第3話 おはようございます
週1くらいのペースで更新したい。
「・・・・・・っていう訳なんだけど」
俺は今、無駄に豪華な椅子に座りながら、姉貴と達也から状況を聞いている。
2日も寝てたとは・・・そりゃ、体も急に動かんわ。・・・しかし・・・・
「・・・・つまり、この世界では人間と魔族と魔物っていうモンスターがいて、人間にとって魔族と魔物は脅威である。
人間は今俺たちがいるディアナ大陸に、魔族はクラウディア大陸に住み分けされているが魔物は両方の大陸に広く生息している。
しかし、最近この魔物の活動が活発になってきている。これは間違いなく魔族とその王である魔王の仕業であると。
これを討とうにもこのディアルク王国を含むディアナ大陸の戦力は少ないからどうにかしないといけない。
そこで考え出されたのが異世界から大きな力を持った勇者を魔法で召喚するという方法。
そして召喚されたのが俺たち3人・・・と」
2人から聞いた情報を簡単にまとめてみるとこんな感じだった。
「そう、分かった?」
「分かるかぁー!!」
まったく意味わからんわっ。ちゃぶ台があればひっくり返してやりたいわっ!なんだよ魔族とか魔物とか魔法とか、完全に頭イってるかドッキリかのどっちかだろ。
極めつけは勇者って・・・なるほど、そこは納得だ。
こいつらはまさに勇者キャラだからな。
・・・えっ?なぜ俺まで?
「話はリアラに聞いてよ。俺らも詳しくはわからないし」
りあら? もしかしてさっきからここにいる青い目の金髪美少女か? ・・・かわいいな。
「はじめまして、ディアルク王国王女のリアラ・ディアルクと申します。達也様と同い年です。リアラとお呼びください、カナメお兄様」
へ~、お姫様・・・!? !!? お兄様? な、なぜに!?
「あ、ども、ご丁寧に。神崎 要です。はじめまして」
とりあえずご挨拶っと。い、いや、それより
「あの~、お兄様とは一体・・・?」
「あ、あの、タツヤ様のお兄様・・・ですから」
お姫様は顔を赤らめながら答える。
ああ、そうか。わかった、わかったよ。達也よ・・・お前フラグ立てるの早すぎだ。
お姫様の中ではもう俺たち家族になってるぞ。
「要、悟りを開いた仙人みたいな顔になってるわよ」
チ~ン、違うわ。こんなことしている場合じゃないぞ。いろいろ聞かなくては
「え~と、悪いけど異世界とか魔法とか言われてもぜんぜん信じられないんだけど」
未だにドッキリ疑っているぞ俺は。
それよりタメ語でいいよな? マジだとしても兄になるんだし(決定事項)いいよな?
へたれで悪かったな。
「疑いになるのもわかります。皆様方の世界には魔族や魔物がおらず、魔法が存在しないとお二人から聞いておりますので。なので、また魔法を使ってみたいと思います」
よし、タメ語OK。またってことは達也たちの説明の時も魔法使ったのか。
俺も元厨二病患者だからな、すげー興味あるぞ。
言っとくが元だぞ、元。もう完治してるぞ・・・たぶん。
「では、いきます。『集え炎よ! 赤き力を持つ者たち 今目覚めよ!』」
ボウッ!っという音をだし掌からこぶし大の炎の塊が現れる。
す、すげぇ! 手品という線もまだ消えてないが、これは・・・
「どうでしょうか、ちなみにタツヤ様とリン様も魔法を使えましたよ」
2人とも、もう使えんのかよ!! それ先言えよ! マジで魔法なのかよ。
ってか姉貴はお姉様つかないんだな。断ったか? 昔、後輩の女子にそう呼ばれてドン引きしてたしな。
「魔法ってのは1日や2日で使えるもんなのか? 俺も使ってみたいな」
マジで使いたい。厨二病と言われようとも使いたい。それが男というものだ。
「魔法は全ての人が使うことができます。ただ、魔力量が少ないと威力の強い魔法を放つことができませんし、魔法を学んだり、使えるようになるまで修行をするには数年もしくは数十年かかります。それでも一般の方々のほとんども魔法を使えます。幼いころから家族から少しずつ学ぶのです。そのような方々は炎魔法で火種を作ったり、水魔法でのどを潤す程度ですが魔法を使えるようになります。タツヤ様とリン様は驚くほどの魔力量と魔法の才能を持っているようで、なんとたった1日で魔法を使うことができました。」
さすが勇者様、チートだな。さて・・・
「俺もすぐ使えるかな?」
最も重要な質問だ。
「正式に測ってないのでなんとも言えないのですが・・・カナメお兄様の魔力量は・・・その・・・一般人レベルです」
ごふっ!! なんてこった俺はここでも普通なのか。
い、いや待て正式にとは? まだ可能性は残っているのか?
