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スキル【自転車】とか言われてホント草 ~自転車を召喚して彼女作ります。地球守ります。英雄になります~

掲載日:2026/04/29




「そうだ……思い出した……俺は夜道を歩いていたんだ!!」


 かれこれ数十分この光り輝く場所に居るのだが、記憶も、衣服もなかった。

 だが、記憶は戻りつつある。


 俺は叫ぶと、この光輝く回廊へと来るまで、何があったのかを辿っていく。


 まず、自分の名前は稲田優雅(いなだゆうが)


――いいね。名前を思い出したのは大きな成長だ。


 そして、俺は何から何まで普通だった。

 身長、体重、頭の良さ、運動神経、顔、育った環境、友達。

 少しずつ浮かび上がってくる自分の思い出が、どれもつまらない出来事であることに気づく。


 不満はあったが、能力も運も無ければ、現状を変えることはできなかった。


 何か一つ個性があれば――。


 おととと。

 話がずれてるな。


 しっかりしろ、ユウガ。


 これは俺の癖。

 自分の脳を、ユウガじゃない誰かとして考えて、俯瞰して“ユウガ”を見る癖がある。


 厨二臭くて非常に(かぐわ)しい……。


 とにかく、俺、ユウガは夜道を歩いていた。

 

 それで、轢かれた。

 こういう時はトラックとかが相場?なんだろうけど、俺の場合は違った。


 自転車に轢かれて死んだ。


 イヤホン着けた……俺と同学年くらいの高校生に。


「最悪な死に方したな……」


 そう呟いた時、不意に背後から肩を叩かれた。


「お、君がユガくんかぁ」


 振り向くと、そこには女神が立っていた。

 もう見た目だけで女神ってわかるくらいの女神。


「や、俺はユウガです」


「まぁどっちでもいいよぉ」


 そう言った彼女は露出の多いギリシャ人みたいな服をなびかせ、酒瓶を片手に喋り出した。


「君さ、私が間違えて死なせちゃったんだよねェ」


「え、てことは……また現世に戻れるってことですか?」


「んにゃ。違うね。それは無理だから、別の世界に転生させてあげるよ……どう?日本人ってこういうの好きでしょ?」


「何か雑に扱われてる感じがあるなァ……」


「ま、転生すんのは決まったから。なんかつけてほしいオプション会ったら聞くよん」


「じゃぁ……普通じゃない……めちゃくちゃ個性的なスキルをください!!」


「おっけい!!」


 彼女は虚空からステッキを取り出し、俺に向けた。


「じゃぁ、言ってら☆」


 彼女の一声と共に、床がすとんと落ちる――と言うか、扉が開くようにして床が割れた。

 刹那、ふわりと浮く身体。

 自由落下を始めた世界に、玉がシュッと縮んだ。


「え……?これ……ほんとに大丈夫なんですかぁぁあああああああ!!」


 こうして俺は、かの有名な異世界転生を果たしたのだった。





 そして齢は15。


 この年齢は皆がスキル授与の試練を受ける年だった。

 普通の魔法は誰にでも使えるが、固有のスキルというものがある。


 俺の場合、これが特殊で、強くて、あわよくばチートであると願いたい。てか、多分そう。


 転生後、ユガとして生きてきた俺に、遂に女神からのギフトが何かを確認するときが来た。






 その頃女神。


「あれ、やっちゃったな……死因とスキル各、間違えてるよぉ……」


 役所から送られてきた書類に目を通しながら、酒をぐいと飲み干す。


「ま、いっか。そういう死に方もありましたって……ゼウスに突っぱねよう」





「君のスキルは――【自転車】。じ、ジテンシャ?何だそれ?な、なんだこれ」


 たっぷりと髭を蓄えた僧侶がそう言った時、俺は絶望した。


 いや、絶対チートスキルじゃないじゃん。

 てかさ、絶対死因とスキル間違えてんじゃん。


「ランクは測定不能。よってギルドへの加入資格は無し!!」


「――終わった」


「え?なんじゃ?」


「俺の異世界生活、ここで終わったァーーーーー!!!!」







☆君のスキルは【自転車】とか言われてホント草 ~自転車を召喚して彼女作ります。地球守ります。英雄になります~ ☆







「ま、いいじゃん。わざわざギルド入って危険な目にあうよりさ」


 スキル授与の儀式から数十分後。


 青空の下、そう言って俺の肩に手を置くのはエレナだった。

 彼女は俺の幼馴染で、スキル【剣聖】をもらった挙句、自身の魔力量も歴代勇者並みだというバケモノである。


「エレナはこれからどうすんの?」


 俺が聞くと、サラサラの金髪をなびかせながら、天を指さす。


「この世界を支配する」


「魔王どうすんの」


「倒せんじゃね」


「余裕でいいねぇ」


 俺が頭の後ろで手を組んで後ろに倒れると、彼女はこちらを振り返る。

 その姿は天使のように美人だが、大きな欠点がある――後で紹介するけど、ほんとひどい。マジで。


 雲間から日差しが差し込み、彼女の顔が暗く陰った。


「真面目な話すんとさ……私は王都に言って勇者を目指そうと思っている」


 エレナは少し悲しそうに言った。


 この世界には魔王がいて、魔族がいて、モンスターがいる。

 ゲームと同じだが、この世界が現実。

 

