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護衛役は女の子っ!  作者: 春日陽一
いつかのための“着火剤”
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第65話 気を引き締めないとな

何とかマリアの誤解を解き。

「クビはい゛や゛ーっ」と意味がわからないことを言いながら泣きわめくアンジェを落ち着かせ、夕食も無事にとり、日が完全に沈んでしまった真夜中。

「はぁー」

夕方の騒ぎが嘘のように静まり返った書斎でアージスは静かにため息をつき、何をするわけでもなく椅子に座ったまま、窓の外をぼーと見ていた。

いや、もしかしたら、疲労のため、身体や頭が動きたくないからかもしれない。

「本当にアンジェには、手がかかる・・・・・・」

そう思いつつ、思考停止を要求する頭の中に浮かんだのは、満面の笑みを浮かべている赤髪のアンジェの姿。

「しかし、こうやって毎日が前よりも楽しくなったのもアンジェのおかげ、か」

少し頬が緩くなる。

だけど、今からのことを考えると緩んだ頬も引き締まり、アージスの眉間が険しくなる。

「そして、これからのやつも多分、アンジェ絡みの話だな」

もう、疲れたなどとは言ってられない。

これから対じする相手はマリアのようにはいかない。

こちらが油断すれば、どんどん入り込んでくる。

「気を引き締めないとな」

そう言って、アージスは椅子をクルッと半回転させ、ドアを正面に見据える。


キィー


ドアがゆっくりと開く。

偶然か、見計らってのことかは知らない。

だけど、ゆっくりと開いたドアの先には、闇の中でも際立つ金色の髪をもつウィリアムが立っていた。

ゆっくりと口元だけ笑って。


「こんばんはー、アージス様」


その言葉づかいと表情は全く合っていなかった。

多分、このだらけた口調は本来のウィリアムのものではない。

本来のウィリアムは、今の表情でもっと落ち着いた、背筋がゾクリとするような含みのあるような言い方をするだろう。

「ウィリアム王子。

本来の姿でいいんだぞ?」

アージスは直球でウィリアムに言う。

元々、アージスは遠まわしな言い方は好きではないのだ。

「えー、アージス様ぁー、本来の姿って・・・・・・この姿が僕の本来の姿なんですがね」

一気に声のトーンが下がる。

もうそこには、お調子者のウィリアムはいない。

いるのは、冷酷な笑みを浮かべる、アーリア国第一王子だ。



「アージス様、お話って、何でしょう?

アーリア国のことですか?

僕のこと、ロゼッタのこと、サキのこと、それとも・・・・・・それとも、真っ赤なあの子のことですか?」



ウィリアムはそう、アージスに聞きながら、客人用のソファーに腰掛ける。





長い長い、漆黒の夜が始まった。





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