【金色の紋章Ⅰ】
その日、王宮ではウィルド王太子夫妻の結婚半年を祝う夜会が開かれていた。
とは言えこれは王家の公式行事ではなく、夫妻と個人的な交流を持つ者だけが招待されたプライベートなイベントである。
そのような趣旨の夜会であるため、アムロード家からはサアラだけが招かれている。
王宮内の会場で招待客とにこやかに応対するソフィアを少し離れた場所から観察していたサアラは、彼女の振る舞いが以前と比べて洗練され、自信に満ちている事に気付いた。
そう、ソフィアには王太子妃としてのオーラが備わりつつあるのだ。
そしてその一助になっているのが、彼女の服装やメイクである。
華やかでありながら上品な彼女の出で立ちは、夜会の主催者として相応しいものであった。
サアラはその姿から、ソフィアを陰で支える一人の女性の存在を敏感に感じ取る。
『今日も彼女の仕事は完璧ね。』
ソフィアを始めとした王族の服飾を一手に引き受ける彼女の仕事は、今夜も遺憾なく発揮されていた。
サアラが彼女と話をしたのは一度きりだが、それはひどく印象的なものだった。
「ミス・アムロード」
考え事の最中に突然声をかけられ、反射的に振り返ったサアラは、自分の目を疑った。
「あなたは!?」
大変お待たせして申し訳ありません。
今回より第10部「転生者」をお届けします。
今回はエンターテイメント小説という体裁を保ちつつも、約束事としての異世界転生メカニズムそのものに切り込むという挑戦的な内容を目指しています。
その目標がどの程度達成できるかどうかは不確定ですが、出来るだけ読者の皆様に新鮮な体験をして頂きたいと考えています。
お楽しみいただければ幸いです。




