3話 生命霊科学研究所
愛理の持っているアンドロイドのキューがおかしくなった。理由を愛理の妹、研究所の花に聞きに行く。
生命霊科学研究所。それが妹の花の働いている研究所だ。
「花。俺のキューに何をした?」
俺は花を呼び出し、問い詰めた。赤い髪のアンドロイドのキューはエプロン姿で俺を尾行してきたが、外でするものじゃないと教えてエプロンは手に持たせている。
「な、なぁんにもしてないよ? お兄ちゃん」
花は嘘を吐くのが下手だ。目が泳いでいる。
「アンドロイドは命令を無視したりしない。今日こいつに留守番を命じたが、尾行して付いてきた。何故だ?」
俺は言う。
「AIが。AIが学習したんじゃない?」
花は言う。
「自発的に動くように?」
「そう」
「なら、どうしてお辞儀したり言葉に詰まったりするとき人間みたいな動きをする?」
俺は花を問い詰める。
「えっとぉ……」
花は言い訳を探す。
「魂を入れただろ? 俺は除霊師だぞ。そのくらい分かる」
俺は言った。
「研究のため! ごめん、実験台にした!」
花は白状した。嘘から解放され気持ち良さそうだった。
「あのなあ。どれだけ大変なことをしたのか分かっているのか?」
「お兄ちゃん除霊師だし、いざという時は魂抜けるからいいでしょ?」
「魂を抜くってことは、殺す、ってことなんだよ」
俺は静かに言った。
「法律上はまだ認められてないよ、生命って」
花は言った。
キューが少し不安そうにしていて、俺も少し悲しくなった。