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魔族王子とかつての師匠

投稿遅れてすみません。

また、ぼちぼち書いていきます!

「し、師匠……。いや、でも……さっきは確かにユーラだった筈じゃ……」


 困惑。

 頭の処理が追い付かなかった。

 さっきまでは確かにそこにユーラが立っていた。だが、今はどうだ? 俺の師匠の一人、フィルナがそこにいる。

 何故? 

 そんなこと、理由は1つしか浮かばないだろう?


「……ユーラと師匠は同一人物……なのか?」


 口に出して、無理矢理でも脳を働かせた。

 そうだ、そうとしか考えられない。


「やっと気付いたんだ。そうだよ、ユーラは私の仮の姿。まぁ、私は人間に化けるくらい造作もないしね」


 フィルナが話す。

 ようやく話の合点がいった。

 散らばったパズルのピースが繋がっていくように、思考回路がクリアになっていく。


「……なんで、俺を呼んだんだよ。魔族を裏切った俺を殺しに来たのか?」


 俺がそう言うと、フィルナは盛大な溜め息をついた。


「あのねぇ……なんで手塩にかけた弟子を家出程度で殺さなくちゃいけないの。別にその件に関しては私は何も言わないよ。それは君の生き方だしね。まぁ、中にはゆーくんを悪く言っていた人達もいたけど」


 過去形なのがすごい気になるけど、大事にはなってない事を祈ろう。


「だったら、なんでここに俺を呼んだんだ。俺に何をさせようってんだよ」


「別に、ただ私がゆーくんと話したかったから、ってだけだよ」


 パチンっとフィルナが指を鳴らす。

 すると、どこからともなくテーブルと椅子のセットが目の前に現れた。テーブルの上にはティーセットのようなものが置いてあり、椅子は2つある。

 どうやら座れというらしい。

 先にフィルナが椅子に腰を掛ける。

 警戒しなから、俺も椅子に座った。


「俺から何の情報を聞き出そうって言うんだ。はっきりいって、俺はそんなに魔族にとって有用な情報は持ってないからな」


「違うよ。私はゆーくんと話したいだけだから」


 フィルナはそう言いながら紅茶をカップに注いだ。

 それを俺に渡してきた。

 

「ねぇゆーくん。君が去ってからの魔国のこと、知りたくない?」


「別に、大して興味もない」


 だが、フィルナは話すことをやめない。

 少し強引なところがあるんだよな、この人。


「そう言わずにさ。まず次期魔王の話なんだけど、このままだと、次期魔王はゆーくんの妹――ノエリアちゃんになるよ。本当はゆーくんだったのにね」


 それは違う……と言いたかったが、俺はその言葉を噛み殺して紅茶を飲んだ。

 まぁ、思いもよらないだろう。

 親父か選んだのは長男である俺ではなく、妹のノエリアだという真実は。


「私達は今の魔王様の側近だった訳だし、これから違う魔族が新しい魔王の側近になるからって訳で、新しい迷宮をそれぞれ貰ったんだよ。あ、そう言えば迷宮とダンジョンの違いってわかるよね?」


「そりゃあ、さんざん教えて貰ったからな。故意で作り出したのが迷宮で、自然に発生したのがダンジョンだろ」


「そうそう。だから、私達は魔王様が新しく作った迷宮の担当になったんだ。でもね、これがまためんどくさいの。魔物を定期的に作り出したりとか魔力の貯蓄をしなきゃだとか。私的には家で薬草の調合とか、錬金術の素材集めとかしていたいんだけどね」


「魔王の側近がめんどくさいからって、そんなに早く投げ出していいのかよ。新しく出来たばかりだろうに」


「だから、ゆーくんにお願いしたいな。あと約20分くらいで勇者シオンはここに来る。だから、適度に戦って、私を追い出してほしいな。そしたら、私も晴れて自由の身。ゆーくんも評価あげられて一石二鳥だよね!」


