第2話《ドンキー&ゴンゾウ》
あれから、10年の月日が経った。
ふたりは子宝に恵まれ、獣人族の王へとなっていた。
「タナちゃん、お腹すいたんに!」
次男坊のゴンゾウが、タナトスを見上げている。彼は犬の獣人で、今年で7歳になる。
その隣りでは、ゴンゾウによく似た男の子がいた。長男のドンキーである。ふたりは双子で、良く似ている。もっとも、サイズも中身もまったくの別人であった。
ゴンゾウは小柄で小さかった。それに勝ち気で、ヤンチャな性格をしている。
対してドンキーは大柄で温厚。とても優しい性格をしている。
「タナちゃん、僕もお腹すいたんに」
ふたりとも、食欲が旺盛である。朝早くから目を醒ましては、タナトスに朝食をねだりにくる。ティラミスは朝が苦手のため、こんな早朝に起こそうものなら大目玉を喰ってしまう。
「ほな、狩りに行こか?」
タナトスの言葉に、ふたりは笑顔を返している。
子煩悩なタナトスは、多くの子供たちに好かれていた。なので何かをお願いする時は、ティラミスではなくタナトスの元へとやってくる。
「とりあえず、バナナや!」
戸棚からバナナを取り出すと、ふたりに差し出した。
栄養価が高いバナナは、朝食にとても適している。