第16話 認めませんっ!!
「えっ、認めてくれないのっ!?」
アンジェのその驚いた言葉に
「「認めませんっ!!」」
と双子が声を合わせて息ぴったりに言う。
そろそろ食べないと冷めてしまうであろう料理を前にアージスと従者達は何かに驚いてポカンとしている。
その何かはアンジェにはわからない。
今のアンジェにはその事よりも疑問に思うことがある。
「何で認めてくれないの?」
アンジェは双子に問う。
「うわー、『何で』だってさ、兄さん。
こいつに言ってやってよ」
そう、ハルが言う。
どうやら、ジルが兄で、ハルが弟のようだ。
「それはな、まず、第一に我らの王である気高きアージス様を呼び捨てにしていること。
第二にそんなアージス様の第一騎士に僕たち兄弟を差し置いてなるというのに当のお前は見た限り肉もついてないヒョロヒョロな体でとうてい僕たちよりも強そうには見えない。」
ジルが言う、そしてその横でハルが
「よよよ・・・」
と言いながら、どこから持ってきたかわからないハンカチで目元を(出てもいない涙を)拭きながら頷いている。
それを他の人よりもいち早く驚きから目を覚ましたアージスが見て
「クククッ」
と笑う。
「何故笑う?」
アンジェがそう思いながらアージスを見ていると
「「だから、僕たちはお前なんかをアージス様の第一騎士に認めないっ!!」」
とまたもや双子が言っった。
そして、アージスもまた、一段と笑い出す。
「いや、そんなこと言われてもなぁ〜」
アンジェは何が何やらと思いながら言った。
「おもしろい、お前たち、いっそ決闘でもするか?」
そんな時、さっきまで笑っていたアージスが急にそんな事を言った。
「また、この人は」
とアンジェは思いながら
「はぁ〜」
とため息をついた。
「今日ほど疲れた日はないな」
アンジェは静かに思った。