 何代も優秀なスキル使用者が勇者となって彼らを倒してきた。


「そっか。まぁ、頑張れよ。俺はいつでも応援して――」


 少しニヤけながら俺がそう言いかけた時、急に村の方から爆音が聞こえてきた。

 遅れて衝撃波が広がる。


 草原の草が吹き荒れ、鳥たちが駆け回る。


 俺とエレナは互いに顔を見合わせ、剣を持って村へと走った。





 村は騒然としていた。


 中心の噴水は粉々に壊され、代わりにそこへ大きなクレーターができている。

 荒らされた形跡はないものの、多くの村人が恐れをなして逃げていた。


「おやおや、どんな村かと思えば……とんだクソ田舎じゃないですか」


 クレーターの中心には男がいた。

 不気味で、村人に魔法や石を浴びせられようと、ピクリともしない男。


「今の攻撃で終わり?どの攻撃も私に傷一つ付けられていませんよ」


 クレーターから這い出てきた甲冑の男は、溜息をつきながらそう言った。


 俺はそれが一瞬で魔族であると分かった。

 頭に生えた特徴的な角、高い身長。


――そして、体から発するオーラとして見える、圧倒的な魔力量。


「待ちなさい!!」


 俺の隣でエレナが叫んだ。

 勇気がすごい。


 俺と違って……頭も良いし……力も強くて……スキルも……。


 でもまぁ、村の女の子も見てるし――。

 隣にエレナもいるし――。


 俺もカッコつけとくか。

 虎の威を借る狐ってやつね。これ世渡りの常識。


「待てェっぇええ……ンあぁッ!!」


 声が裏返るのは想定外なんだけど。


「なんか、見るからに弱そうなのと……強スキル獲得者が一名ずつ。私に逆らう気ですかね」


 甲冑越しにしか彼の目を見ることは不可能だが、その目は赤く、殺意に満ち溢れていた。


「私の村を荒らすな!!このエレナがいる限り、そなたの隙にはさせん!!」


 エレナは地面を蹴り、魔族へと肉薄する。


雷電連撃(ライトニング・ボルト)!!」


 彼女の持つ剣が光ると同時に剣が甲冑へと切り付けられた。


 これがスキル【剣聖】。

 全ての剣系統スキルを自由に扱えるスキル。

 魔力消費量は途轍もないが、その分威力は通常の倍以上の力が出る。


 いままで村の大人たちがスキルを使うのは見たことがあるが、彼女のスキルはやはり別格だった。


 そしてそのスキルをすぐに使いこなすエレナのセンス。

 彼女は勇者になるべき人物だ、と確信した。


 しかし、魔族は簡単にその剣を右手で遮ると、呪文を唱え始める。


闇鵺(ターン・オフ)


 刹那、エレナの剣が逆方向にへしゃげた。


「片田舎の人間如きが名を名乗るとは……戦いの作法を心得ているのだな」


 とっくにもう俺はちびっている。


「私の名はデドル。魔王様直属司令官がうちの一人。冥土の土産に覚えておくが良い……」


 彼はそう言い切ると、一瞬でエレナの正面へと間合いを詰めた。


(ターン)――」






 俺には――無理だ。


 こんなの勝てるわけない。

 逃げたらいい。それでいいって。逃げたもん勝ちだぜ。


 おい、エレナ、そんな顔をするな。


 俺が諦めた顔をしたことに気づいたな――今。


 ごめん。


 俺の異世界ライフは、まだ終わらせたくないんだ――






「――とでも、思ったか?」


 俺が小声でそう言った時、デドルがこちらを睨んだ。


「俺が逃げるとでも。思ったか?」


 俺は剣を捨て、両手を空中に構えて叫んだ。

 

「いや、貴殿、漏らしておるであろう」


「いいえぇ?いえいえ。いーや、いやいやいや……まじで漏らしてないです。まじで」


「逃げた方が賢明だぞ?下等な村人よ」


 俺は震える膝を必死に抑えながら、胸を叩いた。


「俺はここで逃げるほど腐っちゃいねぇよ!大親友捨てて逃げる程なァ!」


 エレナは目に涙を浮かべ、俺の方を見て頷いた。


「俺の名前はユガ。戦う時は名乗るが作法だって言ったっけ?ユガだ!!覚えとけ!!」


 俺はデドルの方へ走っていくと同時に手を前に突き出す。


「どうなるか分かんねぇけどよ……出てくれよ!!呪文!!」


「かかって来い、ユガァァァァアアア!!」


「ありったけの魔力を使って発動してくれ――特殊魔法【ジテンシャ】!!!!」


 その瞬間、空中に巨大な魔法陣が現れる。


「な、なんだ、あれ……!!」


「おい、上を見ろ!!」


 村人たちが驚く中、黒い雲の下に巨大な魔法陣が現れた。


 村がすっぽりと覆われるほどの、紫色の魔法陣。

 こんな魔法陣は見たこともない。


「なんという大きさ――ッ!!」


 デドルはすぐさま手を空へ向け、防御魔法を唱える。


防御(バリア)