「魔王の側近が言っていいことじゃないな……」


「そりゃあ、たまには愚痴でも吐き出さないとやってけないよ」


 紅茶を飲みつつ、フィルナはそう言った。

 俺も釣られるように紅茶を飲む。

 高級感があるこの紅茶、なんだか懐かしい感じがする。そう言えば、フィルナが錬金術の試作で紅茶のパックを作っていたっけ。もしかしたらそれかもしれない。


「それで、ゆーくんは何で勇者といるのかな? 私はすごく疑問に思うな」


「まぁ、成り行きって訳じゃないけど、理由は長くなる。少し語らせてくれ」


 俺はフィルナに3年前の出来事を話した。

 他の側近にはこんなこと言わない。フィルナは、俺が最も信頼感があると思っている魔族だから言うのだ。

 この人、わりと自由人な所があるが、口は固い。だから、俺も信頼して言葉を話せる。


「なるほど、だからゆーくんは魔国を出たんだね。それは、辛かったね。相談してほしかったけど、確かに事が大きすぎるもんね、言えないよね」


 フィルナは親身になって聞いてくれた。

 一つ一つの事に共感してくれた。

 全て吐き出して、気が楽になった気がした。


「そうだったんだ。それはショックだったね。そう言えば、ゆーくんが居なくなった日、何やら城内が騒がしいと思ってたのは、次期魔王の継承権とかも関係してたのかな」


「……そうか。まぁでも、次期魔王はノエリアが継承してくれるのなら、俺も安心だよ。ノエリアは俺より才能があるし、天才だしな」


「そうだね、ノエリアちゃんはすごい才能の持ち主だよ。そう言えば、ノエリアちゃんに最近、許嫁が出来たらしいよ。この間も私に笑顔で言ってくれたからね」


「そっか、そりゃあ出来るよな。結婚式に出席できないのが残念だ」


 政略結婚的な何かだろうか。いや、でも笑顔で言っていたらしいし、ノエリアも幸せなんだろうな。

 そう言えば、3年前に俺に婚約がどうのこうのって言っていたけど、やっぱり兄妹では結婚できないって悟ったんだろう。

 ノエリアが幸せなら、兄として俺も嬉しい事だ。


「まぁでも、今の魔王様に殴り込みに行くって、簡単に言うけど結構凄いことだからね、それ」


「まぁ、1発かまさないと納得できない所はあるしな。ノエリアが王になっても、親父は絶対に殴るさ」


「その信念はいいと思うけどさ、今のゆーくんじゃ……ううん、未来のゆーくんでも今の魔王様には戦いすら出来ないと思うよ。一応、魔国を統べる王様だし、力は私とかじゃ比べ物にならないからね」


「……う、そりゃあ、分かってるけどさ。でも、俺は決めたんだよ。力の差が歴然でもいい。ただ、1発の拳を叩き込まないといけない使命はあるんだ。天命っていうのかな、俺はそうしなくちゃいけない気がするんだ」


 俺は真剣な表情で、心の底から思っている事を話した。

 すると、フィルナはおもむろに席を立つ。そして、あの熊のような4足歩行の魔物の近くに行き、恐らくその魔物が守っているであろう、宝物庫へと歩いていった。

 戻ってきた時、彼女の手には何かの本があった。パッと見ただけでわかる、古い本だ。何かの古文書だろうか。


「私は、君の生き方を応援するよ。だから、キミだから、この魔導書を預けておくね」


 そう言われ、俺はその本を受け取った。

 少し重い。


「師匠、これは?」


「……これはね、古代の魔族が使っていたとされる魔導書だよ。今では禁忌魔術とされている魔法の取得方法が記載されたもの。もちろん、違法だよ。今では魔国でも人間国でも禁止されてる。

