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護衛役は女の子っ!  作者: 春日陽一
いつかのための“着火剤”
58/102

第56話 あれも、これも、全部・・・・・・!

記憶。


それは、自分が生まれた時から始まった物語ストーリー


誰しもが持っている、自分が主人公の物語ストーリー


それを思い出すことにより、人は“懐かしむ”ことが出来る。


泣いたことも、笑ったことも。


大切な人と過ごした日々も。


すべて、記憶の中にギッシリと書き込む。


人は皆、それを読み返すことで、“懐かしむ”。


だけど。


だけど、アンジェの記憶の中には、空白がある。


白紙がある。


消しゴムで消したような跡がある。


アンジェの生まれた時から、七歳の時までの記憶ページに。






(き、気まずいなー)

夕食時。

アンジェは夕食のステーキをナイフで一口サイズに切りながらそう思った。

いや、ここ最近、ずーと思っている。

アージスと会う度に。

王宮の中にいる限り、アンジェがアージスと出会わないことはまず、ない。

あの後、護衛の仕事を一時的に解除されているとはいえ、一日に一度は出会ってしまう。

(それにしても、仕事の一部を外したくせに・・・・・・)

アンジェはそう思いながら、視線の感じる方に向く。

(何で、そんなに見てくるかなぁ?)

その視線の主は・・・・・・もちろんアージスだ。

これで、何度目なのだろうか?


プイッ


視線が合うとそらすというたちの悪いやつ視線の送り方をしてくるのは。

「はぁー」とアンジェはため息をつきながら、グラスに注がれた飲み物を一気に飲む。

それは、甘い味がした。

(もー、話があるんだったら、直接話しかけて来てくれたらいいのに!)

そう思うアンジェも、アージスに話しかけられずにいる。

本当は相談したいことなど、話したいことは山ほどあるが、丁度いいきっかけを逃しまくってしまい、現在の状況にいる。

これも、すべて原因は・・・・・・



(あのウィリアム王子だっ!!)



キッと軽く睨むアンジェ。

睨まれたウィリアムはそんなアンジェに気付いたのか、チラッとアンジェの方を見た。

が、それもほんの一瞬で、また元の姿であるダラケタ態度で、ロゼッタに食事を食べさせてもらっている。

そのウィリアム王子も、最近はアンジェに近寄ってこない。

前まではいろいろとアンジェとアージスの間を引っかき回してまでも、アンジェに近寄ってきていたが、最近では、アンジェを近寄らせもしない。

アージスの護衛の仕事の代わりに与えられた仕事はウィリアムの護衛なのだが、ウィリアムに「いらない」ときっぱりと断られてしまった。

(こっちだって、仕事なのに!)

思い返しているうちに、怒りが沸々とこみ上げてきたアンジェ。

何だか怒りのせいで、体中が熱くなった気もする。

頭も何だかクラクラしてきた。

(あれも、これも、全部・・・・・・!)

もう、食事マナーなんて気にしない。

フォークを振り上げ、切り終わったステーキの一口分に勢いよく突き刺す。

勢い良すぎて皿に肉を貫通したフォークの先が当たった。


ガツッ


その時の音に一瞬、周りはアンジェを見るが、アンジェを見た瞬間、慌てた様子ですぐに自分の仕事などに戻る。

そんな周りのビクビクした様子に不思議に思ったウィリアムとロゼッタだったが、周りに見習い同じように自分の食事に戻った。



それは正しい判断であった。



「お、おい。

もしかして、誰かラウルにも酒を注いだんじゃないだろうな」

アージスが引きつった顔でテーブルにいるウィリアムやロゼッタを含め、周りのメイドなどにも聞く。

すると、一人の若いバトラーが恐る恐る手を上げた。

その若いバトラーは?を頭に浮かべている。

それもそのはずだ、その若いバトラーは、あの惨劇の時にはいなかったのだから。


「ああ、なんてこった」

アージスが頭を抱えながら、従者たちに退室するよう命じる。

そして、事情を知らないウィリアム達にも退室するように言う時だった。




「やってられっかぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!」




そう叫びながら、アンジェがテーブルの上に勢いよく立ったのは。



「はぁー。

ラウルが完全に酔ってしまった」

何でもっと早くに気付けなかったのだと後悔するアージス。

しかし、もう遅い。





この後、酔ったアンジェを静めるのに3時間もかっかたそうな。





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苺なんて、嫌いだー!!←作者のブログです。遊びに来ていただけると、春日は喜びまくります!!
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