 しかし、魔法陣から巨大な円形の物体が出て来る。

 直径30メートルはあろうか、ゴムと、金属でできた巨大な円。


 この世界で、俺だけがこの物体を――この乗り物を知っていた。


「クソでかい……自転車だ……!!」


 あまりに大きすぎる。


 村全体に覆いかぶさるのではないかというサイズのそれは、ヌルリと魔法陣から出て来た。


 てか、これ村人諸共殺すことになるくね?

 てかてかさ、これ自爆じゃね?


 気づいたときには時すでに遅し。


 自転車は半分まで出かかっている。


「これは私にも防ぎきらん……というか、純粋に重さに耐えきれん!!」


 デドルはすぐさま防御呪文を解除し、手を自身の胸に当てた。


転移魔法(テレポート)!!」


 その瞬間デドルの姿が消え、エレナだけがクレーターに残される。


――マズい。


 すぐさま自転車を消さないと――この場にいる全員が死ぬ!!


 でも、魔力は全て使った――!!


 手詰まりだ。完全な、手詰まりだ――!!


 その時、ふと正面から自分を呼ぶ声があることに気づいた。


「ユガ!!呪文を中断して、私に剣を投げろ!!後は私の出番だ!!」


 エレナだ。


 そうだ。彼女が俺を信じたように、俺も彼女を信じることができる。


「分かった……エレナ、頼む!!」


 俺は魔力の放出を止める。

 魔法陣から出かかっていた自転車が急に止まり、陣が収縮していく。


 そしてさっきまで持っていた剣をエレナの方へと投げた。


 剣がエレナのすぐ足元に刺さり、それを彼女が拾い上げる。

 

 エレナが剣を天に向け、魔力を注ぐ。

 剣が光り、空気が揺れた。


「スキル【剣聖】奥義――空間切断(ヴァルドア)!!」


 俺が次に彼女の方を見た時、すでにそこは新たなクレーターとなっていた。

 彼女が踏み込んだだけで地面がへこんだのだ。


「私の奥義は、空間を切り裂く。斬れば、斬れたものから消えていく。別の空間に飛ばされていると言った方が良いかな?――その空間で、歴代の剣聖犠牲者と共に、眠るのだな――!!」


 エレナは自転車のことを新たなドラゴンか何かだと思っているらしい。


 だけど――最高だ。

 最高だよ――エレナ!!


 エレナが空中で剣を振り抜いた。

 それはゆっくりで、滑らかな動き。


 もし相手が動くものだったら当たらない程の、慎重な一振りだった。


 少し遅れて、暗雲が二つに割れる。


「我が魔力よ応えよ……そして、消え去れ――空間切断(ヴァルドア)!!」


 彼女の叫び声と共に、自転車に真一文字の光が描かれた。

 そして、村に影を落としていた、あの巨大な自転車が消え去る。


 村人たちの歓声が響き、魔力の残滓である金色の光が村に振ってきた。

 当のエレナは空中でガッツポーズを取り、剣を鞘に納めた。


――やった!!最高だ!!


「エレナ!!」


 俺が叫ぶと、彼女は上空からふわりと地面に着地して、剣を地面に突き刺した。


「すごいだろ」


 エレナは自信満々にそう言った。

 そして、俺の肩を叩いた。


「でも、お前が助けてくれなきゃ。私は死んでた。命の恩人だな」


「ちげーよ。お前がデドルに立ち向かってなきゃ……こんなことしてねぇし」


 俺が照れながらそう言うと、エレナはいつものごとく、軽やかに笑った。

 まるで鳥がさえずるように。


「でもな……」


「ん?」


「この技には弱点がある」


「ほいほい。何です?」


「一度使うとな……三日は起き――」


 言い終わる前に、彼女は地面に倒れた。


「エレナ!!大丈夫か!!」


 俺が駆け寄ると、一瞬だけ彼女が起き上がる。


「あとさ、多分この後私モテると思うからさ、女の子たちの連絡先聞いといて。あとで手紙出すから。早くおっぱいに埋もれたい」




 エレナは俺と違って……頭も良いし……力も強くて……スキルも半端じゃない。


 だが、彼女は性格がおじさん過ぎた。


 と言うか、転生したおじさんじゃないかと疑ってる。マジで。


 ほんとにキモい。

 パンチラの為に全速力で女の子の横走ったりするやつなの。


 自転車も知らなかったし、中身はおっさんじゃないのかもしれないけど


――性格がクソキモおじさんなのだ。





 こうして村は平和に守られ、俺とエレナは村を救った英雄として、村長直々に称えられた。


 これに自信を付けた俺は、エレナと共に王都へと行くことにした。


 王都勇者育成機関。


 通称――王の剣。


 そこで俺とエレナは、再び事件に巻き込まれることとなったのだ。




 

 え、この話って俺がメインの話じゃないの?なんかエレナに持ってかれてね?


