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ゾンビになりましたのリメイク版です!


出来れば読んでくださるとありがたいでスゥ!

突然であれだが、ゾンビって知ってるか?


俺はあんまり詳しくは無いが知っている知識をまとめるとざっとこんな感じだ。


『ゾンビ(英名・zombie)


不死者、アンデット、リビングデット等々。特徴的な事といえば歩いている死体, 超自然の力で操られた死体』


まぁ、ざっくりしすぎてるのは自覚してるが、こんな感じじゃ無いかな?


さて…と。何でこんな話を持ち出したか?それを話すには、ハッキリ言ってかなりややこしい事となっている。


そう、これは今から一週間前の事だ。


☆★☆★☆★


「今日はここまでー!じゃ、宿題頑張ってねー!」


教壇に体が隠れて上に伸ばしている腕と頭のてっぺんしか見えないが、担任の桜子先生の声が教室に響きショートホームルームが終わる。


相変わらず小さいな。本当に二十五歳か?


…と言っても、今日もぶっちゃけ先生の好きなスイーツの店の話が九割九分九厘だったけど。


俺が席を立つと背後から誰かが飛び付く。同時に小さな細い白い手が目を覆う。


(だ〜れ)だ?」


よく聞く悪友の声が耳元でソッと来る。止めろよ…お前は()だろ?そんな事しても何の得もないぜ?


「と言うか降りろ、倉間」

「えー!つまんなーい!ね?今日カラオケ行かない?僕が奢るからさ!」


降りずにバタバタと暴れるのは倉間悠。悪友の一人。細身の体、美少女と言っても一切遜色のない顔つき、高めのアルトボイス、少しのクセもないサラサラとしたショートの髪。最早女と言っても良いんじゃね?と言う男だ。


「…悠、拓人が困っている」

「にゃっ⁉︎」


倉間の襟を掴んでヒョイと猫みたく持ち上げたのは、やはり悪友の一人である唐田健介。


身長百九十後半、がっちりとした肩、満遍なく筋肉のついた身体、そのくせ何故か標準みたいな体型。しかも顔は無表情だがイケメン。何だよ、俺と悪友のこの顔面偏差値…泣くぞ?


「ありがとう、唐田」

「…ところで再来月のテストがやばい…今回も拓人のお陰で何とかなったが、また教えてくれ」

「…報酬は?」

「ポテチのハバネロ味」

「乗った!」


ポテチは無しだろ!それは俺の好物…つまり!最強の手だ‼︎


あ、唐田なんだが常に無表情でクールだの頭良さそうだの言われているが、私生活…つまり買い物や調理、家事全般以外はからっきしダメなんだよな。


え?どれ位ダメかって?そうだな…


例えばこんなのを出すぞ?


45×23=


こんな式を出すと唐田は…


「オセロ?」


…な?凄いだろ?カスリもしてないだろ?なのに…


スーパーでバーゲンがやっていた。いつもは一つ三百五十円の肉が四十二パーセント引きで売られています。四つ買うと幾らでしょう?


こんな問題を…


「五百八十八円」


と、即答。おかしいんだよ…まぁツッコムのはもう諦めたけどさ。


「唐田、取り敢えず今日はカラオケ行くか?倉間の奢りらしい」

「…勉強」

「唐田?僕が奢るからさ!行こ?ね?」

「勉強、大切」


頑として首を縦に振らない。仕方ないか。


「すまんな倉間…今日は唐田と勉強会をするから無理だ…しかも多分この様子だと唐田のバイトギリギリまで教えなきゃならん…」


すると前から誰かが飛んで来る。あのアホみたいな金髪は…


「えーーい!」


あ。


「ああァァァァァァァァァァァ⁉︎」


その金髪は倉間に背負い投げされて窓の外へと…ってここ三階だぞ⁉︎


ん?よく見ると窓のサッシに手が。


「どわぁ⁉︎…こんのドアホォォォ‼︎殺す気か、倉間ぁぁぁ⁉︎」

「何だよ、金髪バクテリアかよ」

「上島だ!う・え・じ・ま!上島竜兵!はい、repeat after me‼︎」

「「「う・じ・む・し」」」

「『う』と『じ』しか合ってねぇー⁉︎しかも三人揃って⁉︎」


サッシから顔を出して騒ぐのは俺の悪友最後の一人、上島竜兵だ。


見ての通り身体能力は御の字なのに、いかんせん馬鹿なんだよな。それは唐田の五倍以上だ。


恐らくは脳に行くはずだった栄養が全部筋肉と骨に回ったんだろう…何せたまにフナムシとかゴキブリとかと会話してるし…


「してないからな⁉︎」

「何も言ってねぇだろ」

「いーや!拓人の顔に確かに『あいつアメーバが彼女なんだよな』って書いてあったぞ!」

「その発想は無かったな」


成る程…確かにそっちの方が良いな…


「すいません止めてくださいぃ‼︎」

「分ったなら宜しい」


俺がそう言うと土下座する上島。土下座早っ‼︎そんな速度どうすりゃ出んだよ。最早その速度、光速だぞ?


