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追放ルートを目指します!  作者: 天空ヒカル
第3部 悪役令嬢と追放令嬢
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【没落貴族】

モントレイ子爵家は古くから王国に(つか)える由緒(ゆいしょ)正しい家柄だ。


モントレイ家の当主は代々王国で儀典官を務めており、ニーナの父親も当然その役目にあった。


王国儀典官の仕事は安定したものであり、当時のモントレイ家は中々に羽振りの良い家であった。


一家の運命が暗転したのは今から3年前、まだ40代の当主が突然病に倒れ、仕事を続ける事が出来なくなってしまったのだ。


そのような場合でも跡継ぎがいれば、病気の当主が引退して家督を譲れば良いだけの話なのだが、モントレイ家の嫡男は未だ9歳のため、父の仕事を引き継ぐことが出来ない。


領地貴族であれば、当主が例え病に倒れても領地からの収入に直接影響する事は無いが、王都貴族の場合、仕事を失う事は収入を失う事に直結する。


王国からモントレイ家に(わず)かな見舞金は出るものの、それは生活するには程遠い額に過ぎなかった。


こうして最大の収入の道を絶たれたモントレイ家はやむなく先祖伝来の家屋敷を他人に貸し出し、(みずか)らは王都の外れに引越す事を余儀なくされた。


引越し先の家は大変狭く、馬車を置く場所すら存在しない。


モントレイ家は馬車を処分すると共に、ほとんどの使用人を解雇し、残ったのはメイドが二人だけという有様である。


今やモントレイ家は貴族としての体裁(ていさい)を整える事すら(むずか)しい境遇(きょうぐう)にあった。


ベッドを置いたら、他はほとんど物を置くスペースが無いような自室に戻ったニーナは、改めて状況を整理する。


弟はまだ9歳であり、とても相談相手にはならない。


彼女の母親は悪人でも浪費家でもないが、こういう状況で頼りになるような人ではなかった。


現在のモントレイ家は絵に描いたような没落貴族であった。


『お父様が回復されるか全く分からない今、私がしっかりしなければ、家族が路頭に迷ってしまう。追放で一度は結婚も(あきら)めた私には失うものなんて何も無い・・・家の危機を救うために、何としてもミス・アムロードのお気に入りになって見せる!』


ニーナは改めて決意を固めるのだった。

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