【検分Ⅱ】
南門の内側に集められたのは王家直属の騎士団だ。
警備兵詰め所を出たアランの目の前は小さな広場になっており、そこには既に20騎以上の騎士が集まっていた。
アランは馬上の騎士団長に近付いて声をかける。
「早かったね。」
「ええ、とにかく大急ぎで駆けつけました。ただ何分にも急なご命令だったのでこの数しか連れてこれませんでした。もっと必要でしたか?」
「いや、十分だ。」
「そうですか、それを聞いて安心しました・・・それでこいつは一体何の騒ぎなんですか?」
「まあ色々とあってね・・・それより今日は陛下の命令故集まってもらったが、実を言うと諸君らにしてもらう事は何もない。」
「集まっただけで、本当に何もしなくてよろしいのですか?」
「そうだ。間もなく大門が開き、アムロード侯爵家の儀仗兵が中に入って来るが、絶対に相手を刺激するな。これ以上の面倒事は御免だからな。」
「分かりました。」
「念のために言っておくが、儀仗兵を指揮しているのはあのマクミラン卿だよ。」
「!」
「もっともマクミラン卿相手にちょっかいを出して勝てる自信があると言うなら、無理に止めはしないけどね。」
「悪い冗談は止めて下さい。私もまだ死にたくはないので。」
「ハハハ、そうだろうな。それでは頼んだよ。」
アランはそう言い残すと、開門を待たずに王宮へと戻って行った。
次回「開門」は、12月27日(火)午前0時10分頃に公開予定です。
どうぞお楽しみに




