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追放ルートを目指します!  作者: 天空ヒカル
第1部 悪役令嬢の追放
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【恩赦Ⅱ】

国王(ユリウス)は驚きの表情を見せるアランの前で、(みずか)らの秘策を披露(ひろう)する。


「ただし追放処分と恩赦(おんしゃ)は『たまたま』時期が重なっただけで、これらは全く無関係だ。」


「しかし両者を無関係とするにせよ、サアラ・アムロードに恩赦(おんしゃ)を与える事で追放処分そのものは確定してしまいます。」


アランの指摘に対して、国王(ユリウス)は満足そうな笑顔で(うなず)く。


「それこそがこちらの狙いよ。あの小娘の恩赦(おんしゃ)さえしてしまえば、もはや追放処分を取り消す事は出来なくなるからな。」


「果たしてアムロード(きょう)恩赦(それ)を受け入れるでしょうか?」


「心配ない。お前も知っての通り、恩赦(おんしゃ)は伝統的に王家の専権事項だ。三侯の同意など初めから必要としていない」


『理屈はその通りだが』とアランは思う。


理屈はそうでも、三侯に対して普通は何らかの配慮をするものだ。


だが国王(ユリウス)にそのような常識は通用しない。


「さらに追放と恩赦が別物である事を()()()()させるために、今回の恩赦(おんしゃ)は大規模なものとなる。サアラ・アムロードは恩赦(おんしゃ)を受ける大勢の中の一人に過ぎない訳だ。」


「左様でございますか。」


アランの気のない返事など国王(ユリウス)は全く気にしていない。


「それだけではないぞ、アムロード家は追放処分の取り消しが出来ないだけではなく、恩赦(おんしゃ)を与えた王家に対して頭を下げなければならない。」


アランは内心『そんな事をして何になるのか?』と思っている。


アムロード家が王家に叛意(はんい)(いだ)いているのならともかく、サアラ・アムロードを追放するまでの王家とアムロード家の関係はむしろ良好だったのだ。


アランから見れば、国王(ユリウス)の行為は両家の関係に水を差し、わざわざ敵を作っているようにしか見えなかった。


「エドルの(くや)しがる姿が目に浮かぶ(よう)だわ。もっともいくら(くや)しがっても後の祭りよ・・・実に愉快だ。ハハハハハ・・・」


アランは心の中で溜息(ためいき)をついた。


そんな小細工をしてまで両者が無関係だと王家が()()()主張したところで、相手がそう受け取らない事は分かり切っている。


だがクロスリート王国で政治判断の決定権を持つのは言うまでもなく国王(こくおう)である。

例え筆頭秘書官と言えども、国王(こくおう)の決断を(くつがえ)す権限は無い。


『大事にならなければ良いが・・・』


アランはこの(たくら)みが(まね)く結果について、言い(よう)のない不安に()られていた。

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