 心配すんな……お前の話だよ。

 活躍するとこはいくらでもある。


 誰これ……俺のモノローグじゃないの?これ?


 あ、女神はそう言うのないから。


 うわっ……なんか気持ち悪ぃ!!


 出てけ!!

 シッシッ!!

 てかあんた職務怠慢したろ。


 ?


 とぼけんじゃねぇこの野郎!!

 てめ、俺がもし――


 てことで、あたしが間違えてスキルを与えてしまった少年、ユガは、この世界の運命に巻き込まれることとなったのであーる。





 まぁ、今回短編だからもうラスボスまで飛ぶんだけどね。


 おいまだいたのかよクソ女神。

 テメェは酒でも飲んでろ!!

 かーえーれ!!

 かーえーれ!!


 待て待て。

 読者にここまでのあらすじを話してから帰るからちょっと待てやカス。


 カスっていったか今?

 おい女神が使う言葉じゃねぇそ。


――ゴホン


 ほなあらすじ行くで。


 ユガは何とか王都に辿り着くが、因縁をつけて来た【賢者】スキル持ちの主席に喧嘩を売られてしまう。


 エレナに半ば強制的に参加させられたその決闘にて、スキルについて新たな情報を得たユガ。


 一つは魔力さえ絞れば、通常サイズから特大サイズまでの自転車を自由に召喚できること。

 もう一つは、このスキルにはレベルというものが存在し、各レベルにて新たな能力を得られること。


 これによって土壇場でレベルを上げ……フッw……右手から電動自転車を出せるようになったユガ。

 機転を利かせて主席の青年“パウエル”に勝つことができたのであった。


 これホント意味わかんねぇわ。

 私酔ってたからあんま覚えてないけど。


 そして修行を積み、魔族の襲来や裏切り者の調査を乗り切ったユガは、晴れてエレナ、パウエルと共に勇者へと選抜される。


 この頃には左手から電動キックボードも出せるようになっていた。


 旅の途中でエルフの姫、マヤと出会った一行。

 エルフの村を救った彼らと共に魔王を討伐せんと、マヤは共に魔王城を目指すこととなった。


 それからはマヤのことを想う毎日……。


 あーん!!


 ユガったら――お・と・め ♥


――よし、殺す。絶対に息の根を止めてやる。


 うるせぇ、チャリ野郎は黙ってろ。

 そんで、なんやかんやありつつも、完全にスキル【自転車】を覚醒させたユガ。


 レベル5である最終段階は、人工知能の搭載されたオートバイクの召喚。


――もう自転車ちゃいますやん。


 その人工知能は戦いをサポートしつつ、元々戦闘IQの高かったユガの能力を大幅に上昇させる。


 彼の名はチャッピィ。

 大学生がよく使いそうな名前だ……。


 そうしてエレナ、パウエル、ユガ、マヤ、チャッピィの五人は魔王の下へと辿り着いたのだった。




 

 

「大丈夫ですか?ユガ様?」


 マヤが心配そうにこちらを見た。


「大丈夫。ちょっとあらすじ説明してただけ……」


 しかし俺は傷口を抑え、片膝を付いた。

 エレナも同様に地面へ膝を付き、パウエルは最前列でどうにか防御系の魔法陣を展開している。


 ターン制RPGなら、ここまでが第一ターンというところか。


 魔王の大層な演説が終わって、俺とエレナが勢いよく飛び出し、ギア・セカ――あぶねっ、レベル2の電動自転車を斬撃、雷魔法と共に魔王にぶつけたが、ビクともしなかった。


 代わりに魔王ゼリクの使う魔法――スキル【重力魔法】、重力波(グラビティア)


 この強力な魔法によって地面に叩きつけられた俺とエレナ。

 即座に後退してマヤに傷を癒してもらうほかなかった。

 