「拓人ー、早くカラオケ行こ!」

「引っ張んな、倉間。そして話聞いてたか?」

「拓人…勉強は今度で良いから俺は彼女が待ってるから先に帰る…楽しんで来いよ」

「お、俺…もっ⁉︎」

「竜兵は強制だよ?」


逃げようとした上島が倉間に襟を掴まれて捕獲される。死んだな、合掌。


「取り敢えず、行くか?」

「おー!」

「お、おぅ…」


元気な倉間と瀕死の上島。カオスだな。


クラスを出て、下駄箱で唐田とその彼女と別れて男三人でカラオケボックスに向かう。


何と言うか倉間が居なかったら花がなさすぎて死にたくなるな…


倉間、男だけど。


「そう言えば上島は彼女居ないの?」

「そう言う倉間は彼氏は?」

「…しばき回すぞワレコラ」

「…やってみろよ男女」


何故か出発して数分で喧嘩をしだす二人。ガキか!ガキだけどさ!


溜息を吐きながら歩く。


ピロリン♪と俺の携帯が鳴る。メール?多分…母さんかな。


カチャリと携帯を開くとメールが一件。


『件名:お願い!


母さんは今日も仕事が長くなりそうです。晩御飯はいつもみたいに冷蔵庫に入れておいてください!あと、食費は引き出しに入ってますので、買った後その分だけ引いといて!それとすごく申し訳ないんだけど…ビールも切れそうだから追加しておいてね!ゴメンね!


母より』


また残業か…しかもこの文面だとおそらく帰って来るのは十一時頃か…


じゃ、カラオケ終わったら丁度バーゲンセールとかの時間に被りそうだから良いか。


「倉間はバイなんだろ?」

「はっ!知能が微生物のお前に言われたくないよ!」

「んだと!誰がアメーバだ⁉︎」

「黙れサボテン以下」

「理不尽⁉︎」


あまりにうるさいので取り敢えずヤクザキックを上島の背中に炸裂させる。


その上にまたがりながらきゃっきゃっとはしゃぐ倉間。シュールだな。


「よいしょっと」

「にゃ?」


あんまり倉間を一人にするのもアレだから一先ず抱っこしておく。


幸いにしてこいつは百六十ほどの身長しかないし、体重も四十キロ未満と軽いので大して問題ではない。


外見も外見なので抱っこしていても違和感ないし、倉間も慣れてるし。


「拓人!余は肩車を所望するぞー!」

「へいへい」

「た、拓人…ちゃっかり踏まないでくれ…」

「…生きてた」

「生きとるわ!」


おお…プラナリアみたいな生命力だな。竜兵じゃなくてプラナリア兵にした方が良いんじゃね?


「と言うわけでプラナリア兵、カラオケ早く行くぞ。じゃないとバーゲンに間に合わん」

「今日も拓人んちで晩御飯食べたーい!」


はしゃぐなよ…肩ではしゃぐと危ないぞ?


「そういや拓人」

「ん?」

「カラオケ代は誰持ちだ?」

「そんなん…」

「「竜兵持ち」」

「うぉい⁉︎」


えー?だって馬鹿が払うのが常識だろ?倉間も賛同してるから学校で言ってた倉間奢りルートは完全に潰えてるな。


「じゃあ前のテスト何点?因みに俺は五教科四百五十七点だ」

「僕が三百九十九点」

「唐田は百六十八点だ」


そう言うと、目に見えて死んだ魚の眼でぼそりと答えた。


「五点」

「「は?」」

「五点だよ」


五、五点…?そんな馬鹿な…どうすればそんな微妙な点数を…⁉︎


「先生達から最低限名前で点をやるって事で各テスト一点ずつ貰った…」

「お、おぉ…」

「ご、ゴメンね?」


さすがに見て入れなくなった俺たちは目を逸らしながら謝る。いや、名前で一点って…先生達、セッパ詰まり過ぎだろ。


「か、カラオケでパーっとやろうぜ?」

「そ、そうだよ!きっと楽しいよ!」


凡人一、外見美少女性別男一、アメーバレベルの馬鹿一のシュールな三人で結局カラオケに向かって、終わったのは六時頃だった。

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