【祝賀パレードⅠ】
結婚式最終日のメインイベントは、王太子夫妻を乗せた馬車による結婚祝賀パレードだ。
王宮に招待される事の無い大多数の一般市民にとって、これが結婚式の間に王太子夫妻を直接見る事が出来る唯一のチャンスとなる。
国中から集まった見物客にとって、待ちに待ったイベントだ。
パレードで王太子夫妻を乗せる馬車は、アムロード家が所有する四頭立ての馬車である。
これは追放されたサアラが王都に戻った時に使われた馬車と同じものだ。
祝賀パレードに王家が所有する馬車を使うのではなく、あえて臣下であるアムロード家の馬車が使われる理由は、この結婚に王国貴族が賛同している事を示す、象徴的な意味合いが込められている。
200騎近くの儀仗兵を付き従えた四頭立ての馬車は王宮を出発すると、王都のメインストリートを目指してゆっくりと進んで行く
パレードのルートは事前に公表されているため、王宮の出口からメインストリートにかけてのルート上には、王太子夫妻を一目見ようと既に多くの見物人で溢れ返っている。
結婚祝賀パレードは招待客以外の一般国民のための行事であるため、貴族を中心とした招待客にとっては特に重要とは言えないものだ。
しかしその中でサアラだけはソフィアから重要な役割を託されていた。
次回「祝賀パレードⅡ」は、10月7日(土)20時頃に公開予定です。