「取り敢えず、チャッピィを召喚しよう。彼がいるだけで人数が増える」


 俺がそう言うと、マヤとエレナは無言で頷いた。


「――特殊魔法【ジテンシャ】レベル5!!我が魔力に導かれし機械の神。出でよチャッピィ!!」


 金色の魔法陣が展開するとともに現れたのは、黒く光る最新型のオートバイだった。


「ご主人様。先ほどまでの戦い、見ておりました……手ごわい相手ですな」


 オートバイのハンドル部分に液晶が付いており、そこには簡単な線で描かれた顔が映し出されている。

 彼が喋れば、その顔も動く。


「重力魔法の一番厄介なところは、最大効果範囲が無制限なところだと思う」


「そうだな。今、パウエルに守ってもらっているうちに作戦を考えねば」


 マヤが俺とエレナの手に回復魔法を施し、チャッピィは三人の周りをぐるぐると走る。

 どうやら彼もいっしょに作戦を考えているようだった。


 これまで共に戦ってきた五人。


 誰一人欠けることなく戦いを終わらせたい――。


 俺の心にあるのは、その一心だった。


「重力魔法は――恐らく魔王ゼリクが視認している範囲しか作動していません」


 マヤがそう告げると、エレナが思いついたように手を叩いた。


「いや、それは間違いないだろう……魔法というものの性質上、重力は見えている範囲に想像力で創っているはず。つまり――」


 俺はその時、エレナと目が合う。


「「挟み撃ちだ!!」」


 これまでの旅路で出会った、触れたものをパンツに変える魔法や、言葉を爆弾にして戦う敵――重力魔法はそのどれよりも強い魔法だったが、解決策は単純だった。


――いや、その一点突破しかないのかもしれない。


 俺は地面に図を描く。


「今、パウエルが防御魔法を唱えていて、その正面にゼリクがいる」


 三人と一台はそれを覗き込んだ。


「――おい!早くしてくれよ!!僕の魔法もかなり限界だ!!」


「後でビール浴びるほど飲ませてやっから――もうちょっと頑張れ!パウエル!!」


「しょうがないなァ……奢りだぜ?」


 パウエルの限界も近い。

 持って二分。


 そして、この防御魔法を解いて魔王を攻撃するまでの猶予は――二分もない。


「まず俺とチャッピィが正面に出て、チャッピィに防護壁を張ってもらいながら前進する」


「でも――それだけじゃ広範囲重力魔法がパウエルとマヤを襲ってしまうぞ?」


「そうはさせねぇよ……というか、そんな余裕は与えない。一分間、俺があいつに向かって自爆するよう見せる」


 マヤの顔から血の気が引く。

 エレナがごくりと唾を飲み、俺を指さした。


「貴様、まさか、火を点けて突っ込むつもりか!?」


 俺は真っ直ぐ、そして迷いのない眼で二人に言う。


「そう。死ぬ可能性の方が高いと思う」


「バカ野郎――!!」


 エレナが拳を振り上げるが、その腕が俺に届くことは無かった。


――これしか方法がないと分かっていたからだ。


 魔王へのとどめは勿論、エレナの空間切断(ヴァルドア)


 マヤはその大きな瞳から一滴、水を流した。

 

「絶対に、死なないでください!!死んだら、私は……誰のお嫁さんへ行けばいいんですか!!」


 神妙な面持ちをする彼らとは逆に、俺は手を頭の後ろで組み、笑顔で答える。


「最初から死ぬつもりはサラサラねぇよ……!」


 エレナが顔を伏せたまま立ち上がり、聖剣を持っていつでも走り出せるようにウォームアップを始めた。


「今まで、どんなにヤバいことがあっても、この五人で切り抜けてきたし――みんなで成長してきた」


 パウエルも魔法を使いながら耳を傾け、毎晩共に特訓を重ね、今では盟友と言えるまでにもなったチャッピィが車体を震わせる。


「だからさ、自信があんだぜ……俺。今までの努力が勝てるって言ってんだ」


「その通りでございます――ご主人様。これでやっと、人間の心を、生き様を理解できました」


「うるせーよ。まだまだだ!前みたいに“ターミネーター”されそうで怖ぇ」


「でも、勿論私も付いていきます。その一か八かの賭けに、乗らせていただきましょう」


「チャッピィ――最高の相棒すぎるって!!」


 俺が治療を終えて立ち上がると、防壁越しにゼリクと目が合う。


「――ユガ!!私は準備万端だ!!」


「私はパウエルさんの治癒をすぐさま始めます」


 俺はチャッピィに跨り、エンジンを轟かせる。

 狙うは一点。


 ゼリクの顔面のみ。


「行けるぜ――パウエル!!」


「それじゃぁ、防御魔法を解きます。3――2――1――!」


 パウエルのカウントダウンが終了したと同時に、途轍もない重力が五人を襲う。

 広範囲である為か威力は抑えてあったが、それでも呼吸が上手くできない程の圧力がのしかかった。


ブロロロロロロロロロォォォォオオオオオ!!!!


