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護衛役は女の子っ!  作者: 春日陽一
いつかのための“着火剤”
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第47話 おほほほ

ウィリアムはもうすごかった。

だらけまくって、その上ものすごく女たらしですごかった。

「王子として・・・・・・人間としてどうなんだっ!!」っていうぐらい。

飯を食べる時は椅子にダラーンと腰掛け、食べ物を横にいるロゼッタに食べさせてもらう。

普通に部屋にいる時でも自分の身の回りのことをメイドなどに全てしてもらう。

そしてそこら辺にいる女性、誰しもかまわず口説きまくり、ハーレム状態をつくる。

それに何故かメイドや貴族の娘、女性にモテていた。

おどけた口調も相変わらずで、アージスにも決して「です。ます。」口調で喋ることはなかった。

そんなウィリアムを見て、アージスもラドアスも、みんな何か言いたがったが“敵国の王子”ということでどう接したらいいのかわからず何も言えなかった。










「本当にどうにかならないかしら、あのダメ王子っ!!!!」

そうイライラしながら怒鳴って来たのはマリアだ。

「まあまあ落ち着いて、マリアちゃん」

そんなマリアをアンジェが落ち着かせようとする。

が、マリアが落ち着くわけがない。

「ムリ、落ち着くなんてムリムリ!!

だって、あのダメ王子、私を口説きにきたのよっ!!

この私をっ!!

しかも軽い言葉で、紳士の振る舞いもなしに!!

私を口説くなんて、百万年早いのよーーー!!!!」

マリアが叫ぶ。

「ハハハッ、百万年かぁ。

でも、ウィリアム王子、モテてるみたいだよ?

私は苦手だけど・・・・・・」

実はというとアンジェもウィリアムが苦手であった。

「でしょ、モテてるのがもっと腹が立つ!

私の同僚なんかも「キャー、キャー」言って、どこがいいんだかあんなバカ王子」

マリアはそこまで言って、「フー」と一息つく。

アンジェもマリアの苛立ちがひとまず収まって「ホッ」とする。




「おい、五月蝿いぞお前たち」

「あら、いたのですか王様」

マリアが先ほどまでとは違う上品な笑みで少し驚いたようアンジェの後ろに顔を向け、言う。

その顔の先には書類に目を通しながらペンを走らせるアージスがいた。

実はここはアージスの書斎なのだ。

仕事をするアージスと護衛のアンジェがもともといた書斎に休み時間になったマリアが来た(本当はダメなのだが・・・・・・)。

アージスは仕事がひと段落ついたようでペンを置き、少しイラついた顔をこちらに向ける。

「いたのですかって、いたのは知っていただろう、マリア嬢」

「いえ、私、頭に血が上ると周りが見えなくなるようで、これぽっちも気づきませんでしたわ」

「おい、今、“これぽっち”を強調しなかったか?」

「いえ、しておりません」

アージスが怒りそうである。

マリアはそんなアージスをからかう様に「おほほほ」と笑う。

そんな二人に挟まれながらアンジェは思う。

「うわー、絶対マリアちゃん、アージスからかって遊んでるよ」と。

そんなことを思っているとアージスが「はぁー」とため息をつき、椅子にもたれかかった。

どうやらこの勝負(?)、アージスが折れたようだ。

「まあいい、休憩時間もそろそろ終わりだろう。

もう用がないのならこの部屋から出ろ。

本来はそう気軽に入ってはいけないのだからな」

アージスのその言葉にさすがにマリアはちゃんと従う。

「わかりました。

では、失礼します」


パタンー


マリアが出て行った。

「おい、アンジェ」

するとアージスは今度はアンジェに声をかけた。

「ん?

何、アージス?」

「お前、随分暇そうだな」

この言葉にアンジェがビクッとする。

この声は、アージスが善からぬことを企てているときの声だ。

どうやらマリアのことをアンジェで晴らそうとしているようだ。

「そ、そうかな?

ひ、暇そうに見えるかな?」

ビクビクしながら答えるアンジェ。

「あー、見える、見える」

アージスは頷きながら言い、アンジェを見ながらこう言った。





「暇そうに見えるから、アンジェ。

お前、午後はウィリアム王子の監視をしろ!」





物静かな午前の王宮で、何故か今日は王の書斎から大きな悲鳴が上がった。




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