 でもね、これを覚える事が出来たら、君は今より格段に強くなる。それは保証する。でも、禁忌魔術ってだけあって、その分、身体にはかなりの負担がかかる。私はこの魔導書を扱おうとした人達を何人も見てきたけど、その全員が死ぬか廃人になるかの2択だったよ」


「禁忌……魔術。古代の魔族の力……」


「もちろん、強制はしない。これからだって、別の形で力が手に入る事もあるだろうし、この魔導書を使ったとしても、その反動で死ぬかもしれないしね。どうする? ゆーくん」


 俺は2択を迫られていた。

 最近、こういう2択を迫られる機会が増えてきた気がするが、杞憂だろうか。

 なんにせよ、この魔導書をどうするのか。反動で死ぬかもしれない。いや、死ぬ方がまだマシなぐらいになるかもしれない。

 それでも、その壁を越えなければ、親父に対して戦いを挑めないと俺は思ってしまった。


 だから、俺は最初から決めていた言葉を紡ぐ。


「この力を使うよ。絶対に使いこなしてみせる。だから、これは貰うからな」


「……うん、いいよ。君なら絶対にそう言うと思った。大丈夫、ゆーくんなら使いこなせるよ。だって、この魔導書を作ったのは、君のご先祖様達な訳だしね」


「なんで分かるんだ? って、まさか師匠、あんたもこの本を見たっていうのか? 大丈夫だったのか?」


「ん? 私は見てないよ。でも、それ見つけたの、魔王城の地下の牢獄の最深部だしね。何気無く入った場所が、まさかこの魔導書を封印するための場所だったなんてね、私もビックリしたよ。あ、なんでゆーくんの先祖様が書いたか、だったね。それはね、その表紙だよ。古代魔族語でちっちゃく書かれてあるでしょ?」


 ………………………んん???

 いや、なんで魔王城の地下の牢獄の最深部に行ったのか、とか、封印されてたのに持ち出して来たとか、色々と突っ込まなければならない箇所がポコポコ浮かんでくるが、まず言いたい事がある。


「…………師匠って、古代魔族語とか話せましたっけ?」


「んー? いや、読み書きが出来るようになったのは最近だよ? 前は単語だけしか分からなかったしね。いやぁ、独学で古代魔族の勉強は大変だったけど、いい暇潰しになったよ」


「……へぇ」


 ……ああ、言い忘れていた。

 そうだ、この人も天才だったんだ。

 しかも天才の中の天才。頭のネジが吹っ飛んでるとか、そういうレベルじゃない。脳みそのつくりが違うんじゃないかと疑うレベルの天才だ。

 独学で古代魔族語を勉強するなんて、もう発想自体が吹っ飛んでいる。しかも暇潰し感覚ときた。感覚すら、俺達を超越している。


「そこまでして、よく中身を見なかったな。そこまでしたのなら、中身の興味は多少なりとあっただろ」


「そりゃああったよ。ていうか、今もある。中の文章を研究したいよ。でもね、この魔導書から伝わってくる、闇の魔力が怖くて。絶対に私じゃ無理だと思ったの」


「……師匠が無理なら、尚更俺も駄目な気がするんだが、まぁ大丈夫だろ。作ったのは俺の先祖だし、こんなでも一応、俺も魔王の一族の血は流れてるしな。こればかりは先祖に祈るしかないか」

 

「でもその魔導書、ゆーくんが持ってから、溢れ出る闇の魔力が段々と収まってきてるんだよね。だから、君は大丈夫だと思う。きっと、その魔導書自体が君の一族を認識しているんだと思う」


 確かに、そう言われてみればこの魔導書も、当初より軽くなっている気がするな。自己暗示か分からないけど、手に馴染んできている……のか?


