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自由気ままな操血女王の転生記  作者: シンG
第二章 操血女王の平民生活
100/228

70 3年後

ブックマーク、ありがとうございます(*´▽`*)

誤字報告もありがたいです!


今回で二章は終わりです。三章は10歳のセラフィエルの話となります。

間延びしてしまって申し訳ないです(>_<)


評価や感想などいただけますと今後の指針になりますので、是非とも宜しくお願い致します!(*^-^*)

 ――あの騒動から3年の月日が経った。



 あの日からわたしとプラムは、レジストンの口利きで王都の平民として資格を貰い、いち平民としてフルーダ亭に住まわせてもらっている。


 わたしは10歳になり、それなりに平坦だった体も変化し、僅かだけど女らしい起伏も見られるようになってきた。


 自分では灰色だと思っていた髪質も変わり、外に出れば日光を反射し、キラキラと輝く銀髪へと成長していた。


 わたし自身でも感じられる変化なので当然周囲の人間もその変化を感じてくれて、皆が言うには「なんか眩しくなった」とのことだった。


 眩しいってなんだ。まだ禿げてないよ。


 3年も王都に住まえば、それなりにご近所さんと顔見知りにもなるもので、今やフルーダ亭の住人としてわたしたちは認識されていた。


 近所の人たちは大通りをすれ違えば挨拶をしてくれるし、顔も名前も覚えてくれている。


 でも何故か遠い。


 互いの距離が遠い。


 いや、わたしは色んな人とお近づきになろうと思ってこの3年間動いてきたんだけど、当初はそんなに距離に違和感は無かったし、頭を撫でてくれる人だっていた。


 けれども1年ぐらい前から、なぜか周囲の人はわたしが近づいた分だけ遠のこうとする。


 どうしてか遠巻きに見ようとするのだ。


 え、本当にわたし禿げてるの? と思って、鏡で自分の頭皮を確認する日々があったぐらい不思議だった。


 でも周囲の人たちの雰囲気は悪くなく、別にわたしを蔑んだり嘲笑ったりしている風ではなく、いつもにこやかなので、拍車にかけて不思議だった。


 プラムに聞いてみると「きっと眩しいからだよ」と、アハハと笑っていた。


 いや、だから眩しいってなに!?


 ちょうど近くにいたクラッツェードにも聞いてみたら、小馬鹿にするような笑いを浮かべつつ「眩しいからじゃねーの?」と言ってきた。


 明らかに事実というより、わたしを馬鹿にする目的であるのは分かったので無言で彼の背中に飛び移り、髪をわしゃわしゃとかき乱してやったら「やめろやめろ!」と観念して、真実をようやく口にした。


「当時はチンチクリンだったお前が、まあなんだ……ちょいとそれらしくなってきたから、だろ。それとアレだ。お前、銀髪だからな。んで顔立ちも困ったことに整ってるもんだから、王族の隠し子じゃないのかって噂も流れてる。銀髪と言やぁ、王族のアレが代名詞だからな」


 前半の言い回しが不明瞭だったけど、後半で納得。


 因みに顔立ちで困ったことは無いよ! いや、あるか……それのせいで上級奴隷館に連れていかれたんだった。まあでも、あれもプラムと一緒に移動できた意味では無意味じゃなかったし、やっぱり困ったことはない。うん。


 あと、アリエーゼ王女殿下のことを「アレ」呼ばわりは良くないと思うんだけど……クラッツェードの口の悪さは3年の歳月を経ても変わりないことの一つであった。



 そんなこんなで、この3年間は比較的平和に暮らしている。


 例の銀糸教の事件以降、レジストンと協力関係になってから何か変わったかと言えば、わたしたちの軟禁が解かれ、わたしたちに今まで通りフルーダ亭を拠点として過ごすように、というだけのことだった。


