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追放ルートを目指します!  作者: 天空ヒカル
第1部 悪役令嬢の追放
30/273

【出発準備】

「姫様、明日の朝には王都に出発できるかと存じます。」


サアラにそう報告するマリスの顔は明らかに疲労困憊(ひろうこんぱい)している。


エドルからの書状が届いてから三日が経っていた。


明日の朝に出発出来るという事は、マリス達は四日足らずで出発準備を終えた事になる。


「分かりました。私達が出発したら少し休むのですよ。」


この様な短期間で出発準備を整える事は、そうそう出来るものではない。


出発準備に最低一週間はかかると見ていたサアラは、家臣団の力量に改めて舌を巻いていた。


今から三日前、四頭立ての馬車が使用されると決まってから、ランドン城内は騒然(そうぜん)となった。


城内には荷馬車や食料が続々と運び込まれ、ひっきりなしに人が出入りする。


城から領内各地に早馬が飛ばされ、逆に領内各地から儀仗兵(ぎじょうへい)となる騎士たちが次々と城に集まってくる。


城内はまるで戦争前夜のような様相を(てい)していた。


予定されていた面会が全て取りやめとなったサアラは、父の執務室に陣取って、家臣たちから相談を受けた場合の判断業務に専念した。


エドルが不在の今、城のトップはサアラである。


現場判断が求められた場合、それを決めるのは彼女の仕事になる。


だから不用意にサアラが動くと、それだけ決断が遅れて仕事が(とどこお)ってしまうため、仕事を手伝うつもりが(かえ)って邪魔になってしまう。


またサアラが同じ場所にいる事で、家臣たちが彼女を探す手間が(はぶ)けるため、食事も全て執務室で取るようにしていた。


こうして王都を追放され、たった5人で()()()()とランドンに帰ってきたサアラは、(わず)か10日後に100名の儀仗兵(ぎじょうへい)を引き連れて王都に戻ろうとしている。


強制力というガイドが無くなった世界で、彼女は運命の暴流に押し流されようとしていた。

次回「栄誉礼」は、12月16日(金)午前5時に公開予定です。


どうぞお楽しみに。

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