「えっと、師匠。今もう開けてもいいか? 中身を確認してみたい。どうせ死ぬなら、どこで開けても変わらないだろ?」


「……んー、やめた方がいいかな。何せ、君を助けに来た勇者様がもうじき来るよ」


 師匠は、もうじき、なんて言葉を使ったが、彼女がここに来るまでに5秒もかからなかった。

 突如、このフロアの壁が何かによりぶち壊され、衝撃波と砂ぼこりが俺達を包み込んだ。

 もちろん、魔導書はマントで隠しておいた。


「ユクス! 大丈夫か! ここにいるんだろう!?」


 声は破壊された壁の方から聞こえてきた。

 光に包まれた聖剣を構えながら、勇者シオンが現れる。

 そして、俺と目が合う。

 彼女の顔は、安堵によって真剣な表情から柔和なものへと変わった。


「よかった、無事だったのだな……」


 そして声を漏らした。

 心からの言葉だったのだろう。

 シオンの瞳は潤んでいるようにも見えた。


「あ、ああ。俺の方は何とか無事だ。いや、今聞くのもなんだが、どうやってここまで来た?」


「そんなの、普通に壁を壊して来たが?」


 いや、普通ってなに?

 そういやここにも居ましたわ規格外の天才が。

 天才ってどこの奴も頭のネジが吹っ飛んでるんだな。やっぱ天才中の天才はノエリアみたいなちゃんとした奴の事を言うんだろうな。

 こいつらやべーわ。


「……さてユクス。奴がこの迷宮主のフィルナだな? 確かに強い魔力を感じる。これまでの奴等とは格が違うらしいな」


「ああ、気を付けろ。フィルナだけじゃなくて、後ろの熊みたいな魔物も危険だ」


 俺が言うと、呼ぶ声に呼応したのか、熊のような魔物が俺達の前に立ち塞がる。威圧感のあるその見た目に思わず後退りをしてしまいそうだ。

 ちなみに師匠は「やーん、ゆーくんに呼び捨てで呼ばれた~!」なんてはしゃいでるが無視。勇者も眼前の魔物に全神経を注いでいるらしく、完全に眼中に無かった。


「力を借りるぞユクス。二人ならこの魔物も倒せる筈だ。行くぞッ!!」


「おうよ! バックアップは任せろ!」


 勇者が聖剣を構えて眼前の魔物に突撃する。

 魔導書はまだ使わない。

 俺だけの力でも十分に通用する筈だ。


「紅き怒りを体現せし焔よ。ここに来たりて敵に刻め! 【イグニスフレア】!」

 

 激しい豪炎が熊型の魔物に衝突する。

 最初から飛ばしていくぜ。

 Aランクの炎属性の魔法を叩き込んでやった。


「……グゥゥゥゥ……」


 少し、は効いているらしい。

 が、逆に言えばあまりダメージは無いらしい。

 炎に耐性があるのか、耐久力があるのか、強さが桁違いなのかは分からないが、俺の【イグニスフレア】はダメだったらしい。


「はあぁぁぁぁッ!」


 勇者が聖剣を振りかぶり、熊型の魔物の肩を切り裂いた。

 流石は聖剣である。鮮血が吹き出し、荒れ狂うように熊は唸った。


「わぁ、やるね勇者君。この子、ちょっと強化されてるけど、ヘビーメタルベアっていう、凄い強い魔物なんだけどな。固いし強いし、文句無しの魔物なんだけど、よくまぁダメージを与えたね」


「ヘビーメタルベアか。魔王城周辺の森林地帯に生息すると噂の魔物か。が、所詮は魔物程度だろう。こんなの、容易いさ。さぁ、貴様が出てきてはどうだ? 私とユクスは――強いぞ?」


