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護衛役は女の子っ!  作者: 春日陽一
いつかのための“着火剤”
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第70話 安心して!!

「ダンスの踊り方を教えてください!!」

ニコニコしながら、頼むサキ。

「えっ」

そんなサキと対照的にアンジェの顔は引きつった。


「ラウルは舞踏会に出たことあるよね。

きっと、いっつも綺麗なお嬢さん方を虜にしてるんだろうな・・・・・・」

サキの中でアンジェはかなり美化されているようだ。

だが、アンジェにはそんなことを突っ込む余裕がなかった。

(どうしよう、服装以前に・・・・・・私、踊れないんだった!)

アンジェは舞踏会に一度も出たことがない。

舞踏会に全く興味のなかったアンジェにとって、レディとしてのたしなみやダンス、音楽などの授業は必要がなく、他の貴族の娘がそういう教育を受けている間、アンジェはずっと剣の稽古をしたり、近所の男の子たちと遊んだりなど・・・・・・。

まぁ、つまり、アンジェはもちろんダンスなんて踊れない。

そのことを頭の中で美化したアンジェを暴走させているサキにおそるおそる話してみると・・・・・・

「えー、ラウル!?

舞踏会に行ったことないって・・・・・・早くしないといいお嫁さんもれえなくなっちゃうよっ!!」

ものすごく心配されてしまった。

(いやー、実際言うとお婿さんなんだけどねぇ)

苦笑いのアンジェに対して、サキはこれ一大事と焦っている。

「どうしよう・・・・・・ラウルの将来がかかってるんだ・・・・・・」

悩みながらボソッと聞こえたサキの独り言が大げさになってしまっている。

一方、アンジェは

(まぁ、なるようになるか!)

と安易に考えてしまっている。


それから十分後。


「よしっ!!

じゃあラウル、さっそく行こう!!」

「へ?」

サキが考えた末、ある人にダンスを教えてもらいに行くことにした。

「大丈夫だよ、ラウル、安心して。

あの人なら見た目からして、紳士のオーラを振りまいてるし・・・・・・ラウルの未来もきっと手遅れにならなくて済むよ!」

「えーと、サキ。

僕の未来の話って、何?」

?を頭に浮かべながら、サキに引っ張られるがままに小走りに走るアンジェと、急ぐサキ。

彼らが向かったのは、アンジェの見慣れた部屋で・・・・・・



「ん?

ハルに何か用か?」

その部屋、アージスの書斎の前には先ほどまで寝ていたジルが、欠伸をしながら立っていた。

(あー、きっと、ジルの奴。

今、起きたばっかだなぁ)

サキに右腕を引っ張られながら掴まれ、身長差から体が右に傾いているアンジェは、その体制のまま見上げるようにジルをぼーと見て、そう思った。

ぼっさぼっさの黒髪の頭をかくジルに、サキが勢いよく言う。

「うん!!

実はハル殿に今夜の舞踏会のダンスの踊り方を、ぜひとも、ラウルに教えてほしくて・・・・・・」

もう完全にサキの中では、『自分が教わる』から、『ラウルに教えてあげる』に目的が変わってしまったようだ。

そんなサキの要求を聞き、ジルがアンジェに目を向ける。

「なんだ、ラウル。

お前、いい年してダンスも踊れないのか?」

「う、うん、踊れないんだよ」

「あははは」と苦笑しながら言うアンジェの言葉に、ジルは何故か一瞬、嬉しそうに小さくガッツポーズをした。

もちろん、アンジェとサキには見えないように。

そして、一つ「コホンッ」とわざとらしい咳払いをすると、どこか嬉しそうにサキに向かって言った。


「すまねぇが、ハルはまだ会議中で、ダンスを教えてやれる時間がないんだ。

だから、その・・・・・・代わりに俺が教えてやってもいいぜ?」


言い終わると同時にジルがアンジェの方を向いて、「フフン」と嬉しそうに上から目線でアンジェを見たような気がしたのは気のせいだっただろうか。







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