 あとディオネから噂を聞きつけ「天ぷらモドキ」を食べたレジストンから「この閑古鳥が鳴いているフルーダ亭を盛り立てる料理の考案もお願いしたい」と依頼された。


 以降はこの王都に存在する食材を調べ、わたしがレシピをまとめ、プラムが調理をする役割分担で日々、料理研究をしている。


 何故プラムが料理をするかというと、純粋にわたしより火の通し方や味加減が上手いからである。


 今までは正確な調理過程を記したレシピというものが無かったのでテキトーな匙加減だったようだけど、レシピによる食材のバランスや加熱時間などが分かって以降、彼女の方が圧倒的に調理技術が上手だったのである。


 だからわたしは知識レシピ担当に回ることにした。え、クラッツェード? もちろん、台所には入れません。


 この王都で手に入る食材は、小麦粉(安価)、片栗粉(少し高価)、塩(安価)、砂糖(超高価)、植物油(安価)、大豆(安価)、卵(ゲェード産)、食用肉(ゲェード産)などなど……。


 他には野菜や果物も多くあるけど、どれも味が薄いものばかりだった。


 リンゴを丸かじりしたときなんて、甘酸っぱい味を期待していたのに、わたしの口に広がったのは、何て言うか……水分と微かに甘みがある程度だった。


 あと気づいたんだけど、どうも個人的にメジャーな食材だと思えるもの――小麦粉とかもそうだけど、レタスやキャベツ、トマトなど……そういった食材は、わたしの生まれた科学世界と同様の名称だった。


 逆に以前食べたあまり有名どころじゃない木耳きくらげとかは「クローミィ」と呼ばれたり、どうにも名づけに違和感を感じるものがある。


 うーん、まさかね、とは思うけど、今はそれを調べる手段がないので、諦める他ない。


 ただ、値段は高いけど片栗粉があったのは良かった。


 おかげで天ぷらモドキから天ぷらへと進化を果たし、まだ店には出していないけど、普通に塩つけて食べる分には美味しいものへとパワーアップした。


 店に出せない理由は純粋に食材不足からだ。


 王都に運ばれてくる各領土からの食材は全て、味が薄い。


 良質なものは水分が多いものを指し、食材そのものの味についてはどれもドングリの背比べ程度のもの。そんなもので天ぷらを揚げても、美味しくないのは自明の理だった。


 故に山菜を採ってくるしかないわけだけど、過度な採取は山菜の姿を山から消してしまう要因になるし、毎日プラムに行ってもらうのも心配だし、ディオネだってクラウンの仕事があるのでずっと手伝ってもらうのは無理だ。


 そういった理由から、フルーダ亭に住まうわたしたちの食事革命は進むも、未だに店頭に出すことが出来ず、ガランガランの店内状態は変わらずのものだった。


 一時、わたしとプラムがフルーダ亭に住んでいる話が近所に広がった際は、わたしたちが給仕をしていると誤解を生んだらしく、それだけを目的に足を運んでくれた人もいるらしいが、クラッツェードの料理を口にしてから彼らの姿を見ることは無かった。


 まさか客が来るとは思っていなかったので、自室に籠っている時にクラッツェードに料理をさせてしまった油断は今でも後悔しているところだ。


 そんな状況のフルーダ亭で、未だ盛り立てることは難しい状況だけど、出来ることはある。


 王都の食材事情は何となく分かったので、わたしは二つ、この3年間で実践したことがある。


 一つはレシピ作り。


 夢の世界でアカに頼んでは、過去の知識の本を読み漁るを繰り返し、それなりにレシピの数は増えてきていた。小麦粉が安く手に入る状況、というのがレシピに関してはもっとも助かるところだ。足りないものはあるけど、パンや麺類、ピザ生地とかに発展するからね。


 パンを焼く高熱の竈がないことなど、設備面の不足もあるので、3年経っても作れるものが少ないのは悩みどころだ。


 二つは小さな畑――菜園作り。


 レシピがあっても、そのほとんどは食材のせいで微妙なものになることが多い。


 野菜とかなんかは、いっそのこと生の方がまだ美味いと感じるぐらい、食材に何の旨味が無いからだ。


 だからわたしはフルーダ亭の小さな中庭の土壌に、魔力を溶け込ました水を振りまき、そこに壁間内市場で買ってきた種や苗などを植えた。育てるのに失敗した作物もあるけど、試行錯誤の末、今はトマトと大根が育ち、ジャガイモの種芋も順調に育ってきているところだ。


