第30話 何となくならね
コツ、コツー。
廊下を少し足を速めながらも服装を乱さないように歩く。
しかし、そんな事が出来ているのはアージスとジルであってアンジェはもちろん上手いこといかず、ちょっと服装が乱れ始めていた。
そんな時、ジルがある一室の前で止まった。
どうやら、ここで会談が行われるようだ。
「こちらでございます、アージス様。
中では第三騎士ハルがウィリアム王子のご相手をしております」
ジルが扉に手を向け、少し腰を低くしてアージスに言う。
もちろん、プライベートではないので敬語で。
「ご苦労だった。
下がってよいぞ」
アージスもそれ相応の態度でジルに接する。
「それでは行くぞ、ラウル。
アーリア国とわが国の関係は簡単だったが先程の説明で何となくでもわかったな?」
「う、うん。
何となくならね」
アンジェは先程、このハッシュル国とアーリア国の関係について簡単だったがアージスに説明してもらった。
率直に言うならば、ハッシュル国とアーリア国は仲がよくない。
文化の違いや政治の成り立ちなどが互いにあまり好めないらしい。
といってもそれは今の話でもっと昔は近隣の国などからの点で結構仲がよかったらしい。
ガチャー。
扉が開いた。
それと同時に中にいたハルがウィリアム王子との話を止め席を立ち、アージスは
「この度は遠方はるばるお越しいただき、大変だったことでしょう」
と言った。
部屋の中にいたのは金髪のアージスやアンジェ達と同い年ぐらいの青年とスラッとした桃色の髪が合う綺麗な女の人だった。