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護衛役は女の子っ!  作者: 春日陽一
いつかのための“着火剤”
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第38話 どうしたものだろうか?

アンジェはアージスを追った。

アージスに追いついたとして何を言えばいいのかアンジェにはわからなかった。

だけどアンジェは必死にアージスを追いかけた。

追いかけて、呼び止めて、ただそばにいてやりたかった。



バタンー。

アージスがある部屋に入った。

そこはアージスの第二の自室ともいえるところだった。

アンジェは追いつきたい一心でノックも忘れて入った。

部屋の中でアージスは椅子にポツンと座っていった。

アージスはアンジェが入って来てっも無言。

どこかボーとするように何もない空中を見つめている。

そんなアージスを見て「どうしたものだろうか?」とアンジェは思った。

追いかけてきたものの何を言っていいのかわからない。

話しかけたいもののいい言葉が思いつかない。

「う〜ん?」

と唸るアンジェ。

そんなアンジェに向かって、アージスがポツリ、ポツリと独り言のように話し始めた。

「俺は知っていたんだ。

サラがセーランドと愛し合っているということを。

だけどその二人を無理やりに引き離してしまった、この俺が。

仕方なかった・・・・・・といえば、言い訳になるのかもしれない。

だけど仕方なかったんだ。

当時の俺は王になったばかりで権力も何もなかった。

家臣が言うことに従うことしか出来なかった。

今の俺だったらまだしも、あの頃の俺は“王”を名乗っているただのガキだった。

それでも、俺は精一杯サラを大事にしたつもりだ。

お互いに愛がなくても、大事にすることは出来る。

だけど、サラは日に日にやせ細り、精神的にも病んでいき最終的には幻覚までをも見るようになった」

『どうか、どうかサラ様を実家に帰して下さい。

どうか、どうかサラ様を・・・・・・お願いします、どうか、どうか!!』

「そう、サラについている女官達に必死に訴えられて、俺はサラを実家に帰した。

元々結婚は公にまだしてなかったから、婚約に戻し、大臣達の反対を押し切ってサラを実家に帰した」

アージスはそこまで一気にしゃべり、急に上げていた顔を下に向けた。

「帰した、帰したがそれでよかったのか?

サラは帰ったら親族から何か言われたんじゃないのだろうか?

これは全て俺が未熟だったから・・・・・・サラの人生の一部を滅茶苦茶にしてしまった。

一人の女も助けてやれない俺が・・・・・・はたして民を幸せに出来るのだろうか」

いつも上から目線なアージスが弱気になっている。

いつも威厳に満ちたアージスがただの一人の青年のように小さくなっている。

「・・・・・・」

アンジェは何か言ってやりたくても言えない。

多分、何か言っても今のアージスを助けることは出来ない。

ただ、アンジェが今のアージスにやってあげられることがあるとすれば、それは・・・・・・




アンジェは俯くアージスを黙って、そっと抱きしめた。


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