【落馬と引越しⅥ】
エドルの許可を得たサアラが執務室から戻ってきた。
「お嬢様、旦那様とのお話はもう終わったのですか?」
「ええ、終わったわ。ところでマーサ、私が今日どこに行ったか知ってる?」
彼女はきょとんとした顔でサアラの問いかけに答える。
「・・・お嬢様が今日行かれたのは乗馬学校ですよね。」
「それだけではないわ。私が最後に訪れたのはモントレイ子爵家よ。」
それを聞いたマーサは驚愕の表情を浮かべる。
「まさかあそこに行かれたというのですか!?」
「マーサ、何で相談してくれなかったの? あなたの妹さんもかかわっている事でしょう?自分の身内だからって遠慮する事はないのよ。」
「お嬢様・・・」
「でももう心配ないわ。モントレイ家の王都屋敷として西の離れを貸し出す事で、お父様とは話をつけたから。」
「西の離れを・・・確かにあそこなら誰にも不都合はございませんね。」
「でしょう? それでね、丁度良いからあなたにこの件の窓口になって欲しいのよ。妹さんが相手なら話もスムーズに進むはずだわ。」
「承知しました。後はこのマーサにお任せください!」
マーサの協力を得た事で話はとんとん拍子に進み始めた。
そして2か月後、モントレイ家は廃墟同然の旧宅から西の離れへと引っ越した。
次回「落馬と引越し~完結編~」は、9月11日(月)20時頃に公開予定です。
どうぞお楽しみに。