「せ、正式に測ってないってのは?」
「私たち魔法使いは修練を積むと相手のおおよその魔力量が分かるようになります。その者の魔力の大きさを感じるというのでしょうか。本来、魔力量を測るにはそれで十分なのですが今回は勇者様のお力を正確に測ろうということでして。正式に測るには専用の魔道具を使いますが、準備に手間取っておりましてもう少し時間がかかるそうです」
グハッ!! ほぼ確定じゃねーか。いやまだだ、もしかして正式に測ることで俺の隠された伝説の古の力が目覚めr「無いわね」姉貴ィィ!! あんた鋭すぎるだろ! なんで俺の考えてることわかるんだよ!?
「その魔道具は魔力量を数字で表し、魔法属性まで知ることもできます。ちなみに私の魔法属性は光、魔力量は524です。宮廷魔術師のおよそ5人分ですね。それでも皆様を私の光の召喚魔法で呼ぶには魔力を底上げする魔道具を大量に使いながら、長時間の詠唱によって、ようやく召喚できました」
お前かっ!! 召喚したのお前かっ! まあ、それでも元凶は俺の姉弟なんだがな。
ん? お姫様? 妹(確定)に罪などあるわけが無いだろう。常識的に考えて。
しかし、宮廷の魔術師ってことはエリートだろ? それの5人分って・・・このお姫様も十分チートキャラだな。
「まあ、大体のことはわかったんだけど、俺はこれからどうなるの?この2人はともかく、俺は戦闘できないし、魔力もぜんぜん無いみたいだし・・・帰っていいよね?」
何かものすごく嫌な予感がするんだけど。
「何言ってるんだよ兄ちゃん、一緒に魔王を倒しに行くに決まってるだろ?」
イヤイヤイヤ無理無理無理。なんで俺も行くのが当たり前のように言ってんだコイツ。
「そんなのに連れて行かれたら確実に死ぬぞ。いや、魔王じゃなくて俺が」
やばい、この流れでいくと本当に強制的に連れて行かれかねん。どうする? どうするっ!? 俺っ!!
「残念ですが、カナメお兄様を連れて行くことはやめた方がよろしいかと思います」
え・・・マジで? ・・・いよっしゃぁー!! 助かった! 俺の命が助かった!
ありがとう。さすがお姫様。さすが俺の妹だっ!
「戦闘において魔法と魔力は必須となります。カナメお兄様の魔力量で激しい戦闘はかなり厳しいものになりますから」
偉大だ! なんと偉大な人物であろうかこの姫は! 妹とはすばらしい存在であるな! フハハハハー!
「あと、申し訳ありませんが今は元の世界にお返しすることはできません。カナメお兄様はこの城で王家の御客人としての滞在を予定しています」
何・・だと・・? マジで?
「召喚魔法の技術自体は昔から存在しており、異世界からの召喚も研究されてきたのですが・・・実は異世界からの人間の召喚は今回が初めてでして。そ、そのため、召喚されたものを元の世界に戻すというのは・・・あまり・・・」
とても申し訳なさそうに話すリアラ。どうやら最悪のパターンは回避されたが嫌な予感は的中したな。
「で、でも安心してください。この城で魔法を研究している魔術師達に勇者様方を元の世界に戻すための魔法を探させています。必ず見つかるはずです・・・たぶん」
うわぁ、自信無さそ。安心できねぇよ。てか呼ぶ前から探しとけよ。でも、まあ、ちゃんと教えてくれる辺り、正直な子ではあるのかな。
「ありがとう、リアラ。俺たちも安心して魔王を倒すことに専念できるよ」
・・・少なくともこの馬鹿は安心したようだな。
姉貴はなにやら黙って考え込んでるみたいだし・・・まあ達也はともかく姉貴に任せてりゃなんとかなるかな? 俺が考えてもどうしようもないし。
それにしても、豪華な部屋だ。まず最初に目が行くのはシャンデリア。スゲーでかい。そして金細工やら銀細工やらの細かな装飾が半端じゃない。
おっと、目がちかちかしてきたぜ。
お次はベッド。はっきり言ってさっきと同じ感想だ、スゲーでかく、装飾が半端じゃない。これに尽きる。感触もふわっふわだったし。
まあ、一言で言うとテーブルやら椅子やら部屋全体がそんな感じ。まさにクラシックな超豪華ホテルてとこだ。
小庶民の俺からしてみれば落ち着かない気がするが、ここが俺の部屋になるのかな? まあ、後で聞けばいいかな。
それにしても、
「腹、減ったな」
ポツリとつぶやく。よく考えてみれば、2日も寝てたんだ腹が減るに決まっている。
ああ、意識しちまうとさらに腹が減ってきやがった。
「そうですね、たしかにそろそろ昼食の時間になりますね。区切りもいいですし、食事にしましょう」
おお、聞こえてたみたいだな。いいタイミングでよかった。
きっと、飯も豪華なんだろうな。楽しみだ。
「姉貴、とりあえず飯食いに行こうぜ」
「そうね、いきましょう」
姉貴は何かいろいろ考えているみたいだが・・・俺もこれからどうなるのかまったくわからない。
当分は情報収集かな? RPG的にはだけど。さあ、とにかく飯だ!
あれ? そういえば、俺も達也たちも高校の制服じゃないじゃん。
達也たちは2日過ごして着替えたとして、俺の場合は・・・
いやん (/ω\*)
いつからヒロインが主人公とくっつくと錯覚していた。
要「何・・だと・・?」