 刹那、勢いよく俺とチャッピィが飛び出した。


 そしてチャッピィが唱える。


点火(イグニッション)――!!」


 バイクはタイヤから火花を散らし、すぐさま全体を炎で包む。


 無論防御魔法で身を包んでいるが、その頭が痛くなるほどの熱気と、煌々と光り輝く眩しさはどうにもならなかった。


「行っけぇぇぇええエエエエ!!!!!!!!」


 俺が叫ぶとチャッピィが呼応し、速度を上げる。

 メーターは時速200キロ。


「貴様……!万策尽きたか!自爆する気であれば――近づく前に押しつぶしてやろう!!」


 ゼリクは赤いマントを翻し、青い宝石の付いた杖をこちらへ向けた。


 途端、重力が全身を押しつぶそうと迫る。


 時速が落ち始め――意識が朦朧とする。


 だが――負けない!!

 俺がここで止まれば、奴の玉座までエレナは届かない!!


「うぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!」


 時速180キロ――200キロ――300キロ!!


 チャッピィは軋み、あちこちにヒビが入る。

 ガソリンタンクから燃料が漏れているのか、防御魔法の中にも炎が揺らめき始めた。


「――お前の、負けだゼリク!!」


 俺が叫んだ時、視界の隅から一人の騎士が魔王に近づいた。


――エレナだ。


 それと共に速度が落ち……意識も……。





 次に俺が目を覚ました時、側にはマヤが座っていた。


 俺は起き上がり、辺りを見回す。


 魔王城の天井は剥がれ、満天の星空が頭上に広がっている。

 

 パウエルがエレナの腰に手を回し、チャッピィに寄りかかっていた。

 チャッピィはその状態に不満を示していたが、なんだかんだ楽しそうである。


「うちのパーティーのおじさん(エレナ)にも、彼氏ができたのかな」


 俺がそう言うと、マヤは彼らの方を見ながら笑った。


「フフフ……そうですね。幸せそう」


「魔王は倒せ……た?」


 俺が聞くと、遠くにいた三人も駆け寄って来た。


「私が倒したぞ!ユガの作戦が上手くいったんだ」


 エレナがそう言うと、手に掴んだ小さなスライムのような生き物を見せた。


「これが魔王。あまりに魔力が膨大でな――全ては消せなかった」


「みみみみいい!!みみみ!!」


 何かを主張しているが、それが何を示しているのかは分からなかった。


「帰って僕達が封印するとしよう」


 パウエルがそう言うと、巾着袋に魔王を入れる。


 皆が目に涙を浮かべ、互いの顔を見た。

 すべてが終わりを迎えたのだ。


「――終わった!!終わったぁぁああああ!!みんなありがとーーーーー!!」


 俺は夜空に向かって、思い切り叫んだ。


 最初は驚いていた皆だったが、すぐにマヤが加わる。


「私達は勇者になれましたー!みんなありがとーーーー!!」


「僕達が魔王を倒した!!みんながいたから倒せたぁぁああああ!!」


「私はこのパーティの皆が、五人が好きだァァアアア!!」


「えぇ、私もです。ご主人様も、エルフの姫マヤ様も、紳士パウエル殿も、変態の友エレナ様も好きです」




――こうして、物語は終わりを迎える。


 ゼリクは倒され――







 たはずだった。






 五人が魔王城を後にしようとした時、突如――巾着袋が眩い閃光を発する。


()っっつい!!」


 パウエルがその熱と光に、地面に落としてしまった。

 突然の出来事に一行の足が止まる。


 全員が戦闘態勢を取った。


「何が起きたのだ!?」


 エレナが剣を構え、魔力を手に込める。


 それはたった数秒の間だった。

 皆が油断しきったこの瞬間、自身の全てのエネルギー、そして命と引き換えに


――魔王が最後の魔法を詠唱するまで。


「究極重力魔法――反重力砲(アンチ・グライヴ)!!」


 漆黒の光線が、小さな巾着袋から俺目掛けて放たれる。


「転生者だけでも……道連れにしてくれんッ!!」


 その一言を最後に、魔王は消失した。


「「「「ユガぁああああああ!!」」」」


 避ける余地はない。

 先ほどの戦闘で負傷した身体は、いくら回復魔法を使っているとは言え、もう動けるほどの体力は残っていなかった。


「ごめん……避けらんねぇや」


 そして、漆黒の閃光は俺に






――当たらなかった。


 代わりに、俺を、マヤが――身を挺して庇った。





 多分この物語の最初に言ったと思う。


 自分には世界を俯瞰して見る癖があると。




 俺は――俺の後ろ側少し上から今の状況を見ていた。


 世界はスローモーションで、どこからか悲劇的な曲が流れてきて、俺の頭の中を白黒にしていく。




 俺は現実を受け止められなかった。



 だが、この魔法は反重力魔法。

 解呪さえできれば――助かる道がある。


 魔法がマヤの胸を貫通して一秒。


 彼女の体が浮いた。


 名前の通り、重力が逆向きに作用する魔法。




 星々の瞬く空へと、マヤが連れ去られる。




 俺は――手を伸ばして――



 

 彼女の手を――













 掴めなかった――ッ!!




