第9話 私は第一騎士らしい
「まったくもう、アージス様はっ」
少し中年太りの老人がアージスをとがめる。
「いやー、すまん、すまん、ラドアス。
ちょっと、散歩がしたくて・・・・・・」
その老人の名はラドアスというらしい。
アンジェとアージスの元へあの後、このラドアスが来た。
そして今はアンジェがマリアと別れたあの王宮の大広間(?)みたいな所に向かっている。
「そういえば、アージスは王様だから今日、后を選ぶための面接をしなきゃいけないんじゃないのか?」
とアンジェは思い、それをアージスに聞くと
「あー、あれはどうせ后というよりも愛妾選びみたいなもんさ」
とやる気のなさそうな感じで答えた。
「では、マリアはその愛妾選びに来たのか?」
実はアンジェとマリアは一応、幼馴染なのだ。
しかし、今までにいろいろあり、一時期マリアと離れてしまった。
そして今回久しぶりに会ったのだが、確かマリアは決して愛妾になどなるような子じゃなかったはずだ。
急にアンジェは疑問に思い考えようとした時、
「あのー、今更ですがそちらの方は?」
とラドアスはアンジェに聞いてきた。
「へっ」
アンジェは突然だったので少し驚いた。
そして、ラドアスに自分で答えようとしたら、
「本当ぉーに今更だな。
ラドアス、実はこいつはさっき俺の騎士になったラウルだ」
とアージスに勝手に答えられた。
「えぇっ、この方を騎士にですかっ!
しかも、さっきっ!」
「そうだ、しかも、こいつを俺の第一騎士にするっ!」
アージスはハッキリと言った。
「し、しかしアージス様、第一騎士にはセーランドが・・・・・・」
それを聞いて、アンジェは
「あー、さっきのあいつかぁ〜」
と思い出した。
「あいつはさっき俺の第一騎士として善からぬ行為をした。
まっ、その事についてはこいつの事も含めて後で報告する」
「わかりました。
それでは会場の方へ参りましょう。
ラウル殿、あなたの事はまた後ほど、今は王の第一騎士としてアージス様に仕えるように」
「はい、了解いたしました」
アンジェはラドアスに急に話しかけられて思わずシャキッとしてしまった。
「プッ、クククク」
それを見てアージスは笑った。
「お、お前、俺の時と大分態度が違うなー」
「う、うるさいな〜」
アンジェは少し腹が立った。
「ゴホンッ、お二人ともケンカは後にしてくださいませ」
しかし、ラドアスにうながされてしまた。
そして、三人はそのまま会場に入った。