第33話 あ〜、何だか段々腹が立ってきた。
〜マリア視点〜
「それで、マリア嬢は一体誰からその話を聞いたのですか?」
どうもご機嫌麗しゅう、マリアです。
現在、私はプチ拷問されております。
そもそも何故こうなったかと言うと原因はさっきの私の軽はずみな言葉です。
『サラ様にお子が出来なかったのは王様のせいじゃないか』という噂を何も考えずにジルに普通に私は言ってしまいました。
それを聞いたジル、ハル、ラドアス様の三人は決してそれを見逃すことなく、現在に至ります。
でも、ちょっと待って、私は三人に噂を言っただけであって流したわけでもないのに何故こんなにも私がビクビクしなければいけないの?
もっと考えたら、この三人は私を拷問(と言ってもそこまでのものではない)する以前に私に感謝しなくてはいけないんじゃないのかしらっ!!
だって、こんな噂が流れているということがわかったのも私がいたからじゃないっ!!
多分、私以外の女官なんかに聞いたら皆怯えて聞き出せなかったはずだわっ!!
あ〜、何だか段々腹が立ってきた。
それにしてもこの噂、何だか変だわ。
だって、サラ様は元々まだ王様と結婚してないのだからお子が出来てないのは当たり前のはず、でもこの噂ではサラ様にお子が出来なかったのが変とでも言うように流れているし、しかも過去形。
多分、この噂についてはこの三人も余り聞かれたくないと思う。
だから、ちょっとした復讐に聞いちゃいましょうっ♪
上記のようにマリアは思い、早速ラドアスからの質問に答えるついでに噂について聞いてみることにした。
「同じく女官のマルセからですわ。
それにしてもこの噂で何故みんなはそこまで真剣になっているのかしら?
王の第一騎士の世話役にもその事について知る義務はあると思うんですが、ねぇラドアス様?」
このマリアの言葉に口には出さないもののラドアスとハルは「やっぱりな」という感じで、どうやらマリアの言動を予測してたらしい。
まぁ、ジルは
「やっぱり、そうきたか」
と口に出してしまいマリアに思いっきり睨まれたのだが。
「わかりました、お教えしましょう。
しかし、これは他言無用でございますぞマリア嬢。
あと、余り驚かないように」
ラドアスは結構あっさりと了解した。
「もちろんですわ」
マリアが返事する。
ある程度驚くことはマリアも承知の上である。
しかし、ラドアスの口から出た次のことはマリアの予想をはるかに超えるものだった。
「実はアージス様とサラ様は一度、ご結婚されております」