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追放ルートを目指します!  作者: 天空ヒカル
第2部 ヒロインと悪役令嬢
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【二つの名前】

「ソフィア・ヴェルナーは対外的には落馬事故で死んだ事になっています。そしてヴェルナーの名を捨てた私は、ランストン男爵家のソフィア・ランストンとして、別の人生を(あゆ)む事になりました。本当の両親とは、その時から一度も会っていません。」


ソフィアの話はサアラの事前の予想とは全く違っていた。

そしてサアラの想像より(はる)かに重いものであった。


「そうだったの・・・だけど生きている人間を死んだ事にするなんて、そんな事が本当に可能なのかしら? 現にあなたは王都に暮らしている(わけ)だし。」


「ランストン家の養子になる前の私は一年の大半を牧場で過ごしていて、王都に来る事は滅多にありませんでした。私は王都では全く顔が知られていない存在であり、私を死んだ事にするためには、それが幸いしました。もちろんヴェルナー商会を始め、ソフィア・ヴェルナーを知っている人間がいそうな場所には近付かないように今も注意しています。ランストン家の屋敷が、このような人通りの少ない王都の(はず)れに引っ越したのも秘密の保持が目的です。」


ヴェルナー家は商家であるが(ゆえ)爵位(しゃくい)こそ持っていないが、長い歴史と下手な下級貴族が(たば)になっても(かな)わない程の経済力を誇る名家だ。


「あなたは生まれた時から名家の令嬢だったのね。どうやら私は思い違いをしていたようだわ。」


「そんな・・・私など()()()田舎娘(いなかむすめ)に過ぎません。何しろ牧場にいた頃は一日中泥だらけで馬の世話に明け暮れていましたから。」


「馬がお好きだったのね。」


「その通りです。私にとって馬の飼育は仕事であると同時に趣味でもありました。」


「飼育するだけではなく乗る方も、でしょう?」


「ばれてしまいましたか・・・でもそれはミス・アムロードも同じなのでは?」


「ええ、私もランドンにいた頃は、毎日のように馬で野山を駆け回っていたわ。」


「やはりそうだったのですね。それで謎が解けました。」


「謎?」


「ミス・アムロードの乗馬術の事です。技量が優れているのはもちろんですが、それ以上に非常に実用的な乗り方をされているように感じたのです。失礼ながらミス・アムロードのような高位貴族の令嬢が何故(なぜ)これほど馬を乗りこなせるのか分かりませんでした。」


『謎が解けた』という意味ではサアラも同じであった。

彼女もまた、何故(なぜ)ソフィアがこれほどの乗馬能力を持っているのか疑問だったのだ。


「王立乗馬学校でミス・アムロードが乗馬のお手本を披露(ひろう)された時のショックは今でもはっきりと覚えています。私も乗馬についてはそれなりに自信を持っていたのですが、同年代の女性に対して『(かな)わないかもしれない』と思わされたのは、ミス・アムロードが初めてです。私があなたに注目するようになったのは、それが()()()()です。」

次回「本当のサアラⅠ」は、1月12日(木)22時10分頃に公開予定です。


どうぞお楽しみに。

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