 育ったトマトを丸かじりして、わたしは確信した。


 理由は分からないけど、王都中の農作物を育てる土壌そのものが死んでいることを。


 もっとも土壌が死んでいれば、そもそも作物は育たないはずなので、どちらかというと病気みたいなものだろうか。育つ栄養価そのものは土壌に含まれているものの、作物が美味しく育たない阻害要因がきっとあるのだろう。


 これは重要な発見だった。


 数か月前にようやく実ったトマトをクラッツェードやプラム、レジストンたちに食べさせた時の彼らときたら、笑ってしまえるほどの驚き具合だったのを今でも覚えている。


 事情を話すと、レジストンは魔法絡みだったこともあり、難しい顔をして「この件はしばらく保留で」と結論付けて終わった。しばらくはフルーダ亭だけの特権になりそうだ。



 ――そんな発見と進歩を繰り返しながらも、充実な日々を過ごしてたわたしは今日、王立図書館に来ていた。


 図書館。


 ここはわたしがこの世界で訪れたいと思っていた場所の一つだ。


 このヴァルファラン王国では文字の識字率は他国に比べると、それなりに高いらしい。


 思えばクラッツェードやディオネは普通に読み書きをするし、プラムも所々読字に苦慮するシーンはあるものの、日常生活に支障が出ない程度には読める。


 わたしも元の身体の知識が残っているので、無意識に最低限の読み書きはできた。


 なので、本に関してもそれなりに普及しているのではないかと思ったけど、どうもそうでもないらしい。


 なんでも印刷技術というものが無いので、本は全て著者の手書きらしいのだ。


 平民の中には模写職というものがあり、本の複写を生業としている者たちもいるそうだが、やはり膨大な時間がかかる上に、校閲にも時間がかかるため、本の普及に大きな後押しとまでは行かないようだ。


 また紙についても高級品に扱われるので、平民層では木版がメインで富裕層でも羊皮紙がやっと、とのことだ。


 植物紙や羊皮紙は全て輸入品で、どれも貴族や王族ばかりに卸されるので、平民街で出回ることはあまりないらしい。


 わたしが当たり前のようにレシピ作りなどのために使っている植物紙は、レジストンが王城から拝借しているものだと知ったのはつい最近のことだった。


 そういった技術背景があることから、紙はもちろんのこと本は貴重品であり高価な贅沢品でもある。そして貴重な情報を物として残すための媒体としても重宝されている。


 そのため平民街には図書館はもちろんのこと、本屋すら存在しない。


 理由は明白で、入荷は大変な上に原価が嵩むし、仕入れたところで誰も買わないからだ。


 そして唯一の図書館は王立図書館と呼ばれ、貴族街にある。


 貴族街には貴族が必ず持つ記章か、王都の貴族が入場を認めた証書がなければ、平民は入れない。


 じゃあなんでわたしは入れているのかというと、レジストンから証書を貰っているからだ。


 これがあれば、証書期間内であれば、いつでも貴族街に行けるというわけだ。


 ただレジストンからは単独での貴族街での活動は止めるように言われている。


 理由として、単純に危険だからだ。


 平民街もゴロツキや粗暴者などがうろついていることは多々あるが、それらは力づくで黙らせれば当人同士の問題だけで済む。


 けれど貴族の場合はそれだけじゃ済まない。


 権力と派閥、思想と利権争い、様々なものに連動して絡み、面倒な事態に繋がり得る可能性があるわけだ。


 さらに言えば、この証書にはレジストンの名が記されているため、レジストンにも飛び火が飛んでしまう。


 なので、今日初めて王立図書館に来たわたしだが、一人ではない。


 グラム=ピラーネ=ガッテンツォン伯爵と一緒だったりする。


 3年前、王都に来たばかりの時に、公益所の仕事で草刈をした際に訪れた屋敷の主だ。あの時と同じように、今回も彼の内馬車でここまで連れて来てもらっていた。


 彼とレジストンの家系は旧知の仲らしく、わたしが図書館に行きたいと希望したところ、わたしに同行してくれる貴族としてグラム伯爵を紹介してくれたわけだ。彼もわたしのことを何故か覚えていてくれたみたいで、快く受けてくれた。