「マヤぁああああああああああ!!」


 俺は、空へ()()()()()マヤを――ただ眺めているしかなかった。









 これまでのマヤとの思い出が脳内に――










「何してるんですか?ご主人様」


 地面に膝を付いた俺に、チャッピィが声を掛けた。


「マヤ様が重力加速度で進んでいるとして、彼女が成層圏近くまで辿り着いて命を落とすまで――約70秒」


 俺は顔を上げる。


「私なら、ご主人様の魔力さえあれば飛べます――いつでも準備はできていますよ?」


「――でも、飛んだことなんてねぇだろ……」


 エレナ、パウエルが俺の言葉を遮った。


「急げユガ!!」


「お前ならできる!!いつだって私達を引っ張ってきたのはお前だった!!」


「ご主人様なら、マヤ様を救えます」


 俺は両手で顔を叩き、気合を入れる。


 そして、全身に魔力を込め、チャッピィの下へと駆けた。


 サドルに跨り、アクセルに魔力を流す。


「垂直上昇は難しいですので、マヤ様を大きく上回る加速度で崖から離陸。そして、連れて帰りましょう」


 俺は涙を手で拭いながら、エレナとパウエルに言った。


「行ってくる。マヤを――絶対に連れ帰ってくる!!!!」


 エンジンをかけ、アクセルを回すと同時に、爆発的な速度でバイクが進み始めた。


「――グッ……!!」


 魔王に突っ込むときよりも遥かに速い速度で進むチャッピィ。

 横方向のGが俺を襲う。


「待ってろ――マヤ!!」


 俺が叫ぶと同時に、バイクの前輪が宙に浮いた。

 火花を散らして進むチャッピィは、唸りを上げながら崖へと進む。


 城の先、切り立った崖から宙に飛ぶ。

 前輪が浮けば――後輪も浮かせられるはず――!!


 今まで一度もチャッピィで飛んだことは無い。


 だが、ほかに選択できるような方法も無い。


「おらぁあああああああああ!!」


「行きますよ――ユガ様!!」


 俺とチャッピィが全力を込めて魔力を消費する。


 Gは俺の肺を押しつぶし、呼吸ができなくなるほどの地獄を作り出す。

 火花は小さな爆発となり、タイヤを焦がした。


「「飛べぇえええええええええええええ!!!!」」


 そして、崖から空へと飛び出したチャッピィは――






 空を飛んだ。





 いつだって人類は自転車にロマンを感じてきた。


 青春の一コマとして――


 白熱するスポーツとして――


 空を飛ぶものとして――



 俺は空を飛んでのけたのだ。






 さらにアクセルを回す。


 とうに限界は越えた。


 あとは――マヤを救うだけ!!


 それしか考えてねぇ!!








 圧倒的な加速度によって、ぐんぐんと上昇していくチャッピィと俺。




 遥か先から――日が昇る。


 朝だ。

 夜が明けたのだ。


 白み始める空と、橙色に染まる東の空。




 気付けば、眼下には魔王城とその周辺の森。

 遠くには王都が見えていた。


「只今高度13キロメートル。そろそろマヤ様を見つけたいですね」


 チャッピィが何かを話しているのは分かるが、俺の意識は既に朦朧としていた。

 1Gを超える加速度で上昇して意識を保てるわけがない。


 辛うじてパウエルの防御魔法によって何とかなっているだけで、限界は近かった。


「――マヤを――見つけ――る――」


 そこからさらに上昇し――遂に高度15キロメートル。

 俺とチャッピィの周りには、空気との摩擦でオレンジ色の炎が散っている。


 地球の輪郭が僅かに丸みを帯び、青空のさらに上が紺色となってきたときだった。


「い――た――!!」


 震える声で叫んだつもりだったが、俺の声は蚊の羽音ほどにしかならなかった。

 喉が干からびそうだ。


 だが、チャッピィはいつだって俺の声をしっかりと聴き届けてくれる。


「私も確認しました。前方300m先。意識は既に無いようですが、息はあります」


「行――こ――う――!!」

 

 耳鳴りが頭の中を駆け巡り、胃の内容物が全てひっくり返りそうな不快感が口内に広がる。


 だが、俺は俯瞰して俺を――ユガを見ていた。


 冷静に、それでいて熱く。


 この苦しみを踏ん張りながら、マヤを見据えていた。






 速度を少しだけ落とし、マヤの方へ近づいた。


 彼女は青白い顔をして宙を浮いていたが、何とか生きているようだった。


「マヤ――!!」


 俺が叫ぶと、彼女の手がピクリと動いたような気がした。

 勿論気のせいだろうが、この時の俺にはそう見えたのだ。


――マヤまで残り3メートル。


「マヤ!!今、今助けるからな!!」


――2メートル。


「今行きます……マヤ様」


――1メートル。


「届けぇえええええ!!!!!!!」







――俺は、マヤの手を掴んだ。


 ぐっとその華奢な体を手繰り寄せ、バイクの上へと抱きかかえる。



 遂に、遂にやったのだ。


 

