第2話 王宮に入る前に
「へ〜、ここが王宮かぁ〜」
「そうよ」
アンジェとマリアは王宮の前にいた。
「それでは、お嬢様、お気をつけて」
従者がそうつげる。
「うむ、ご苦労だった」
それを少し上から目線でアンジェが言う。
「って、何でそれをあんたが言うのよっ!」
「いや〜、ちょっと言ってみたくて〜」
「だからって言うんじゃないわよ、それは私が言う言葉なの、ってそれよりもあんた、王宮の中に入ったら少しは殿方っぽくしなさいよ〜」
「わかった、わかった」
「は〜、心配だわ、ハルデン伯爵がそこら辺の騎士よりは腕がたつっておっしゃられるから連れてきたのに・・・」
ハルデン伯爵とはこの国のなかでも上らへんの位を持つ人だ。
そして、アンジェの叔父にあたる人でもあった。
「まぁ、もうここまで連れて来ちゃったし、しょうがないって」
「も〜、あんたは黙ってて」
そういいながら、アンジェとマリアは王宮の入り口に向かう。
王宮の従者や兵たちが入り口のあたりで訪問者たちを迎えている。
少し、アンジェは自分が緊張しているのに気づいた。
そして、横でどうどうとしてるマリアも実は緊張してるのだろうなと思った。
そんなことを考えてるうちに入り口が目の前になり、マリアが言う。
「さ〜、どんどんエスコートして頂戴ね、アンジェ・イズ・スーダ」
「かしこまりました、
お手をどうぞ、お嬢様」
アンジェは何も知らないまま入っていく。
のん気にも初めてのレッドカーペットに少しはしゃぎ、マリアに隣からにらまれながら。
それはまだ引き返せれたかも知れなかった時のお話。