 グラム伯爵は本好きらしく、公務を息子と分割して行うようになってからは、こうして図書館に週2、3度通う日がある。その一日をわたしに時間を割いてくれたらしい。


「グラム伯爵、今日はありがとうございます」


 ぺこり、と頭を下げると、温和な声が頭上から降ってくる。


「いやなに、構わないよ。レジストン君の紹介だし、何よりこうして一緒に図書館に来てくれる人がいるのが嬉しいんだ。私の周りにはあまり本を読む者がいなかったものでね」


「そうなんですね」


「ああ、だから是非とも読書仲間として、読んだ本の感想やおススメなどが出来たら、教えてほしい。私からも勿論、君の興味がある分野を教えてくれれば紹介しよう」


 にこやかな笑みにつられて、わたしも思わず笑みを零した。


 王立図書館は想像以上に大きな建造物で、四階建ての円柱状の形をしていた。


 正面入り口から絨毯が伸びており、そのすぐ先には案内窓口があり、司書と思われる人が座っている。


 わたしは絨毯の感触を踏みしめながら、周囲を見渡した。


 思わず「ふわぁ」と抜けた声が漏れてしまった。


 天井が全てガラス越しになっており、そこから差し込む日差しに図書館全体が照らされていた。また、至るところに反射板が設置されており、その間を日光が反射し、1階から4階のフロアを程よく明るくしている構造のようだ。


 日光そのものが本に直接当たらないよう、きちんと反射板の角度が調整されていた。ぐるりと回る壁沿いに本棚が延々と並んでおり、中々に壮観である。


 わたしの視線を追って、グラム伯爵が教えてくれる。


「王立図書館は燭台を設置していないからね。天気が悪い日だったり、夕方になるころには本を読めないぐらい暗くなるから、閉まるのも早いんだ」


「あ、だから今日は朝早めに、ってことだったんですね」


 グラム伯爵の了解を得たレジストンから教えてもらった日時の中に、朝の9時には第二内門の前に集合するようにあった。その理由がこれなのだろう。燭台を置かないのは火事を警戒してのことだろうか。


「そうだね。どうだい、この王立図書館は中々に良い場所だろう?」


「はいっ」


「それは良かった。さて、司書を捕まえて見たい本の場所を聞くのもいいが、せっかく一緒に来たのだし、今日はわたしが案内してあげよう」


「いいのですか?」


 グラム伯爵だって見たい本があるはずなので、そこまでしてもらうのはちょっと申し訳ない。


 でも初めて来るわたしにとっては有難い話だった。


「ああ、こう見えて30年もここに通っている本の虫だからね。興味が薄い分野であっても大体の場所ぐらいは把握しているさ。今日は初めてここに訪れたのだから、君のために時間を使うことにしよう」


「あ、ありがとうございます!」


 また頭を下げると、グラム伯爵もまるで娘を相手にするかのように優しい笑みを浮かべた。


 草刈の時もそうだったけど、この人は何と言うか、暖かいオジサン、というイメージがある。


 会話をしていると、日差しの中で安心するような心地になり、うっかりわたしの子供っぽさが浮き彫りになってしまう。


 さて――と、わたしはここに来た本命の理由を思い出す。


 3年前、レジストンは人手が足りないから手を貸してほしい、と言った。


 それは王城、貴族街、平民街を含む王都内、そして王都外に対して情報が足りない、という意味でもあった。


 王都に関してはレジストンとその部下、そしてクラッツェードが受け持っているようなものなので、そこは何とかなるらしい。問題は王都の外。ヴァルファラン王国の領地持ちの貴族たちが、それぞれ領地法の元で管轄する土地。そこまでは正直、手が伸ばせない状況らしい。


