【ターゲットⅥ】
「ケイトにこてんぱんにされてしまったようね、ミス・アムロード。この娘、いざとなると遠慮がないから。」
「パトリシア陛下!どうしてここに・・・?」
サアラが振り返った先には、いつの間にか王妃の姿があった。
「どうしても何もここは私の研究所だもの。それに普段はこの場所を訪れる人なんてほとんどいないから、来客があればすぐに分かるわ。」
王妃が突然現れたというのは、あくまでもサアラの感覚であり、客観的に見ればパトリシアの登場は別に不思議でも何でも無い。
「それにしても私ったら、まさかあなた方からお気楽な自由人だと思われていたなんて・・・本当に心外だわ。」
パトリシアは大げさに悲しみの表情を浮かべる。
「お待ちください、それは誤解です。私は先程パトリシア陛下の事を自由人と申し上げましたが、それは決してお気楽という意味ではございません。」
パトリシアは生真面目に否定しようとするサアラを意に介さないように話を続ける。
「まあいいわ、それよりも貴女が気になっているのは、ケイトが何者かという事よね。」
『!?』
それはサアラにとって願っても無いような展開である。
彼女は息を吞んで王妃の次の言葉を待った。