 俺はこの世で最も大切な人間を――自らの手で救うことができたのだ。








 だが、もう一つだけ問題があった。


 着地をどうするか――である。


 無論、魔力は残りわずかしかない。


「只今から自由落下状態に入ります。ご主人様――ここからは私にお任せください」


 地球に向かって落ち始めた時、チャッピィはある一つの提案をした。


「私は機械の精霊。自転車を依り代としているだけで、あくまで召喚魔法の産物です」


「チャッピィ、精霊だったのか――?」


 俺がそう問いかけると、彼の表情描写スクリーンがにっこりと笑う。


「私の本来の力を使えば、地上まで生きて帰れます――」


「マジかよ!!やっぱ最高だよチャッピィ!!俺自転車魔法でよかった。本当に良かった!!」




「ですが――これは召喚魔法としては契約違反。二度と私を召喚することはできなくなるでしょう」




 俺は、ただ笑うしかなかった。

 涙は空に落ちて行き、星と共に瞬く。 


「は?何言ってんの?……みんなで帰ろうぜ。王都に」


「私は死ぬわけではありません。ですが――金輪際の別れとなるでしょう」


「待てよ――なんか解決方法があるだろ!!ここで終わりじゃねーよ!!」


 俺が引き留めても、もう無理だった。


 ここまで旅してきて、相手が何を考えているのかくらい――たとえそれが機械だっとしても――分かる。


 機械の精霊をもってしても、この状況の解決策は唯一つ。

 自身(チャッピィ)の魔法を使うしかないのだ。


「安心してください。私がいなくとも、ユガ様はうまくやっていけます」


「ちげーよ!!チャッピィは俺達のパーティメンバーなんだよ!!」


「私の最後の魔法は――ご主人様と、マヤ様を包み込み、衝撃を吸収する防御魔法を展開します」


「チャッピィ……チャッピィ……!!これで終わりかよ!!」


「防御魔法はご主人様を無事に地上へ送り届けるでしょう。魔力は勿論私持ち。心配いりませんよ」


「チャッピィ!!なんか言えよ!!」


 落ちていく中で、チャッピィの液晶画面から涙が舞い上がったように見えた。

 (ほとばし)る魔力なのだろうが、それはあまりにも美しく、悲劇的だった。


「今まで、ありがとうございました。ご主人様のおかげで人の心の温かさを知り、仲間といることの喜びを知り、ヒトの愛がなんたるかも知ることができました」


「俺らも……チャッピィに助けてもらって……ここまで来た!!ありがとう!!」


「現在地上5キロメートル。そろそろ魔法の展開が必要ですね。地上まではすぐですよ」


 俺はチャッピィのハンドルを握り、涙を拭った。


「まぁ、神々の世界から見ててくれよ……俺の幸せ転生ライフが始まるからさ」


「えぇ。私達は――いつまでも友達です」


「うーん……ちょっと違うね。親友だよ――俺達は!!」


「親友……いいですね。いい響きです」


 眼下に見える森が近づいて来る。


 別れの時間が来てしまった。


「では……魔法を展開します。ありがとう、そしてさようなら――ユガ様」


「ありがとう……またね!!チャッピィ!!」


「精霊魔法――完全(デウス)機械(エクス)聖域(マキナ)!!」


 閃光と共にチャッピィが変形し、ただの自転車に戻る。

 俺とマヤの周囲には強力な防御陣が敷かれ、神々しく光り輝いていた。

















 そんで、俺は魔王との戦いから生き延び、マヤと結婚して――国の英雄として称えられた。


 片田舎に住み、たまに事件を解決したり……イキったやつをメタメタにしたり……。


 ハーレム――は作るつもりないけど、可愛いギルドの受付嬢と仲良くなったり。


 とにかく充実した転生ライフを送っていた。


 でも、たまに街で馬車の車輪や水車を見る度――思い出す。


 人間ばかりの勇者一行に唯一の精霊がいて、彼は俺の自転車魔法とかいう訳の分からない魔法で無理やり連れてこられたこと。

 旅の中で皆と仲良くなり、最後にユガとマヤ、二人の勇者を救って元の世界へと帰ったこと。


 そして、チャッピィが俺の一番の親友だったことを。

















――終わり――





















「しゃあないなァ……まぁ、私のミスだったし……こういう粋なこともしてみたいじゃん?」


 天界から地上を覗いていた女神は、酒瓶を魔法の杖に持ち替える。

 そして森の中、残骸となって散らばってしまったチャッピィに杖を向けた。


「今回だけだぞ?ユガくん?――再会に乾杯♪」














面白かったら評価、リアクション、感想待ってます。



元々連載小説の宣伝用に書こうと思ってたので、ここであたくしの代表作を宣伝させていただきます。


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超おもしろい!!

異世界転生モノで、重厚なストーリーとアツい展開がメインです。

伏線回収もあるよ。

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