第6話 王様の脅し
「気に入った、お前、俺の護衛役になれ」
青年は急に言った。
「護衛役?あなたの?」
「あぁ、そうだ。どっちかと言えば護衛役と言うよりも俺の騎士になれということだ。
俺の名前はアージス、まぁ今は<王>という職業をしている」
何と、その青年は今の王様だった。
しかし、さすがアンジェ、王様相手でも屈しづ
「へぇ〜、王様か〜」
と素直に関心し、恐れたりしなかった。
「お前、俺を恐れたりしないのか?」
アージスはアンジェの返答に目を丸くした。
「えっ、何で?アージスはどこか怖いの?」
すると、アンジェは反対に聞き返してきた。
「やっぱり、お前、気に入った、剣の腕も申し分ないし、名は?」
「私の名前はアンジェ・イズ・スーダ。アンジェって呼んでね」
アンジェは気分良く答えた。
しかし、その答えを聞いたアージスは急に顔の表情が固まった。
「えっ、今、アンジェと言ったか?」
アージスが恐る恐る聞いてくる。
それにアンジェは
「うんっ」
と答える。
「ということはお前、女か?」
また、それにアンジェは
「うんっ」
と答える。
「はぁー、まぁ、女の騎士も存在するがそれだったら他のやつになめられるからなー。」
アージスは当の本人をほっといてかってに事を進めている。
しかし、よく考えてみるとアンジェはまだ、一言も「騎士になる」とは言っていない。
そこで、アンジェは
「私、まだ騎士になるなんか言ってないんだけどー」
と気まずそうにいろいろと考えているアージスに言った。
「そういえば、まだお前はなるとは言ってないよな・・・・・・もしかして、今更無理とか言うんじゃないよな?」
「うっ」
アンジェは返事に困った。
「・・・・・・無理なのか?」
「残念ながら・・・・・・今はマリア・シー・ザビルの護衛中なので・・・・・・」
それを聞いたアージスはちょっと間落ち込んでいたが何か思いついたのかニヤリとひそかに笑って、こう言った。
「そうか、そうか、それは非常に残念だなアンジェ。
実はな、この国の決まりで城の中では非常事態の時以外王の許可がない限り剣を抜いてはいけないんだ。」
「そ、そうなんだ〜」
アンジェはアージスが何をしようとしてるか一つだけ思いついた。
も、もしかして・・・・・・
「そして、それを破った者は罰を受けるんだ。
後、その者の周りの者にも。
・・・・・・それは困るだろアンジェ?」
「う、うん、困るね〜」
もしかして、この王様・・・・・・
「だろ?
そこで、それを唯一チャラにできるのはこの俺だ」
「そ、そうだよね、だ、だってアージスはここの王様だもんね〜」
アンジェの言ったことにアージスは「うん、うん」とうなずく。
もしかして、この王様、私のことを・・・・・・
そこでアージスが
「ふぅー」
と息を吐く、そして、
「もう、俺の言いたい事はわかるな、アンジェ」
とアンジェに笑いかけながら言った。
この王様、私のことを脅してる〜〜〜〜〜〜。