「ふぅん、挑発するんだ。この私に。いいよ、乗ってあげる。かかってきなよ」


「もちろん、その気でいかせて貰う!」


 シオンが駆けた。

 走った衝撃で大気が眩む。

 一瞬で距離を詰め、下から上へと振り上げるような斬撃だ。このままいけば、確実にフィルナの首は跳ねられる。

 そう、このままいけば、だが。


「甘い。そんなんじゃ動きを読まれる」


 フィルナはシオンが聖剣を握っている部分の指を足で止める。そのダメージが入ったのか、シオンは一瞬、強ばった表情をした。


「そして、弱い」


 フィルナはスッと手を伸ばすと、その手のひらをシオンに向けた。

 そして、無詠唱で放たれた風の弾丸が容赦なく、勇者の胸元を穿つ。

 胸当てのお陰で貫通はしなかったが、強い衝撃で、後方にいた俺の場所まで吹っ飛んできた。


「ぐ……ぁ」


 顔をしかめて胸元を押さえるシオン。

 俺はすぐにシオンの元に駆け寄る。


「大丈夫か!? 待ってろ、今すぐ回復してやる!」


 すぐに【ヒール】をシオンに向けて唱える。

 すると、呼吸が楽になったのか、深呼吸をして、すぐに立ち上がった。


「……ユクス、かなり強いぞ、あいつは」


「そうらしいな。となると、俺の魔法も目眩まし程度にもなりゃしないかもしれん。作戦自体を変えるか?」


「……並みの作戦じゃ歯が立たない。そしてあいつは頭が切れるらしい。どうにかして、隙を与えられないか?」


「す、隙ねぇ。あるのか?」


 一見、無防備に見えて、攻撃したところを返り討ちにされるところから、あれが彼女の構えなのだろう。

 隙なんてありゃしねえ。

 近付く事は可能だろうが、そこから至近距離の攻撃さえも全てフィルナは見抜く。

 さて、どうしようか。


「一瞬でいい、何か彼女の視線の矛先を別の何かに向けさせてくれ。そうすれば、この聖剣でなんとかしてみせる」


「わ、分かった。ダメ元で何かしてみるか」


 こうなりゃヤケだ。

 何か物理的に彼女の視線を勇者から逸らさないと、この戦いで俺達に勝利は無い。

 俺は腰につけた投擲用の仕込みナイフを数える。数は3本。が、投げるだけなら彼女には当たらないだろう。なら、どうする。

 時間は余り無いらしい。

 見れば、今にでもフィルナは弱ったヘビーメタルベアを回復させようとしている。

 ああクソ! やるしかねえ!


「フィルナ! 俺を見ろぉぉ!!」


 俺はフィルナに向かって突進した。

 シオンのように素早くも華麗でもない、ただ走った。

 近付くに連れて、俺は右手を腰にまわす。ナイフの一本を抜き出し、フィルナの眼前でナイフを振りかざす。が、もちろん手首を簡単に掴まれて無力化される。

 フィルナはただニヤついているだけ。油断しているのなら、今しかない。


 俺は間入れず、頭を前に突き出すようにヘッドバッドを繰り出す。

 こんなんで意表をつけるかは別として、これならどう対策する? 背後にはヘビーメタルベアがいて後退は出来ない。手首も掴んでいるため片腕は使えない。足は俺が1歩踏み出して、動きにくいように足と足の間に俺の足を入れているから、下手に動けない。

 さぁ、どうする? ヘッドバッドが決まれば後はシオンが何とかするだろう。斬られても簡単には死なないとは思うけど。

 女性に向かってヘッドバッドするなんて、とかいうのは置いておこう。非常事態なんです、ただいま。


 だが、ここで俺が懸念してない出来事が起こった。

 俺のヘッドバッドが当たる前、どうにかもがこうとしたフィルナが顔を突き出してきたのだ。

 俺は予備動作で勘づかれる事を恐れて頭は振りかぶってない。丁度、額の辺りでぶつけようと思っていたのだが、フィルナも顔を突きだしたとなると………。


「んぅ!?」


「…………んっ」


 唇と唇が重なった。

 つまり、キス……した。

 

 それは、ほんの数秒の出来事なのだろう。

 俺はそれがかなり長い時間に思えた。



 頭の整理が出来ない中、俺の背後から影か忍び寄る。




「――貰った」




 聖剣がフィルナの脇腹を貫いた。





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