第2話 死にたくねぇなぁ
暇な時間がある限りずっと書いていたい。そんな小説にしたい。
いってえぇー!痛い、痛すぎる! 俺のっ! 右腕っ! ありえねぇ、痛すぎだろこれ!
くそっ、馬鹿達也に右腕をつかまれて光に包まれて、それからどうなった? ここはどこだ? 体が浮いてるぞ?周りは薄暗くてよく見えねぇ。一体何が?って思っているところにこの激痛だ。
痛ぇっ!い、痛すぎるっ。マジで死ぬって!
ぐぅぅっ、くそ、右腕は? 俺の右腕はどうなってやがる? あぁ?お、おまっ、馬鹿達也!てめー、俺の右腕つかみっぱなしじゃねーか!離しやがれぇ!くそ痛いんだよ!
「離s、いぃいぃぃ痛ぇぇ~~っっ!」
痛すぎて声が、いや、息すらできねぇ。痛いっ、殺す気か?俺を殺す気なのか? ち、ちくしょう、達也! てめぇ、ぶっ殺すぞ。いだだだ、痛い痛い、すいません、うそです、勘弁してください。
くぅぅ、こいつらは痛くねぇのか?姉貴も達也の向こう側にいるが2人とも平気な顔で前を見てやがる。ず、ずるいぞ、不公平だ。なんで巻き込まれた俺だけがこんな目にあうんだ。
ぐうぅぅ、ヤバイ、右腕もげるんじゃない?痛すぎてもげちゃうんじゃない?いや、むしろ、もげてもらった方が痛くなくなるんじゃない?うおおおー、俺は何を考えてんだー、シャレにならんわ。
い、痛い、これは達也に腕をつかまれているからじゃないだろ。ありえない、痛さがありえない。
焼かれている痛みでも切り刻まれている痛みでもない、経験したことの無い激痛。まるで、俺という存在を断られているような・・・そう、拒絶されている、そんな感じだ。しかも捕まれてる腕中心で、何でっいぃぃっ、痛いぃ。痛すぎて考えらることができねぇ。
やばい、やばい、あまりにも痛すぎて気絶してしまいそうだ。だが、これで気絶してしまうとヤバイことになる。本能がそう叫んでいやがる。
ああ、もう・・駄目・・・だ・・・気絶? 否、死? 死? 死? くそっ、俺は死ぬのか?このまま死んでしまうのか?い、嫌だっ、嫌だ嫌だ嫌だ。死にたくないっ、死にたくないぃぃっ。
俺は、俺には今っ! 死んだらいけない理由あるんだっ!! 絶対に、絶対に死ねないっっ!!!
・・・・・・るか
・・・見られてたまるか
他人(特に親)に!パソコンの中身!見られてたまるかぁぁぁ!!
ウウゥオオオオオオオォォォ!!
生きる!俺は生きるんだっ!!
俺にはっ、俺にはやらなければならないことがあるんだぁぁ!!
こんな痛みなんかで俺を殺すことなどできんっ!!
俺は友のためっ (主に某大規模掲示板とか)
俺は仲間のためっ (主にオンラインゲームとか)
そしてなにより、俺の名誉のためにっ!!
生きなければならないんだぁぁぁぁぁ!!
ううぅおおおぉぉううぅりゃゃあああぁぁぁ!!!!!
俺は失いかけていた意識を熱く燃え滾る心により無理やり覚醒させる。そして、右腕に未だに走っている激痛を気合で耐え忍ぶ。
ごおおぉおぉぉおおおぉぉぉ!!
永遠とも思える激痛を破るかのように地響きのような音が無音だった世界に響いたと思うと、辺りを見覚えのある光りが満ちていた。
「ぐぅ、はぁはぁ、この光りはさっきの達也達と同じ・・・?右腕の痛みも治まってきている?た、助かったのか?」
右腕の痛みはまだ残っているが先ほどよりもだいぶ楽だ。痛いというよりも腕が中から捏ねくりかえされたかのような感じで気落ち悪い。
右腕の具合を確かめているといつのまにか辺りよりも眩しい光を放っている穴のようなものに吸い込まれていた。
スタッ (達也)
スタッ (姉貴)
グチャッ (俺)
「「グチャッ?」」
ぐおお? 右腕だけでなく体全体に激痛が? か、硬い、これは・・・地面か?
しかし、地面がこんなに素晴らしいものとは。
ああ、安心・・したら意識・・が・・・
「ちょっ、要!? 人類の体から出てはいけない音があなたの体から出たわよ?」
「兄ちゃん、大丈夫か!? 死んでないよね?」
た・・達也か・・・。・・・さ、最後・・・に・・一・・言・・・
「い・・・いつ・・か・・・ぶっ殺・・・す・・・・・」 ガクッ
思いを告げて俺の意識は闇に染まっていった。
・・・・むぅ・・・・・
・・・う~ん・・・・
「2日も目を覚まさないなんて心配だよ」
「医者の人たちは異常はないって言ってたけど・・・さすがにこうなると逆に心配になってくるわね」
「き、きっと大丈夫ですよ。城の治癒魔術師はこの大陸でもトップクラスなんですから」
「そう・・・だよね、大丈夫だよね。俺、兄ちゃんの遺言が『いつかぶっ殺す』なんて絶対嫌だよ」
「それは・・・嫌だね。呪われそうで」
「嫌・・・ですね。呪われそうで」
・・・むぅ、なんかうるさいな・・・眠ぅ・・・
「うぅ~ん、うるせえな・・・・」
「っ、兄ちゃん!?」
「要! 大丈夫?」
うぅ~、うるせぇな。もう朝なのか? 起きるから耳元でわめかないでくれ。
あっ、そういや今日は定期試験か。めんどくさい・・・しょうがねぇ、起きるか・・・はぁ・・・
うおっ? えっ?えっ? どこだここ?
「ど、どこだここ? あっ、知らない天井だ。 どこなんだここは?」
とりあえず名言を言いながら、辺りを見渡す。
ここは・・・まじでどこだ? 部屋全体が恐ろしいほど高級感であふれている。ベッドもすごくフワフワだ。
「兄ちゃん、大丈夫? 覚えてる?」
あ? 覚えてる? って何を?
・・・あれ? 俺たち学校に行かなかったか? そこで光りが・・・光?・・・ハッ!!
「クックック、覚えてる、覚えてるぜ~。達也よ~、クックック」
あの激痛の恨みをよ~
「な、なんだよ?」
達也は不気味みがりながら後ずさる。
「言ったよな~? ぶっ殺すってよ~。クックック、殺ってやらぁ!!」
俺は拳を握り、ベットから勢いよく飛び出し達也に向かっていった。いや、向かおうとした。
「うぎゃっ」
体は俺の言うことを聞いてくれずベッドから転がり落ちていた。
チラッとヒロイン登場。気づいてもらえたかな?