第24話 そんなわけないよー
「無視って事ですかっ!?」
そういうことです。
アンジェは声を上げていった。
しかし、少女はそれでもこっちを見てくれない。
「さて、どうしたものか」
アンジェがそう思い、どうしようか考えようとした時だった。
「すまない、遅れた。」
扉が開き、謝罪しながら入ってきたのはアージスとラドアスだった。
これを待ってましたかのようにアンジェは元気に
「あっ、アージスっ!」
と言おうとした。
しかし、それは真っ先に言えなかった。
「アージスお兄様ー」
アージスを見てすぐさま飛びつきに行った奴がいたのだ。
それは、さっきまでアンジェを無視し続けていたあの少女だった。
いつの間にか、その少女はアージスに抱きかかえられていた。
「もぉ〜、アージスお兄様ったら、遅ーい」
少女が言う。
「あはは。
すまん、すまん、書類が今日は多くてな」
アージスが少女に向かって笑顔で答える。
その瞬間、アンジェは何故かムッとしてしまった。
言葉では説明できない何かがアンジェの心の中でザワザワとしたのだ。
そしてアンジェは少女とアージスの本来ならほほえましい光景が何故か気に食わなかった。
そんなことを思いながらアンジェはアージス達を見ていた。
そしたらアージスがアンジェの異変に気づいたのかこちらを見てきた。
そして、急にニヤリとし、少女を床に下ろし
「どうしたんだ?」
とアンジェの方に急に近づいてきた。
アンジェは何故か顔をそらしたくなり、
「別に」
と答えた。
それを見てアージスはますますニヤリとし、
「お前、ヤキモチ焼いてるんだろう」
と言ってきた。
「えっ」
アンジェは驚いた。
何とそれが図星だったのだ。
「そんなわけないよー」
とアンジェは誤魔化すために言ったが内心焦っていた。
「こんな気持ち初めてだっ」
と。