第17話 だってじゃないっ!
「好きなことをさせよう」
ある男は目の前にいる小さな女の子を見てそう言った。
「そうね」
男の横にいた女がそれに賛成し、
「もう、あんな悲劇は見たくないもの」
と悲しそうに言った。
そして、大事に大事にその女の子を包み込むかのように抱いた。
「あんた、バカーーーーー!?」
まだ、日が出て間もない早朝。
そこに今朝早く王宮についたマリアの叫び声が響いた。
それは昨日の夕食の時のことだった。
双子がアンジェをアージスの第一騎士に認めないと言い、それを解決策としてアージスが
「いっそ、決闘でもするか」
と言ったのがはじまりだった。
もちろん、双子は賛成し、アンジェの意思も聞かずにどんどん話は進み、結局、昨日の明日である今日に決闘をすることになった。
それが決まった後、
「そういえば、明日は俺の誕生日で朝からたくさんの客を呼んでパーティーだったな」
とアージスが言った。
もちろん、アンジェは
「えっ、うそっ」
と明日がアージスの誕生日だということに驚いたがその後の言葉に最悪だと思った。
そんなアンジェを見てアージスが
「よかったな、お前のお披露目にもなる」
と言った。
それにアンジェは切れそうになったが口から出てきたのは結局、
「はぁー」
というため息だった。
これを聞いたマリアがさっき叫んだのだ。
「何であんたはどんどん騒ぎを起こすのかな〜?」
「でもこれはアージスが決めたことだし・・・・・・」
「だってじゃないっ!
そもそもあの王様は何考えてるのかしら」
マリアはさっきから怒っている。
多分、家に帰った時、何かイライラすることでもあったのだろう。
そして、アンジェはそのとばっちりを受けている。
そんな、マリアの怒りは隣の部屋のアージスからの文句がくるまで続いた。