋の一室で食事も用意され和やかな中で、小さな壮行会が行われました。


「これからは戦うときも飯を食うときも、寝るときも一緒になるからなあ」

「酒もだよっ」


 ルビーさんは今から楽しみだという。毎日みんなで旅をしながらお酒を飲みたいのだと。

 世界を旅していろんなところのお酒を飲むのが楽しみなんだそうです。

 今から筋金入りの下戸なわたしにとっては要注意人物入り。


「あの、あたしお酒のめません」


 早めに言っておいたほうがいいです。


「えーっ」

 

 旅でみんなと一杯することを楽しみにしていたというルビーさん、がっかり。

 でもきっと強引にすすめてきそうです。


「世界にある魔法をみて、新しい魔法の創作に取り組みたいですよ」


 シルヴァさんも魔法研究をさらに深めたいという夢を語りました。

 みんな、いろいろ夢があります。


「えー、と。わたしは……世界をみたいです」


 からあげ弁当買ったら転生してしまった理由を知りたいとはいいませんでした。




 そして、勇者様にがっかりされました。


「君、エレーナは子供かい? え? メンバーの一人? 大丈夫なのか?」


 一回り小さい身長で、子供だと思ったのです。


「……これでも14です」


 14といえば、こちらの世界では、もう立派な大人です。


「何!? 14なのか!?」


 特に私の胸を見て、がっかり。

 勇者様は、おっぱい星人だったようです。うむ、元気でよろしい。

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