第8話 グタグタな二人
アンジェは王様であるアージスに脅されてアージスの騎士(護衛役)に女でありながらなる事になりました。
ここはまだ王宮の廊下です。
「なんで、だからそこでラウルになるの?」
「だ・か・ら、お前が俺の騎士になるからだって」
「だから、なんでラウルって名前に偽らなきゃいけないの?」
アンジェとアージスはかれこれ約三十分間このやり取りをしている。
それも、もうすぐ終盤を迎えそうだが。
「それは、俺の騎士になるのに女のままでも別に構わないが、それでは、他の騎士たちになめられてしまうし、第一にまともに四六時中、俺の護衛ができない、だから、お前には男としてラウルって名乗ってもらおうという事だ」
そこで、アンジェはやっと
「あ〜、なるほど、そういう意味かぁ〜」
と言った。
「はぁ〜、やっとわかってくれたか。
お前には俺の騎士として働いてもらう前に勉強をしてもらわなきゃいけないのか?」
その言葉にアンジェは
「アージスがあまりにも説明不足なだけじゃないの?」
と言った。(別にアンジェは怒って言ったわけではない)
「なんだとっ」
隣でアージスはアンジェが言った事に対して怒っている。
実は、アンジェはこのやり取りの中で、アージスの事でわかった事があった。
まず、アージスは頭の回転は速いのだが、それを相手に伝える時、あまりにも説明不足過ぎるのだ。
あと、次にアージスは結構短気でもあった。
「アージスの周りの人たち、結構苦労してるんだろうなぁ〜」
とアンジェは心の中でアージスの周りの人たちに同情した。
まぁ、その内、アンジェも同情される身になるのだが。
そんな事を思われているとは露知らず、アージスはちょっと怒っている、それを知っているのか知らないのか、アンジェはそんなアージスを無視していろいろと考えている。
そんなグタグタな二人の元に誰かがやって来てその場をまとめたのは、そこから約十分後のことだった。