【ターゲットⅣ】
それは熱くなっていたサアラに冷水を浴びせかける一言だった。
『どうするつもりかって・・・そう言われてみれば確かにそうよね。うーん・・・結局私はどうしたいんだ?』
転生者の特定に集中していたサアラは、自分の目的を明確にイメージしていなかった。
そしてケイトはそんなサアラの手の内を最初から読み切っていたかのような問いを投げかけたのだ。
ケイトは極めてクレバーな人物だった。
こういった相手に対して下手な小細工は通用しない。
並みの人物ならサアラの追及を曖昧にごまかしたり、しらを切ったりするところだ。
だがケイトはそのどちらもしなかった。
普段は分からなくても、こういう緊迫した場面では相手の本性が見えてくるものだ。
ケイトが単に頭が切れるだけではなく、本質的に誠実な女性である事を理解したサアラは普段の穏やかな表情に戻る。
「これはパトリシア陛下にもお伝えした事だけど、私は元の世界に戻りたいという望みを今のところ持っていないの・・・だから自分が元の世界に戻るヒントを得るために動いているのではないわ。私の関心は別なところにあります。」
ケイトは黙って頷く。
「あなたの質問に答えるとするなら、私はもっと純粋にこの世界の謎を解き明かしたいのよ。」
ケイトの誠実さに報いるため、サアラは今の自分の気持ちを出来るだけ正直に打ち明けた。
その答えを聞いたケイトは、何かを納得したような表情になる。
「ミス・アムロードの今のお言葉は、パトリシア陛下が口癖のように言われている言葉にそっくりです。」
「!」
「パトリシア陛下はミス・アムロードと同じ事を考えておられます。あなたと陛下は目的が一致しています。」




