第2話
厳かな雰囲気を持つ廊下を通り抜け、がやがやと騒がしい食堂へ向かう。
俺が食堂についたとたん雰囲気が一変し静寂が包み込んだ。今のところ長テーブルには10人ほどがかけており沢山の瞳が無言で俺を見つめている。
怖いから。 俺が付いたとたんに黙るって一歩間違ったらいじめだかんね!!
「ノーマン様、おはようございます。最近は寒くなってきましたのでお体をご自愛ください。」
「ご主人様、まだフィー様がまだ起きていらっしゃらないようなので起こしてまいります。」
うおっ!びっくりした!俺の後ろに急に表れて声をかけてきたのが使用人のゼノさんとファイスさんである。ゼノさんは180を超える身長にパリッと整っている燕尾服を常に身にまとっている初老の男性だ。
いつもきっちりとオールバックにした髪形、イメージで渋いい男と言われれば誰もが想像したような人だ。かくいう俺もその1人でよく部屋に1人になったときによく真似をしている。
ファイスさんはクラシックなロングスカートに純白のエプロンといったザ・メイドさんといった感じの人である。 俺の数少ない趣味の一つが彼女のスカートがふわっと翻すのを見ることである。あぁ~幸せじゃ~
「お願いするよファイス。まあフィーが来るまでそんなに時間がかからないと思うから、先に各々お祈りをささげておいてくれ。」
我が家ではそれぞれ生まれてきた環境や立場から宗教観が違うのでお祈りの方法はそれぞれ違う。俺は無宗教なので何も言わないけど・・
皆それぞれのお祈りを唱え終わったのかまた無言でこちらを見てくる。 やめてくれ・・・
「あ~・・・うん。今日もいい天気だなみんな。学校があるやつは先生に迷惑かけるなよ、仕事があるやつは仕事に対して誠実にな、私からは以上だ。」
ハイ と一斉に声が返ってきた。よしよし 残り一人も帰ってきたようだし早速ご飯を頂きますか。
「どうでしょうかご主人様、今朝は鶏が多くの卵を産みましたので1人1つずつゆで卵とスクランブルエッグをご用意させていただきました。お口に合いましたでしょうか?」
ファイスさん、俺はあなたの料理にいつも満足してますよ。だからそんなに顔を近づけるのはやめていただいてもらってもいいですかね?別に俺に聞かなくてもいいから、もっと小さい年のやつに聞きなよ。
「う、うむファイス。きみの料理はいつでもおいしいな。毎日食べられる私は幸せ者だよ これからもこの家のために頑張ってほしい。」
「これからも毎日作ってほしいですか?」
なぜ確認する
「ファイス、パパが困ってますよ。それにあなたは使用人のはずですが?使用人の分際で主人にいちいち感想を求めるなど言語道断ですよ。」
「申し訳ございませんお嬢様、ですが今後に活かすためにもご主人様の意見は必須事項です。進歩なくしてパイルドライバー家の使用人には務まりません。」
「ですがわざわざ一番偉く仕事が溜まっているパパに聞かずとも良いではないですか? その程度の質問であれば私やほかの皆に聞きなさい。」
「わかりましたお嬢様。ご主人様、わざわざ時間を取らせてしまって申し訳ございませんでした。・・・チッ」
ひえっ・・ 俺近かったからファイスさんの舌打ち聞こえちゃったよ。どうしちゃったの いつもは君たち仲いいじゃん、朝ごはんいつも仲良く作ってるじゃん・・
「テトもファイスも落ち着かないか・・テト、私は構わないから ファイス、君の作る料理はとてもおいしい。これからも毎日作ってくれ。さあ私は仕事があるのでこれで失礼するよ。」
さっさとこの場から離れよう。 俺は父親としての威厳を保ちながらその場を離れるためにやや早歩きで退出した。