【和解】
「やはり追放される事が目的だったのですね。ただそうであれば、私はあなたのお力になれるかもしれませんよ。要するにミス・アムロードのご希望としては王都とランドンを自由に行き来できれば良いのですよね。」
「あなたのお気持ちは嬉しいけれど、ユリウス陛下がそれを許すはずがないわ。」
「ミス・アムロードもご承知とは思いますが、私は近々王太子妃となります。そうなれば身内としてユリウス陛下に口添えする事は可能です。」
「私にもっと自由を与える様に口添えをして頂く事は確かに可能でしょう。でも残念ながらユリウス陛下はそれを簡単に認めるほど甘いお方ではないのよ。」
恩赦の披露式での対峙を通して、サアラはユリウスの性格を十分に理解していた。
ユリウスは何の見返りもなく相手に譲歩するような人間ではない。
「ミス・ランストン、お気持ちだけありがたく頂いておくわ。それよりも、あなたの方こそこれから大変よ。王太子妃になれば今までとは比較にならない程、堅苦しい生活が待っているわ。ミス・ランストンが望まれる『自由』とは真逆の選択ね。」
「私もそう思います。そこは正直頭の痛い問題ではあるのですが、ウィルド殿下と一緒なら乗り切っていけそうな気がしていまして、愛の力で解決というか・・・」
ソフィアの声は次第に小さくなっていく。
サアラは恥じらう彼女の姿をほっこりした気持ちで見守っていた。
「でもまあ何とかなりますよ。それに私にはサアラ・アムロードという力強い味方もいる事ですしね。」
そう言うとソフィアは上目づかいにサアラを見る。
一歩間違えればあざとい女と受け取られ、同性に嫌われる振る舞いだが、ソフィアの場合はそれが不思議と嫌味にならない。
『まったく・・・勝手に私の事を味方認定しているし。この娘ったら、天然の人たらしね。』
そう思う一方で、ソフィアの言葉を否定する気持ちはもうサアラの中には存在しなかった。
「二人だけの時はサアラでいいわ。」
ソフィアは目を見開いて驚きの表情を見せると、顔を赤らめながら提案する。
「ありがとうございます。それでしたら私の事もどうぞソフィアとお呼び下さい。」
もちろんサアラに異存は無かった。
「分かったわ。これからよろしくね、ソフィアさん。」
「こちらこそよろしくお願いします、サアラ様。」
第2部 了
第2部に最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
サアラとソフィアが無事に和解できた事で、ストーリーとしては一つの区切りを迎えました。
これから物語は新たな段階へと進んでいきます。
しばらく構想を練る時間を頂いてから、第3部に取りかかる予定です。
また本作に18,000ものPVを頂き、ありがとうございます。
「追放ルートを目指します!」は、私の作品の中では最も読者の支持を得られたものとなりました。
この機会に読者の皆様、さらに評価やブックマーク、多数の「いいね」を下さった皆様に御礼申し上げます。
執筆は孤独な作業ですが、こうした皆様のご支持が執筆を続ける上での励みになっています。
これからも応援よろしくお願い致します。




