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護衛役は女の子っ!  作者: 春日陽一
いつかのための“着火剤”
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第54話 も、もちろんっ!!

「なんで、私、こんなことしてるんだろ(泣)?」

こそこそと人の部屋を物色しているアンジェ。

アンジェは、そんな自分が惨めに思えた。






「いいかい、姫。

姫には、今からこのサキの部屋にもぐり込み、あるものを探し出してきてもらう」

ウィリアムがドアを指さしながら、アンジェを見降ろし、説明する。

その後ろで、どこから出てきたのかわからないが、突然あらわれたロゼッタが、何の躊躇もなく、サキの部屋のドアのカギをせっせと開けている。

当然、アンジェは、ウィリアムの説明よりも、さっきからそのロゼッタの行動の方が気になって仕方がない。

だから、必然的にウィリアムの説明が頭に入らない。

「・・・・・・っと言うことです。

わかりましたか、姫?」

「・・・・・・うぇっ!あっ、は、はい!」

結局、今回もアンジェの知らぬ間にウィリアムの話は終わっていた。

ちなみに、「今回も」というのは、今ので、アンジェが聞いていなかったがためにウィリアムが同じ内容の説明を繰り返した回数が三度目であるからだ。

「本当にわかったのかい?」

案の定、ウィリアムが疑っている様子で、アンジェに聞く。

「も、もちろんっ!!」

やや焦るようにアンジェが答える。

(ど、どうしよう(汗))

というか、アンジェは焦っていた。

いくら今、聞かされていた説明の内容が自分が嫌々させられることの内容だとしても、ここまで相手に何度も自分のせいで説明を繰り返させたのは悪い。

しかも、今回も聞いていなかったとなれば、いくらなんでもウィリアムが嫌いだからといってもアンジェはさすがに悪いと思っていた。

「本当かい?

じゃあ、姫に質問です。

さて、僕は姫に何と何を取ってこいと言ったでしょうか?」

ウィリアムが質問してきた。

その瞬間、アンジェは脳内で一生懸命、その答えを探し始めた。

(えっ、えーと、何だったけかなー?

イメージ的には、こう、何だかモジャモジャしてるイメージがぁ・・・・・・)

「・・・・・・」

目を閉じ、眉間にしわを寄せながら「うーん」と考え始めたアンジェ。

そんなアンジェを見て、ウィリアムはアンジェがまた聞いてなかったなと思い、「姫、また答えれませんか?」とあきれ顔で尋ねる。

その直後、アンジェの中で、答えが導き出された。

「っ!!

あっ、わかった!!」

アンジェが目を開け、パァとひらめいたような表情で言う。

「あー、わかったのですか?」

そんなアンジェと対照的に、今までアンジェが考えこんでいたことを踏まえ、どうせ間違っているだろうと予想しているウィリアムは「はいはい、っで、答えは?」と半ば諦めた感じでアンジェの答えとやらを待つ。



「答えは・・・・・・」



「答えは?」



「答えは・・・・・・モップと毛糸玉!!」

どうだっ!!というふうに胸を張って堂々と答えたアンジェ。

そんなアンジェの答えに「やっぱり、聞いてるはずないか」と頭を抱え込み、うな垂れるウィリアム。

もう、起こる気さえない。


「ウィリアム様、鍵が開きました」

そんな主人の後ろで、ロゼッタが静かにそう告げた。







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