第12話 えっ、それ、今言っちゃうのっ!?
「えっ、何で?」
アンジェは思わず声を出して驚いてしまった。
そんなアンジェと裏腹にアージスは冷静だった。
「その話、聞かせてもらいたい。
ラドアス、ここにいる従者や兵、関係ない奴らを退室させろ」
「しかし、アージス様。
それではこの部屋に残るのはアージス様とマリア様、ラウル殿の三人だけになりますぞっ!」
ラドアスが言いたい事はわかる。
まだちゃんと正体のわからないアンジェとそんなアンジェの世話役をしたいと言うマリアの二人を王であるアージスと三人きりにするのは心配なんだろう。
「おい、ラドアス、俺はお前に退室しろとは言ってないぞ」
「し、しかし・・・・・・」
「それにおれはラウルを信じているっ」
アージスのその言葉を聞いて流石にラドアスは何も言わなくなった。
そして従者や兵などを退室させる。
アンジェはその間、ある事を考えていた。
「何故、アージスは私のことをそこまで信用しているのか」
ということを。
なぜかというと、アンジェとアージスはさっき初めて会ったばっかりだ。
それでここまで信用されると
「何かあるのか?」
と別にアージスを疑っているわけではないが思ってしまう。
しかし、そんな考え事もアージスの一言で吹っ飛んでしまった。
従者や兵たちが部屋を退室した後、アージスがはじめに言ったことは・・・・・・
「ラドアス、実はラウルは女だ」
「えぇっ!?」
その一言に三人は驚いた。
ラドアスは
「う、嘘っ!?」
といった顔でアンジェを見る。
マリアは
「この王様、気づいてたのっ!?」
と言っている(本人は心の中で言っているつもりだが・・・・・・)。
そして、言われた本人であるアンジェは
「えっ、それ、今言っちゃうのっ!?」
と言っている。
そんな三人の驚き方に(まぁ、一人だけ何かずれているが・・・・・・)言った本人であるアージスは満足している。
「どうやら、この王様は人を驚かせるのが好きなようだ」
とアンジェは思った。
お久しぶりです、春日まりもです。
短編にて、この作品の番外編を書きました。
読んでくださるとうれしいです(読まなくてもさほど本編への影響はございませんが・・・・・・)。
これからも読んでいただけるとうれしいです。