第11話 えっ、何で?
会場から今日、面接を受けに来たであろうお嬢様たちが出て行った後、会場のいろいろなセッティングは王宮の従者たちによって素早く行われた。
そして、一人ずつ(どっかの)お嬢様が呼ばれていく。
「あ、あのアージス様とお会いしたのは・・・・・・」
「それはもう、あの時のアージス様は凛々しくて・・・・・・」
ある者は緊張のあまり、上手くしゃべれないようで、また、ある者は自分がどれだけアージスを好いているかアピールしようと必死で訴えていたりした。
「はぁー、これで一体何人目だろう。
同じ事を言っているのは・・・・・・?」
アンジェは始めこそちゃんと(本人でもないのに)聞いていたが、流石にこう何人も同じことを言っているのを聞いていると飽きてくる。
まぁ、アージスは始めから聞く気がないようで今は、ダラーンと椅子に座り、
「はぁ〜ぅ」
とのん気にあくびをしている。
これを一生懸命に面接をしているお嬢様たちが見たら、きっと泣くだろう。
一応、アージスと面接を受けに来ている者との間には布が引かれているが。
「アージス様」
さっき、面接をしていた子が部屋を出て行くとラドアスはアージスに言った。
「何だ、ラドアス?」
「何だではありません、アージス様。
次の方で終わりですから最後ぐらいしゃんっとしてくださいませ」
そう、ラドアスが言い終わった後、最後のお嬢様が入ってきた。
「失礼します」
そう言いながら入って来たのはマリアだった。
「どうぞ、おかけください」
ラドアスがそう言う。
「有難う御座います」
マリアがそう言いながら椅子に座る。
「私の名前はマリア・シー・ザビルと申します」
アージスが
「こいつも他の奴らと一緒か」
とマリアに聞こえないように小さく言う、そして体勢をラドアスに注意される前と同じ体勢に戻した。
ラドアスがそんなアージスを見て
「はぁー」
と小さくため息をつく。
アンジェはそんな二人を視界の端に置きながら
「なんで、マリアちゃんがこの面接に?」
と考えながら布越しにマリアを見ていた。
しかし、その三人をマリアが次の瞬間、驚愕させた。
「率直に言います。
私、実はアージス様の愛妾になどなる気はありません」
「何?」
アージスは急に体勢をちゃんとしてマリアに聞き返す。
それをマリアは確認してから言った。
「その代わりと言ってはなんですが、そこに居られる第一騎士様の世話役をさせていただきたいと思っております」
この言葉に
「えっ、何で」
とアンジェは声を思わず出して驚いてしまった。