 こういった場所を調査するのに、うってつけな存在はクラウンであったり、商人だ。


 要は依頼であったり、商売であったりという機会を理由に怪しげなく領土に入ることができるからだ。


 一応、レジストンの息がかかった商人はいるらしいが、クラウンについては彼の友人たちであるディオネのいる『森獅狩人エリンハンター』ぐらいだ。彼らには彼らの生活スタイルがあるし、公益所の依頼のついでに頼めるものならいいのだが、レジストンの調査依頼のために動いてもらうのは難しい場合があるとのこと。


 そこで白羽の矢が立ったのが、わたしだ。


 レジストンはわたしにクラウンの資格を取って欲しい、と言った。


 一つの大きな戦力として。


 プラムは止めたがっていたけど、わたしが請け負った。理由は色々とあるけど、一番はこの王都以外の世界も見れる、というところに惹かれたからかもしれない。


 ただクラウンは成人になってからが最低限の前提であり、未成年は保護者との同伴が必要になり、それは任務を受ける際も同様だ。3年前と目的も事情も変わり、レジストンが保護者として同伴する暇があるわけもないので、保護者同伴に関しては無理になってしまった。


 ヴァルファラン王国の成人は15歳。


 わたしは依然、足りていない。15歳を騙るにしても体形で誤魔化し通せない。


 そこでレジストンはとんでもない改正をねじ込んできた。


 完璧に職権濫用な気がするけど……王族も巻き込んで、公益所のルールに追加項目を半年前に加えたのだ。


 ――未成年であり10歳以上の者であっても、成人の者と遜色ない力量を持つ場合、特例としてクラウンの資格を持つことを許可する。遜色ない力量を図るための実技・学力試験は国が定めた基準に準じるものとする。


 と、こんな内容のものだ。


 実技・学力試験は、成人が受けるものよりも厳しく設定されるらしい。


 変に簡単にして、未来ある子供を死地に追いやるわけにいかないので、当然の措置だ。


 そういう過程を経て、10歳になったわたしは、近くクラウンの試験を受ける予定だ。


 そのために実技はともかく、この世界――いや最低でも王都の常識は知らなくてはならない。


 だから、この王立図書館に足を運んだのだ。


 日常生活レベルであれば、フルーダ亭にいる中で色々と教えてもらったけど、歴史関係や国を取り巻く権力図などは分からないことが多い。


 そこを埋めておかないと、仮に試験に合格しても、外に一人で出てもおそらく失敗する。


 わたしはグラム伯爵を見上げ、まずは歴史関連の書物の場所を教えてもらうことにした。


 グラム伯爵はわたしの要望に快く承諾してくれて、そのまま手を引いて案内してくれた。


 王都の地形図であったり、建国から最近に至るまでの歴史書などが書かれたおススメの本を幾つかグラム伯爵に持ってきていただき、わたしはそれを備え付けの椅子に座って読んでいく。



 転生当初は、穏やかで気ままな平民生活を送りたいと思っていたけど、やっぱり他人と関わるとそうもいかないようで、今はクラウンを目指すという展開になってしまった。


 それでも……新たな世界が広がるであろう未来に人知れず、わたしは心を躍らせながら知識を補完することに集中するのであった。



この3年間でレジストンは少ないながらも信頼できる部下を少数、王都外へ派遣しつつ、異変がないかを監視しています。が、あまりにも感触がないことと、やはり手が及ばない土地も多く、猫の手も借りたい気持ちでクラウンの規定を変革し、そこにセラフィエルを送り込もうと考えてます。

あわよくば、セラフィエルが起点となり、信用できる仲間がそこから増えることも実は期待して……というのはセラフィエルも知らない、レジストンの計画だったりします。

(レジストンはセラフィエルがヘドロ法衣を単身で倒した時点で、既に大きな戦力として見積もってます)



2019/2/26 追記:文体と一部の表現を変更しました

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